2022年6月11日土曜日

ジェイムズ・ラブグローヴ作「シャーロック・ホームズ / 悪夢の塊」(Sherlock Holmes / The Stuff of Nightmares by James Lovegrove) - その1

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2013年に出版された
ジェイムズ・ラブグローヴ作
「シャーロック・ホームズ / 悪夢の塊」の表紙
(Images : Dreamstime / Shutterstock / funnylittlefish)

本作品「悪夢の塊(The Stuff of Nightmares)」は、英国イーストサセックス州(East Sussex)ルイス(Lewes)出身の作家であるジェイムズ・マシュー・ヘンリー・ラブグローヴ(James Matthew Henry Lovegrove:1965年ー)によって、2013年に発表された。

1990年から作家活動を始めたジェイムズ・ラブグローヴは、元々、SF小説をメインにしていたが、2013年から、ホームズ作品についても、継続的に発表している。ジェイムズ・ラブグローヴは、「悪夢の塊」(2013年)の後、2014年に「戦いの神々(Gods of War → 2021年10月2日 / 10月8日 / 10月16日付ブログで紹介済)」を発表している。


1890年、ジョン・H・ワトスンの妻メアリーは、3度目の流産を経験して、ケント州(Kent)の田舎で静養していた。妻メアリーの静養先を訪れた後、ワトスンがロンドンのウォータールー駅(Waterloo Station → 2014年10月19日付ブログで紹介済)のコンコースに降り立ったその時(午後3時47分)、何者かが駅構内に仕掛けた爆弾が爆発して、辺りは阿鼻叫喚の渦と化した。

救急活動を手伝うワトスンであったが、爆弾の威力は凄まじく、残念ながら、大きな助けとはならなかった。この緊急事態を知らせるべく、ワトスンは辻馬車を停めて、ベーカーストリート221B(221B Baker Street)へと向かうのであった。

ベーカーストリート221Bに着いたワトスンであったが、そこには、シャーロック・ホームズと彼にウォータールー駅での爆弾事件を知らせるマイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)からの緊急電報が既に待っていた。シャーロックは、ワトスンを伴い、マイクロフトが居るパル・マル通り(Pall Mall → 2016年4月30日付ブログで紹介済)にあるディオゲネスクラブ(Diogenes Club)へと辻馬車を走らせた。


ディオゲネスでは、マイクロフトがシャーロック達の到着を待っていた。マイクロフトが早速話を始める。

マイクロフトによると、1つ目の爆弾は、シティー(City → 2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)のチープサイド通り(Cheapside)のレストランで、2つ目の爆弾は、リージェンツパーク(Regent’s Park → 2016年11月19日付ブログで紹介済)の野外音楽ステージで爆発し、今回のウォータールー駅の爆発が3つ目になる、とのことだった。狙われた場所は、無作為のように見えるものの、爆弾による死者、回を経る毎に、大幅に増加していることから、周到に計画されている可能性が高い。英国議会だけではなく、ヴィクトリア女王(Queen Victoria → 2017年12月10日 / 12月17日付ブログで紹介済)も、この事態を非常に憂慮している、とのことだ。

マイクロフトは、シャーロックに対して、早急な捜査を厳命する。マイクロフトとシャーロックの二人は、ロンドンの暗黒街で暗躍していると噂されている「コシュマー男爵(Baron Cauchemar)」が、今回の爆弾事件の背後に居るのではないかと推測するのであった。


ベーカーストリート不正規隊(Baker Street Irregulars)の情報に基づき、シャーロックとワトスンは、「コシュマー男爵」が出現すると言われているテムズ河(River Thames)の係留地に潜入する。そこでは、中国人女性等の人身売買が行われていた。運悪く、シャーロックとワトスンは、密輸業者達に見つかり、取り囲まれてしまう。


そこへ、深い霧の中から「コシュマー男爵」がその姿を現す。金属の仮面を被り、金属の装甲をその身に纏った「コシュマー男爵」に、シャーロックとワトスンは、命を救われるのであった。

噂のように、「コシュマー男爵」は悪人ではないのか?それとも、噂とは違って、謎の「コシュマー男爵」は、犯罪者達と戦う正義の側に立つ者なのか?

その疑問に答えを見い出せないうちに、「コシュマー男爵」はその姿を消してしまうのであった。


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