2018年9月1日土曜日

ロンドン セントポール大聖堂(St. Paul’s Cathedral)–その3

カーターレーン(Carter Lane)から見上げたセントポール大聖堂(その1)

ウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)が英国王室の菩提寺として例えられるのに対して、セントポール大聖堂(St. Paul’s Cathedral)は、市民の大聖堂として、古くからロンドン市民に親しまれてきたが、一方で、英国が関与した対戦の勝利を祝う式典の場としても使用されてきており、また、英国王室との繋がりも強くなり、国家的かつ国民的象徴としての特徴を増している。

地下鉄チャリングクロス駅(Charing Cross Tube Station)の
ベーカールーライン(Bakerloo Line)のプラットフォーム壁に
描かれているエリザベス1世

主な例を挙げると、旧セントポール大聖堂(Old St. Paul’s Cathedral)では、エリザベス1世(Elizabeth I:1533年ー1603年 在位期間:1558年ー1603年)によるスペイン無敵艦隊撃滅記念式典が行われた他、新セントポール大聖堂の地下納骨堂には、

(1)1805年のトラファルガーの海戦(Battle of Trafalgar)において、フランスの皇帝ナポレオン1世(Napoleon I) / ナポレオン・ボナパルト(Napoleon Bonaparte:1769年ー1821年 在位期間;1804年ー1814年+1815年)率いるフランス / スペイン連合艦隊を打ち破った英国海軍提督の初代ネルソン子爵ホレーショ・ネルソン(Horatio Nelson, 1st Viscount Nelson:1758年ー1805年)が眠る棺と

地下鉄チャリングクロス駅(Charing Cross Tube Station)の
ベーカールーライン(Bakerloo Line)のプラットフォーム壁に
描かれている初代ネルソン子爵ホレーショ・ネルソンと
当時の新聞の見出し

トラファルガースクエア(Trafalgar Square)内に建つ
ネルソン記念柱(Nelson's Column)

(2)1815年のワーテルローの戦い(Battle of Waterloo)において、ナポレオン軍を打ち破った英国の軍人で、政治家でもあった初代ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリー(Arthur Wellesley, 1st Duke of Wellington:1769年ー1852年)が眠る棺が安置されている。

ちなみに、セントポール大聖堂内では、写真撮影を禁止されている。

地下鉄バンク駅(Bank Tube Station)の近くに設置されている
初代ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーのブロンズ像–
画面奥に見える建物は、旧ロンドン証券取引所(London Stock Exchange)

その他の著名人としては、

(3)セントポール大聖堂を再建した建築家で、天文学者や数学者でもあったサー・クリストファー・マイケル・レン(Sir Christopher Michael Wren:1632年ー1723年)

地下鉄チャリングクロス駅(Charing Cross Tube Station)の
ベーカールーライン(Bakerloo Line)のプラットフォーム壁に
描かれているサー・クリストファー・マイケル・レン

(4)ロマン主義の画家であるジョーゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(Joseph Mallord William Turner:1775年ー1851年)

テート・ブリテン美術館(Tate Britain
→2018年2月18日付ブログで紹介済)に所蔵されている
ジョーゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの自画像

(5)ラファエル前派(Pre-Raphaelite Brotherhood)の一員に数えられる画家である初代准男爵サー・ジョン・エヴァレット・ミレー(Sir John Everett Millais, 1st Baronet:1829年ー1896年)

テート・ブリテン美術館の裏手に設置されている
初代准男爵サー・ジョン・エヴァレット・ミレーのブロンズ像

(6)抗菌物質リゾチームとアオカビから見い出した世界初の抗生物質ペニシリンを発見した細菌学者であるサー・アレクサンダー・フレミング(Sir Alexander Fleming:1881年ー1955年)

(7)大理石やブロンズを使った大きな抽象彫刻で知られる芸術家 / 彫刻家であるヘンリー・スペンサー・ムーア(Henry Spencer Moore:1898年ー1986年)

等も地下納骨堂に埋葬されている。

遠方のビルから見たセントポール大聖堂の建物正面

政治家関係では、

(8)保守党党首 / 首相として、第二次世界大戦(1939年ー1945年)を主導した政治家で、 軍人や作家でもあったサー・ウィンストン・レナード・スペンサー=チャーチル(Sir Winston Leonard Spencer-Churchill:1874年ー1965年)の葬儀が、1965年、ウィンザー朝の第4代女王のエリザベス2世(Elizabeth II:1926年ー 在位期間:1952年ー )臨席の下、セントポール大聖堂にて行われた。

パーラメントスクエア(Parliament Square)内に設置されている
サー・ウィンストン・レナード・スペンサー=チャーチルのブロンズ像–
彼のブロンズ像は、国会議事堂の方を向いて、建っている

更に、(9)英国初の女性保守党党首 / 女性首相として「鉄の女(iron lady)」の異名で知られた政治家であるサッチャー女男爵マーガレット・ヒルダ・サッチャー(Margaret Hilda Thatcher, Baroness Thatcher:1925年ー2013年)の葬儀も、2013年にセントポール大聖堂にて行われている。

カーターレーン(Carter Lane)から見上げたセントポール大聖堂(その2)

英国王室関係では、チャールズ王太子(正式名:ウェールズ公チャールズ / Prince Charles, the Prince of Wales:1948年ー )とダイアナ元妃(正式名:ウェールズ公妃ダイアナ / Diana, Princess of Wales:1961年ー1997年)の結婚式も、1981年にセントポール大聖堂で行われたのである。

バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)のバルコニー上の
女王エリザベス2世、チャールズ王太子とダイアナ元妃

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