2021年3月2日火曜日

アガサ・クリスティー作「牧師館の殺人」<グラフィックノベル版>(The Murder at the Vicarage by Agatha Christie )- その1

HarperCollinsPublishers から出ている
アガサ・クリスティー作「牧師館の殺人」のグラフィックノベル版の表紙
(Cover Design and Illustration by Ms. Nina Tara)-

ルシアス・プロズロウ大佐が殺害された場所の牧師館と
その凶器の拳銃が描かれている。

15番目に紹介するアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)によるグラフィックノベル版は、「牧師館の殺人(The Murder at the Vicarage)」(1930年)である。

本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第10作目に該り、ミス・ジェーン・マープルシリーズに属する長編のうち、第1作目に該っている。


HarperCollinsPublishers から出ている
アガサ・クリスティー作「牧師館の殺人」のグラフィックノベル版の裏表紙
(Cover Design and Illustration by Ms. Nina Tara)-

ルシアス・プロズロウ大佐が殺害された時刻である
午後6時20分を表示する時計が描かれている。


本作品のグラフィックノベル版は、元々、アルジェリア出身のイラストレーターである Norma (Norbert Morandiere:1956年ー)が作画を担当して、2005年にフランスの Heupe SARL から「L’Affaire Protheroe」というタイトルで出版された後、2008年に英国の HarperCollinsPublishers から英訳版が発行されている。

物語は、ある水曜日の午後、セントメアリーミード村に住む
レナード・クレメント牧師、妻のグリゼルダと甥のデニスによる昼食の席から始まる

レナード・クレメント牧師(Reverend Leonard Clement)は、ロンドン郊外のセントメアリーミード(St. Mary Mead)という小さな村にある教会の司祭(vicar)を務めていた。

ある水曜日の午後、牧師館において、レナード・クレメント牧師は、若き妻のグリゼルダ(Griselda)と甥のデニス(Dennis)と一緒に、昼食をとっていた。昼食の席における彼らの話題は、ルシアス・プロズロウ大佐(Colonel Lucius Protheroe)のことでもちきりだった。プロズロウ大佐は、セントメアリーミード村の教区委員で、次の日の午後、牧師館にやって来て、教会の献金袋から盗まれた1ポンド紙幣の件について、クレメント牧師と話し合いをもつことになっていたのである。牧師補のホーズ(Hawes)が、問題の1ポンド紙幣を盗んだと疑われていた。


セントメアリーミード村の教区委員を務めるルシアス・プロズロウ大佐は、
教会の献金袋から1ポンド紙幣が盗まれた件を問題にしていた。


プロズロウ大佐は、クレメント牧師を困らせることを何より楽しみにしていたため、昼食の席上、クレメント牧師は、思わず、「誰でもいいから、プロズロウ大佐をあの世へ送ってくれたら、世の中は随分と良くなるだろう。」と口走るのだった。

昼食後、ルシアス・プロズロウ大佐の娘であるレティス・プロズロウが、
レナード・クレメント牧師の元を訪れる。


程なくして、プロズロウ大佐の娘であるレティス(Lettice)が、牧師館を訪れる。

彼女によると、セントメアリーミード村に滞在している肖像画家のローレンス・レディング(Lawrence Redding)に対して、父親のプロズロウ大佐は、プロズロウ家の地所であるオールドホール(Old Hall)への出入りを禁じた、とのこと。何故ならば、辺りにプール等がないにもかかわらず、水着姿になっているレティスをモデルにして、ローレンス・レディングが絵を描いている現場を、プロズロウ大佐が偶然見つけたからである。

レティスは、口うるさく、何事にも理解がない父親のプロズロウ大佐について、辟易していた。


アトリエ内でローレンス・レディングと情熱的なキスを交わしていた
ルシアス・プロズロウ大佐の妻であるアン・プロズロウに対して、
レナード・クレメント牧師は、軽はずみな関係はできる限り早く終わらせるよう、諭す。


レティス・プロズロウが帰った後、クレメント牧師は、ローレンス・レディングのアトリエまで歩いて行く。牧師館の庭の一画に小屋があり、ローレンス・レディングは、セントメアリーミード村に滞在中、この小屋をアトリエとして使用していた。

クレメント牧師は、アトリエ内でローレンス・レディングとプロズロウ大佐の妻であるアン(Anne)の二人が情熱的なキスを交わしている現場を、偶然見かけてしまう。

クレメント牧師の跡を追って、牧師館の書斎まで追いかけてきたアン・プロズロウに対して、クレメント牧師は、軽はずみな関係はできる限り早く終わらせるよう、諭すのであった。


アトリエ内でアン・プロズロウと情熱的なキスを交わしていたローレンス・レディングに対しても、
レナード・クレメント牧師は忠告を与えるが、ローレンスはクレメント牧師の忠告を全く聞き入れなかった。


全く偶然だが、ローレンス・レディングは、その夜、牧師館の夕食に招かれていた。

夕食後、牧師館の書斎において、クレメント牧師は、ローレンス・レディングに対して、厳しく叱責するとともに、できるだけ早く村を立ち去るよう、忠告する。ところが、ローレンス・レディングは、クレメント牧師の忠告を全く受け入れず、「プロズロウ大佐が死んでくれれば、いい厄介払いになる。」とうそぶくと、「自分は、25口径のモーゼル銃を持っている。」と、恐ろしいことを口にするのだった。


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