2024年1月7日日曜日

シャーロック・ホームズのトランプ(Sherlock Holmes - Playing Cards)- その4

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、一昨年(2022年)に発行されたシャーロック・ホームズをテーマにしたトランプの各カードについて、前回に引き続き、紹介したい。


(9)3 ❤️キャラバッシュ型パイプ(Curved Pipe)」



シャーロック・ホームズと言うと、吸い口が大きく曲がったキャラバッシュ型パイプを咥えているイメージが強い。

ただし、この型のパイプは、ホームズが活躍した19世紀には、まだ存在していなかった。

そのため、挿絵画家であるシドニー・エドワード・パジェット(Sidney Edward Paget:1860年ー1908年)が「赤毛組合(The Red-Headed League → 2022年9月25日 / 10月9日 / 10月11日 / 10月16日付ブログで紹介済)」等で描いている通り、ホームズは、柄がまっすぐとなったパイプを愛用していた筈である。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1891年8月号「赤毛組合」に掲載された挿絵 -

フリートストリート(Fleet Street)にある
「赤毛組合」の事務所が突然解散した件について、
ザクセンーコーブルクスクエア(Saxe-Coburg Square)において
質屋を営むジェイベス・ウィルスン(Jabez Wilson)が
相談を持ち込んだ後、
シャーロック・ホームズは、
「この問題を解明するには、優にパイプ三服分は必要だ。」と言うと、
椅子の上で身体を丸めると、考え込んだ。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)


キャラバッシュ型パイプは、米国の舞台俳優 / 演出家であるウィリアム・ジレット(William Gillette:1853年ー1937年)が、舞台でホームズを演じる際、舞台上の効果(この型のパイプだと、くわえたままで、台詞を言い易い)から考案されたもので、その後、この型のパイプが、ホームズのトレードマークとなったのである。


(10)3 ♠️「象牙の箱(Ivory Box)」



「瀕死の探偵(The Dying Detective)」事件において、ロウワーバークストリート13番地(13 Lower Burke Street)に住むカルヴァートン・スミス(Culverton Smith)は、シャーロック・ホームズから、甥の殺害の嫌疑をかけられたため、ホームズ宛に小さな白黒の象牙の箱を送り付けて、その中に仕掛けられた罠により、彼を傷付けた上、病気に感染させて、甥と同じように殺害しようと企んだのである。


英国で出版された「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」
1903年12月号「瀕死の探偵」に掲載された挿絵 -
ハドスン夫人から依頼を受けて、
ジョン・H・ワトスンは、
ベーカーストリート221B(221B Baker Street →
2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)を訪れ、
病に罹って、やつれた状態のシャーロック・ホームズを見舞った。
暖炉のマントルピースの上に置かれた小さな白黒の象牙の箱に気付いた
ワトスンは、それを手に取って、もっとよく調べようとしたところ、
ホームズが恐ろしい叫び声をあげた。
「それを下ろせ!ワトスン、下ろすんだ、今直ぐに! -
今直ぐに、と言っているだろう!」と。
画面左側の人物がホームズで、
画面右側の人物がワトスン。
挿絵:ウォルター・スタンレー・パジェット
(Walter Stanley Paget:1862年ー1935年)
彼は、シドニー・エドワード・パジェット

(1860年 - 1908年)の弟である。


「瀕死の探偵」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、43番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1913年12月号に、また、米国では、「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1913年11月22日号に掲載された。

また、同作品は、1917年に発行されたホームズシリーズの第4短編集「シャーロック・ホームズ最後の挨拶(His Last Bow)」に収録されている。


(11)3 ♦️「捕鯨用の銛(Harpoon)」



1895年7月、「ブラック・ピーター(Black Peter)」と呼ばれるピーター・ケアリー(Peter Carey)船長が、捕鯨用の銛(先端に逆トゲが付いた大きな槍)で一突きにされ、殺害されているのが、母屋から離れた小屋で発見される。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1904年3月号「ブラックピーター」に掲載された挿絵 -
1895年7月の第1週の朝、
ジョン・H・ワトスンが朝食を前にして座っているところへ、
帽子を被り、逆トゲが付いた大きな槍を雨傘にように脇の下に挟んだ
シャーロック・ホームズが、外出から戻って来た。
その異様な姿を見たワトスンは、驚いて、ホームズに尋ねるのであった。
「まさか、そんなものを抱えて、ロンドンを歩き回っていたんじゃないだろうな?」と。
画面左側の人物がワトスンで、
画面左側の人物がホームズ。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット

(1860年 - 1908年)


「ブラック・ピーター」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、30番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1904年3月号に、また、米国では、「コリアーズ ウィークリー」の1904年2月27日号に掲載された。

また、同作品は、1905年に発行されたホームズシリーズの第3短編集「シャーロック・ホームズの帰還(The  Return of Sherlock Holmes)」に収録されている。


(12)3 ♣️「手錠(Handcuffs)」



ホームズシリーズを通して、手錠は、犯人の逮捕に使用されている。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1903年12月号「踊る人形(The Dancing Men)」に掲載された挿絵 -
シャーロック・ホームズが解読した暗号を利用した手紙で誘き出された
犯人のエイブ・スレイニー(Abe Slaney)の頭に、
ホームズが拳銃を突き付けると同時に、
ノーフォーク警察(Norfolk Constablary)の
マーティン警部(Inspector Martin)が手錠を掛けた。
画面左側から、ジョン・H・ワトスン、ホームズ、
犯人のエイブ・スレイニー、そして、マーティン警部。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット

(1860年 - 1908年)


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