2022年6月4日土曜日

デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ作「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 死者の書」(The further adventures of Sherlock Holmes / The Scroll of the Dead by David Stuart Davies) - その2

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2009年に出版された
デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ作
「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 死者の書」の裏表紙


1895年5月初旬、兄であるマイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)からの依頼を受けて、シャーロック・ホームズは、霊媒師を名乗るユーリア・ホークショー(Uriah Hawkshaw)のイカサマを見破り、英国政府の重要機密に通じているロバート・ハイザ卿(Sir Robert Hythe)が騙されるのを防いだ。


それから1週間後の深夜、同じ降霊会に参加していたセバスチャン・メルモス(Sebastian Melmoth)が、ベーカーストリート221B(221B Baker Street)のシャーロック・ホームズの元を訪れる。

彼は、ホームズに対して、「自分は、死後の世界(The life beyond living) / 不死(immortality)を研究している。自分は、死が最終だとは思っていない。(I don’t believe death is the end.)」という謎の言葉を残すと、ベーカーストリート221Bを後にするのであった。


そして、話は、1896年春へと移る。

ある月曜日の朝、スコットランドヤードのアモス・ハードキャッスル警部(Inspector Amos Hardcastle)が、事件の相談のため、ホームズの元へやって来た。

ハードキャッスル警部によると、金曜日の夜、大英博物館(British Museum → 2014年5月26日付ブログで紹介済)に二人組の盗賊が侵入して、「死者の書(The Scroll of the Dead)」と呼ばれるパピルス(papyrus)が盗まれた、とのこと。それに加えて、「オールドサミー(Old Sammy)」と呼ばれている警備員(夜のシフト)であるダヴェントリー(Daventry)が、警備員室において、拳銃で頭を撃たれ、殺害されていた。


ハードキャッスル警部の依頼を受けて、ホームズは、ジョン・H・ワトスンを伴い、大英博物館へと赴いた。

ホームズ達と面会したエジプト部門の学芸員であるチャールズ・パーゲッター卿(Sir Charles Pargetter)によると、


(1)盗まれたパピルスは、1871年に、考古学者であるジョージ・フェーヴァーショー卿(Sir George Favershaw)とアリステア・アンドリューズ卿(Sir Alistair Andrews)によって、エジプトで発掘された。

(2)盗まれたパピルスは、値段のつけようがない程、非常に重要なものである。


とのこと。

ホームズは、更に、警備員(昼のシフト)のジェンキンス(Jenkins)とも面会する。ジェンキンスによると、殺されたダヴェントリーは、賭け事の借金で、首がまわらなくなっていた、とのことだった。


警備員のダヴェントリーが警備員室で殺されたことから、ホームズは、賭け事の借金を清算するために、ダヴェントリーが、パピルスを盗んだ二人組を手引きしたものと推理する。そして、二人組の一人は、昨年の5月に自分のもとを訪れたセバスチャン・メルモスで、盗んだパピルスに書かれた内容を解読して、「死後の世界 / 不死」を握る神官セタフ(high proest Setaph)の墳墓へと至ろうとしていると考えた。


ホームズとワトスンがカーゾンストリート(Curzon Street → 2015年9月12日付ブログで紹介済)にあるセバスチャン・メルモスの家を訪ねるが、対応に出た彼の友人であるトビアス・フェルショー(Tobias Felshaw)は、「セバスチャン・メルモスは、一昨日、ノーフォーク州(Norfolk)にある自分の父親(フェルショー卿(Lord Felshaw))の地所において、狩猟中、銃の暴発により、亡くなった。」と告げるのであった。


セバスチャン・メルモスの事故死の話を聞いて、愕然とするホームズ達であったが、ベーカーストリート221Bへと戻ると、そこには、カトリーナ・アンドリューズ(Catrina Andrews)と名乗る若い女性が、ホームズの帰りを待っていた。彼女は、問題のパピルスを発掘した考古学者の一人であるアリステア・アンドリューズ卿の娘で、彼女によると、父親のアンドリューズ卿が、セントジョンズウッド地区(St. John’s Wood → 2014年8月17日付ブログで紹介済)にある自宅から、突然、姿を消して、行方不明になったと言う。

一方、問題のパピルスを発掘した考古学者のもう一人であるジョージ・フェーヴァーショー卿は、ケント州(Kent)にある自宅において、何者かに殺害されていたのである。


「死後の世界 / 不死」の秘密を探ろうとする何者かが暗躍しているのだ。ホームズが犯人だと推理したセバスチャン・メルモスが事故死しているとすると、一体、何者なのか?


ホームズとワトスンの二人は、セバスチャン・メルモスの事故死を調べるべく、ノーフォーク州へと向かうのであった。


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