2024年3月7日木曜日

アガサ・クリスティーの世界<ジグソーパズル>(The World of Agatha Christie )- その32

英国の Orion Publishing Group Ltd. から出ている「アガサ・クリスティーの世界(The World of Agatha Christie)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の生涯や彼女が執筆した作品等に関連した90個の手掛かりについて、前回に続き、紹介していきたい。


今回も、アガサ・クリスティーが執筆した作品に関連する手掛かりの紹介となる。


(78)ウクレレ(ukulele)



本ジグソーパズル内において、アガサ・クリスティーが腰掛けている椅子の背後にある2つの鏡のうち、右側の鏡の上に、ウクレレが置かれている。


これから連想されるのは、アガサ・クリスティーが1930年に発表したハーリー・クィン(Harley Quin)シリーズの短編集「謎のクィン氏(The Mysterious Mr. Quin)」に収録されている12編のうち、「翼の折れた鳥(The Bird with the Broken Wing)」である。


英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、2023年に発行された

アガサ・クリスティーをテーマにしたトランプのうち、

「2 ♠️「サタースウェイト氏を抜粋。


降霊会(table-turning)での伝言を受けて、サタースウェイト氏(Mr. Satterthwaite)は、彼の知人であるマッジ・キーリー(Madge Keeley)の家のパーティーに参加する。

パーティーの参加者は、以下の通り。


*ディヴィッド・キーリー(David Keeley):マッジ・キーリーの父で、数学者 / 「透明人間(The Invisible Man)」と呼ばれる程、寡黙な人物

*ロジャー・グラハム(Roger Graham):マッジ・キーリーの婚約者

*グラハム夫人(Mrs. Graham):ロジャー・グラハムの母

*ドリス・コールス(Doris Coles)

*メイベル・アンネスリー(Mabelle Annesley):ジェラルドの妻

*ジェラルド・アンネスリー(Gerard Annesley):メイベルの夫


メイベル・アンネスリーに会ったサタースウェイト氏は、彼女のことを「翼の折れた鳥(The Bird with the Broken Wing)」と言う印象を受けた。


パーティーの席上、マッジ・キーリーは、メイベル・アンネスリーに対して、ウクレレを弾くように促した。そこで、ジェラルド・アンネスリーが、居間からウクレレを、妻のメイベルの元へと持ってきた。そして、月明かりの下、メイベル・アンネスリーは、夜更けまでウクレレの弾き語りをした。

パーティーがお開きとなると、就寝のため、各人がそれぞれの部屋へと戻った。


翌朝、メイベル・アンネスリーが、寝室のドアの後ろ側にぶら下がって死んでいるのが、メイドによって発見される。

なお、夫のジェラルドは、隣りの部屋で眠っており、妻のメイベルが戻って来たことに気付かなかったと証言した。


英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、2023年に発行された

アガサ・クリスティーをテーマにしたトランプのうち、

「6 ♠️「ハーリー・クィンを抜粋。


キーリー家からの連絡を受けて、警察が到着する。捜査担当者であるウィンクフィールド警部(Inspector Winkfield)は、サタースウェイト氏の知人だった。

サタースウェイト氏は、ウィンクフィールド警部に対して、「メイベル・アンネスリーは、自殺ではなく、殺されたのだ。」と主張した。

彼らがメイベル・アンネスリーの死体を調べると、彼女の首に巻かれたロープは、彼女の頸部に残る索状痕よりも太く、サタースウェイト氏の説が裏付けられたのである。


当時としてはかなり先鋭的な動機が、異様な迫力で読者に迫る本作品「翼の折れた鳥」を執筆したアガサ・クリスティーは、ミステリーの女王としての面目を躍如したと言える。


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