2024年3月13日水曜日

横溝正史作「獄門島(Death on Gokumon Island)」の作中で用いられた俳句

英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から
2022年に刊行されている
 Pushkin Vertigo シリーズの一つである

横溝正史作「獄門島」の内扉
(Cover design by Anna Morrison)


日本の推理作家である横溝正史(Seishi Yokomizo:1902年ー1981年)による長編推理小説で、金田一耕助(Kosuke Kindaichi)シリーズの一つである「獄門島(Death on Gokumon Island → 2024年3月4日 / 3月6 / 3月8日 / 3月10日付ブログで紹介済)」の作中において、「見立て殺人」のために用いられた俳句とその英訳版について、今回は紹介したい。


なお、英訳版に関しては、英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から2022年に刊行されている Pushkin Vertigo シリーズの一つである横溝正史作「獄門島」から抜粋する。

「獄門島」は、Louise Heal Kawai によって英訳されている。彼女は、英国のマンチェスター(Manchester)出身で、1990年より日本在住である。


*第1の殺人<被害者:鬼頭 花子(Hanako Kito)>


「鶯の身を 逆さまに 初音かな」


英訳版: Bush warbler upended in its tree - first song of spring.


*第2の殺人<被害者:鬼頭 雪枝(Yukie Kito)>


「むざんやな 冑の下の きりぎりす」


英訳版: How tragic - beneath the helmet, a hidden cricket.


*第3の殺人<被害者:鬼頭 月代(Tsukiyo Kito)>


「一つ家に 遊女も寝たり 萩と月」


英訳版: In the same lodge sleep courtesans - moon and bush clover.


第1の殺人に用いられた俳句の作者は、江戸時代前期の俳諧師で、江戸(現在の東京都)出身の「宝井 其角(たからい そかく:寛文元年(1661年)ー宝永4年(1707年))」である。


第2と第3の殺人に用いられた俳句の作者は、江戸時代前期の俳諧師で、伊賀国(現在の三重県)出身の「松尾 芭蕉(まつお ばしょう:寛永21年(1644年)ー元禄7年(1694年))」で、両方とも、紀行文「おくのほそ道(The Narrow Road to the Deep North)」(元禄15年(1702年))に収録されている。


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