2020年5月16日土曜日

ジョン・ディクスン・カー作「三つの棺」(The Three Coffins by John Dickson Carr)–その2

モンタギュープレイス(Montague Place)から見たラッセルスクエア(画面の左側)

大英博物館(British Museum)の近くにあるパブ「ウォーリックタヴァーン(Warwick Tavern)」で、不可解な出来事があった日の3日後に該る2月9日(土)の晩、ロンドン中心部のストランド地区(Strand)内に所在するアデルフィテラス1番地(1 Adelphi Terrace→2018年11月25日付ブログで紹介済)のギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)邸において、妻のドロシー・ランポール(Dorothy Rampole)を伴って、米国からやって来たテッド・ランポール(Ted Rampole)は、ギディオン・フェル博士とスコットランドヤード犯罪捜査課(CID)のハドリー警視(Superintendent Hardley)の二人と旧交をあたためていた。
なお、テッド・ランポールは、「魔女の隠れ家(Hag’s Nook→2020年3月8日 / 3月15日 / 3月22日 / 3月29日付ブログで紹介済)」や「帽子収集狂事件(The Mad Hatter Mystery→2018年4月29日 / 5月5日付ブログで紹介済)」等に登場。

ストランド地区内に建つアデルフィビル(Adelphi Building)–
ギディオン・フェル博士邸があったアデルフィテラス1番地は、
このビルの裏側の通り

テッド・ランポールは、二人に対して、彼の友人で、新聞記者のボイド・マンガン(Boyd Mangan)から聞いたパブ「ウォーリックタヴァーン」での出来事を話す。
ボイド・マンガンによると、シャルル・ヴェルネ・グリモー教授(Professor Charles Vernet Grimaud)が彼に電話してきて、「2月9日の夜、グリモー邸を訪れると脅かす人物が居るので、当日、グリモー邸に来てほしい。」と頼んできた。ボイド・マンガンは、シャルル・グリモー教授に対して、警察に連絡するように進言するものの、残念ながら、教授は、聞く耳を持たなかっった。その代わり、シャルル・グリモー教授は、ボイド・マンガンに対して、「用心の為に、大きな絵画を買った。」と、意味深なことを告げるのであった。
テッド・ランポールがボイド・マンガンから聞いた話によれば、シャルル・グリモー教授が購入した絵画は、樹々と墓石が描かれた風景画で、教授の友人であるジェローム・バーナビー(Jerome Burnaby)による作品、とのこと。
一体、その風景画が、何の用心となるのだろうか?シャルル・グリモー教授は、何故、急にそんな絵画を購入したのか?

ラッセルスクエアの西側の歩道

テッド・ランポール経由、ボイド・マンガンの話を聞いたギディオン・フェル博士は、ボイド・マンガンの話にただならぬものを感じ、何か事件が起きるのではないかと予感して、その場に居たテッド・ランポールとハドリー警視を伴い、ブルームズベリー地区(Bloomsbury)内のラッセルスクエア(Russel Square)の西側に建つグリモー邸へと急行する。
ハドリー警視が運転する車は、雪が降り止んだストランド通り(Strand→2015年3月29日付ブログで紹介済)を駆け抜ける。時刻は、午後10時5分過ぎだった。

グリモー邸に駆け付け、玄関口へと向かって、石段を上がる三人であったが、時既に遅く、ギディオン・フェル博士が予感した通り、恐ろしい事件が発生した直後であった。

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