2022年7月20日水曜日

ステュアート・ダグラス作「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 偽者の探偵」(The further adventures of Sherlock Holmes / The Counterfeit Detective by Stuart Douglas) - その1

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2016年に出版された
ステュアート・ダグラス作
「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 偽者の探偵」の表紙

本作品「偽者の探偵(The Counterfeit Detective)」は、英国出身の推理作家であるステュアート・ダグラス(Stuart Douglas)によって、2016年に発表された。

ステュアート・ダグラスは、前年(2015年)に「アルビノの財宝(The Albino’s Treasure → 2022年6月29日 / 7月2日 / 7月7日付ブログで紹介済)」を既に発表している。


1899年の夏、シャーロック・ホームズは、過酷な日々を送っていた。彼は、前年より、兄のマイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)からの密命を受けて、密かに何か重要な任務に従事していた。

彼は、何日も姿を見せなかった後、深夜、非常に疲れ切った様子で、ベーカーストリート221B(221B Baker Street)に戻って来るのである。しばしば、彼は負傷していて、同居人であるジョン・H・ワトスンが傷の手当てを行う必要があった。ワトスンは、ホームズの健康状態を気づかう。


一方、南アフリカにおいて、ボーア人(Boers - オランダ系移民の子孫)が建国したトランスヴァール共和国(Republic of Transvaal → 正式名:South African Republic) / オレンジ自由国(Orange Free State)とケープ植民地(Cape Colony)を占領した大英帝国の間で、緊張が高まっていて、そのことが新聞の紙面を騒がせていた。


ある朝、二人で朝食をとっていると、ワトスンは、ホームズから、「準備が整い次第、できる限り早く、ニューヨークへと向かうつもりだ。」と告げられる。

ホームズの急な話に驚くワトスンに対して、ホームズは、ある手紙を渡す。その手紙は、「善意の密告者(A Well Wisher)」を名乗る人物からで、署名も為されていない上に、差出人が誰であるかを含めて、その詳細については、全く不明であった。


その手紙によると、彼の叔父が雇われている屋敷で発生した盗難事件に関して、彼の叔父が無実の罪に問われそうになった際、ホームズが彼の叔父の潔白を証明してくれたため、彼としては、ホームズに対して、多大な恩義があると言う。

その後、彼は米国へと渡り、ニューヨークに自宅を構えているが、現在、彼の妻側の家族がホテル業を行なっているカリフォルニア州への移住を考えている、とのこと。

そんなある朝、彼が勤め先から自宅へと歩いて帰る途中、新聞売りの少年の横を通った際、新聞の見出しに「シャーロック・ホームズ」という名前が出ているのが目に入った。ホームズの新しい活躍が読めると思い、彼が新聞売りの少年から新聞を買ったところ、「シャーロック・ホームズは、(ロンドンではなく、)現在、ニューヨークにおいて探偵業に従事しており、既にニューヨーク市内に多くの相談客を抱えている。」という記事が載っていた。記事によると、シャーロック・ホームズは、ニューヨークでの定住を考えているようである。


ところが、新聞に載っていたシャーロック・ホームズの写真は、本人に似てはいるものの、彼が会ったことがある人物とは、全く似ていなかったのである。

彼としては、恩義がある、そして、ロンドンに居る本物のシャーロック・ホームズ本人に対して、偽者と思われる人物がニューヨークでシャーロック・ホームズの名を騙って活動しているということを知らせたかったと、手紙を結んでいた。


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