2024年4月26日金曜日

横溝正史作「犬神家の一族」(The Inugami Curse by Seishi Yokomizo)- その1

英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から
2020年に刊行されている
 Pushkin Vertigo シリーズの一つである

横溝正史作「犬神家の一族」の表紙
(Cover design by Anna Morrison)


「犬神家の一族(The Inugami Curse)」は、日本の推理作家である横溝正史(Seishi Yokomizo:1902年ー1981年)による長編推理小説で、金田一耕助(Kosuke Kindaichi)シリーズの一つである。


「犬神家の一族」は、1950年(昭和25年)1月から1951年(昭和26年)5月にかけて、雑誌「キング」に連載された。

作者の横溝正史は、雑誌「キング」の編集サイドから、「(1947年(昭和22年)1月から1948年(昭和23年)10月にかけて、雑誌「宝石」に連載された)金田一耕助シリーズの第2作目に該る「獄門島(Death on Gokumon Island → 2024年3月4日 / 3月6日 / 3月8日 / 3月10日付ブログで紹介済)」のように、物語中に起きる殺人事件に意味を付与して欲しい。」との注文を受け、犬神家の3つの家宝に該る「斧(よき)」、「琴(こと)」、そして、「菊(きく)」による見立て殺人を考案した。


雑誌「キング」に掲載された「犬神家の一族」の連載前の予告によると、犬神家は、東京、信州と瀬戸内海の孤島に分かれていると設定されていたが、実際の連載では、信州のみが事件の舞台となった。


「犬神家の一族」の初回を読んだ後、激賞した雑誌「キング」の編集長から、横溝正史は、「本作品を3年間続けてほしい。」と要望されたが、それ程の大長編を執筆するだけの準備をできていなかったため、実際の連載は、約1年半で完結している。


雑誌「キング」に連載された後、1951年5月に講談社から単行本化された「犬神家の一族」は、当初、通俗長編であると見做されて、専門家による評価はあまり高くなかった。

その後、1976年に角川春樹事務所による第1回映像作品として映画化(監督:市川崑(1915年ー2008年)/ 主演:石坂浩二(1941年ー))され、また、1977年に毎日放送(MBS テレビ)と角川春樹事務所による共同企画に基づき、横溝正史シリーズの第1作(主演:古谷一行(1944年ー2022年))としてテレビドラマ化されたことで、「犬神家の一族」の人気は、一気に上がり、横溝正史作品、また、金田一耕助作品と言えば、「犬神家の一族」と言われる程までになった。

「犬神家の一族」の場合、現在、3本の映画と8本のテレビドラマが制作されており、横溝正史作品としては、最も映像化回数が多い。特に、市川崑が監督した1976年に公開された映画版は、「日本映画の金字塔」とよく称されている。


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