2017年4月30日日曜日

ロンドン ジョンソン博士の家(Dr. Johnson's House)

「ジョンソン博士の家」として一般公開されているゴフスクエア17番地の建物

18世紀の英国において、小説家、詩人、評論家、道徳家、文芸評論家、伝記作家、編集者、そして、辞書編纂者として多岐にわたり、英国の文学界に多大な貢献をしたサミュエル・ジョンソン(Samuel Johnson:1709年ー1784年)が住んでいた家、所謂、「ジョンソン博士の家(Dr. Johnson's House)」が、シティー・オブ・ロンドン(City of London)のゴフスクエア(Gough Square)内に建っている。


トラファルガースクエア(Trafalgar Square)からシティー・オブ・ロンドンへ向かって東に延びるストランド通り(Strandー2015年3月29日付ブログで紹介済)は、シティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)とシティー・オブ・ロンドンの境界線にあるテンプルバー(Temple Bar)を越えると、フリートストリート(Fleet Streetー2014年9月21日付ブログで紹介済)へと名前を変える。フリートストリートがフェッターレーン(Fetter Lane)を過ぎたところで、左手にある細い小道を北上すると、ゴフスクエアと呼ばれる小さい広場に出る。この広場に面した「ゴフスクエア17番地」の建物が、「ジョンソン博士の家」である。

早朝のゴフスクエア(東側)

ゴフスクエア17番地の5階建ての家(地階を含む)は、インドや中国等と羊毛の取引を行っていたリチャード・ゴフ(Richard Gough)によって、17世紀の終わり頃に建てられた。彼の名前に因んで、この建物が面している広場は、ゴフスクエアと呼ばれるようになったと思われる。

早朝のゴフスクエア(西側)
1737年にサミュエル・ジョンソンが生まれ故郷のイングランド中部のスタフォードシャー州(Staffordshire)のリッチフィールド(Lichfield)からロンドンに出て来た後、1748年から1759年までの間、この家を借りて、ここで執筆活動をしていた。一番重要なのは、彼がここで1755年に「英語辞典(A Dictionary of the English Language)」2巻の編纂を完成させたことである。約150年後の1928年に「オックスフォード英語辞典(Oxford English Dictionary)」が完成するまでの間は、サミュエル・ジョンソンによる英語辞典が英国におけるスタンダードとなった。
1737年にロンドンに出て来てから、1784年に亡くなるまでの間、サミュエル・ジョンソンは、シティー・オブ・ロンドン内で計18軒の家に住んだとのことだが、今も現存しているのは、ゴフスクエア17番地の建物1軒のみである。

「ジョンソン博士の家」の入口

19世紀に入ると、ゴフスクエア17番地の建物は、ホテル、印刷屋や倉庫等に使用された。
1876年に、王立芸術協会(Royal Society of Arts)が、ジョンソン博士がここに住んでいたことを示すプラークを建物の外壁に架けている。

1876年に「王立芸術協会」が
ゴフスクエア17番地の建物の外壁に架けたプラーク

政治家で、新聞事業家(兄達が経営する新聞会社の社長も務めた)でもあった初代ハームズワース男爵セシル・ビショップ・ハームズワース(Cecil Bisshopp Harmsworth, 1st Baron Harmsworth:1869年ー1948年)が、1911年4月にゴフスクエア17番地の建物を購入し、建築家アルフレッド・バー(Alfred Burr)の指導の下、建物の改装工事を実施して、1914年に「ジョンソン博士の家」として一般公開した。
現在、「ジョンソン博士の家」は、「ジョンソン博士の家信託(Dr. Johnson's House Trust Ltd.)」によって運営されている。

「ジョンソン博士の家」の公開日/時間等が表示されたプレート

「ジョンソン博士の家」が面して建つゴフスクエアの反対側(東側)には、サミュエル・ジョンソンが勝っていた猫ホッジ(Hodge)のブロンズ像が設置されている。

ゴフスクエア内には、
サミュエル・ジョンソンが飼っていた
猫ホッジのブロンズ像が設置されている
サミュエル・ジョンソンが飼っていた猫ホッジのブロンズ像アップ

一方、サミュエル・ジョンソンのブロンズ像は、トラファルガースクエアからシティー・オブ・ロンドンへ向かって東に延びるストランド通りがフリートストリートへと名前を変える辺り、つまり、シティー・オブ・ウェストミンスター区とシティー・オブ・ロンドンの境界線近くに建っている。具体的には、王立裁判所(Royal Court of Justiceーイングランドとウェールズの最高法廷)の前で、ストランド通りの中州に建つセントクレメントディンズ教会(St. Clement Danes)の裏側に、彼の像はひっそりと佇んでいる。

セントクレメントディンズ教会の裏側に建つ
サミュエル・ジョンソンのブロンズ像

0 件のコメント:

コメントを投稿