2021年7月18日日曜日

リチャード・ルイス・ボイヤー作「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / スマトラ島の巨大ネズミ」(The further adventures of Sherlock Holmes / The Giant Rat of Sumatra by Richard Lewis Boyer) - その2

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2011年に出版された
リチャード・ルイス・ボイヤー作
「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / スマトラ島の巨大ネズミ」の裏表紙


翌朝、雷鳴の中、ジョン・H・ワトスンが起床すると、シャーロック・ホームズは、既に朝食を済ませて、外出した後だった。

ワトスンが新聞に目を通すと、昨夕(午後6時頃)に発生した造船所での火災は、5つの住宅と3つの倉庫を焼いて、明け方の午前3時頃に鎮火したとの記事が載っていた。7名が死亡しており、スコットランドヤードは放火の疑いを持っていた。

一方で、ポートマンスクエア(Portman Square)近くのベーカーストリート(Baker Street)の路上で殺害されていたのは、ホームズの推測通り、マチルダ・ブリッグス号(Matilda Briggs)の船員レイモンド・ジェナード(Raymond Jenard)であった。同じ船の船頭であるジョン・サンプスン(John Sampson)が、彼の身元を確認していた。


ちょうど帰宅したホームズの元を、船頭のジョン・サンプスンが訪れる。ジョン・サンプスンによると、マチルダ・ブリッグス号は、ロンドンとジャワ島(Java)のバタヴィア(Batavia)の間を定期的に航行しており、7月中旬に船荷を積んで、バタヴィアを出航した、とのことだった。その際、マックギネス船長(Captain McGuinness)は、リプリー牧師(Reverend Ripley)と牧師の同伴者2名を乗船させたと、ジョン・サンプスンは語った。マチルダ・ブリッグス号は、途中、スマトラ島(Sumatra)に寄港し、マックギネス船長は、リプリー牧師のために、ある荷物をそこで特別に積んだようだった。マックギネス船長が密輸に関与しているのではないかと疑うレイモンド・ジェナードとジョン・サンプスンの二人は、マックギネス船長とリプリー牧師達の注意が離れた隙に乗じて、スマトラ島において秘密裡に積み込まれた特別な船荷の様子を調べに出かけた。そして、彼らは、そこに通常では考えられない位の大きさをした巨大ネズミを見つけたのである。


果たして、レイモンド・ジェナードとジョン・サンプスンの二人が見てしまった巨大ネズミとは、一体、何なのか?そして、マックギネス船長とリプリー牧師達は、この巨大ネズミをスマトラ島からロンドンへと持ち込んで、何をしようと企んでいるのか?


この「スマトラ島の巨大ネズミ(The Giant Rat of Sumatra)」事件は、ホームズが別途取り組んでいるアリス・アリステア令嬢(Alice Allistair)の誘拐事件にも、大きく関連してくるのであった。更に、物語の終盤、これら二つの事件の背後には、ホームズシリーズで最も有名な、あの「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」事件も、関わってくるのである。


0 件のコメント:

コメントを投稿