2021年12月11日土曜日

ソフィー・ハナ作「モノグラム殺人事件」(The Monogram Murders by Sophie Hannah) - その1

英国の HarperCollinsPublishers 社から2014年に出版された
ソフィー・ハナ作「モノグラム殺人事件」の表紙(ハードカバー版)
Jacket Design : 
HarperCollinsPublishers

本作品「モノグラム殺人事件(The Monogram Murders)」は、英国の詩人で、小説家でもあるソフィー・ハナ(Sophie Hannah:1971年ー)が、アガサ・クリスティー財団(Agatha Christie Limited)による公認(公式認定)の下、エルキュール・ポワロ(Herucule Poirot)シリーズの正統な続編として執筆の上、2014年に発表された。


1929年2月7日(木)の晩(午後7時半過ぎ)、名探偵エルキュール・ポワロは、お気に入りの珈琲館「Pleasant’s Coffee House」において、一人、至福の時を過ごしていた。しかし、そんな束の間の休息時間は、一人の若い女性によって破られる。

ポワロが居る珈琲館へ、半狂乱の女性が駆け込んで来たのである。彼女の様子から察するに、彼女は何者かに追われているようだった。ポワロが彼女に事情を尋ねると、ジェニー(Jenny)と名乗った彼女は、「自分は狙われていて、殺される可能性が高いが、誰にも止められない。自分が殺されたとしたら、それは正義が為されたことを意味する。だから、自分が殺されても、決して警察にも通報しないでほしい。」と、ポワロに対して懇願すると、夜の街へと姿を消した。


同じ頃、ロンドンの一流ホテルの一つであるブロックシャムホテル(Bloxham Hotel)では、大事件が発生していた。

ホテルの宿泊客3人が、各自の部屋で毒殺されているのが、発見されされたのである。被害者達は、以下の通り。


(1)ハリエット・シッペル夫人(Mrs. Harriet Sippel):121号室に宿泊 - 毒が入った紅茶を飲んで死亡。

(2)リチャード・ネグス氏(Mr. Richard Negus):238号室に宿泊 - 毒が入ったシェリー酒を飲んで死亡。

(3)アイダ・グランズベリー嬢(Miss Ida Gransbury):317号室に宿泊 - 毒が入った紅茶を飲んで死亡。


午後8時過ぎ、「121号室 / 238号室 / 317号室の宿泊客達が、安らかな眠りにつくことは、決してない(May They Never Rest in Peace. 121. 238. 317.)。」と書かれたメモが、何者かによって、ホテルのフロントに置かれているのが見つかり、ホテル側がマスターキーを使って調べたところ、3人とも死亡しているのが判ったのだ。しかも、全ての被害者の口の中に、「PIJ」と刻まれたモノグラム(イニシャルの図案)付きのカフスボタンが入れられていたのである。一体、何の為に?


友人で、スコットランドヤードの若手警部であるエドワード・キャッチプール(Edward Catchpool)から事件の相談を受けたポワロは、捜査に乗り出す。被害者は、珈琲館に駆け込んで来たジェニーと名乗る女性ではなかったが、二つの出来事には、何か関連性があるのだろうか?


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