2018年2月18日日曜日

ロンドン テイト・ブリテン美術館(Tate Britain)


ロンドンの中心部シティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)のピムリコ地区(Pimlico)内のテムズ河(River Thames)畔に建つテイト・ブリテン美術館(Tate Britain)は、ミルバンク刑務所(Millbank Penitentiaryー1816年から1890年まで使用された → 2018年1月11日 / 17日付ブログで紹介済)の跡地に建設された国立美術館で、テイト・モダン美術館(Tate Modern)、テイト・リヴァプール美術館(Tate Liverpool)やテイト・セントアイヴス美術館(Tate St. Ives)と共に、国立美術館ネットワーク「テイト(Tate)」の一部を成しており、同ネットワーク内では最古の美術館である。


テイト・ブリテン美術館の前身は、「ナショナル・ギャラリー・オブ・ブリティッシュ・アート(National Gallery of British Art)」というナショナル・ギャラリー(National Gallery)の英国美術専門の分館で、英国の砂糖精製業者(特に角砂糖の特許買収および製造で財を成した)で、慈善家でもあった初代準男爵サー・ヘンリー・テイト(Sir Henry Tate, 1st Baronet:1819年ー1899年)によって設立された。



1890年にミルバンク刑務所が閉鎖された後、1892年より同所の解体工事が始まり、1903年まで続いた。同所の解体工事に並行して、1893年に美術館の建設工事が開始して、1897年(7月21日)にオープンを迎えている。



オープン当初の正式名は、前述の通り、「ナショナル・ギャラリー・オブ・ブリティッシュ・アート」であったが、設立者である初代準男爵サー・ヘンリー・テイトの名前に因んで、当初より「テイト・ギャラリー(Tate Gallery)」と一般に呼ばれており、1932年に「テイト・ギャラリー」が美術館の正式名として採用された。



その後、テイト・ギャラリーは、英国美術の他に、世界の近代・現代美術を扱うようになり、ナショナル・ギャラリーの分館ではなく、独立した美術館となった。
英国美術に加えて、世界の近代・現代美術を取り扱うようになって、所蔵作品が多くなったテイト・ギャラリーは、テムズ河南岸のサウスバンク地区(South Bank)に近代・現代美術専門の分館となる「テイト・モダン美術館」を2000年にオープンした後、英国美術専門の美術館に戻り、2000年(3月)に「テイト・ブリテン美術館」に名称を変更。大改修工事を経て、2001年に再開館し、現在に至っている。



テイト・ブリテン美術館は、現在、1500年代のテューダー朝から現代に至るまでの絵画を中心とした英国美術を時代順に展示している。特に、19世紀中頃のヴィクトリア朝で活躍した美術家や批評家から成るグループの「ラファエル前派(Pre-Raphaelite Brotherhood)」の作品が揃っている。また、専門のウィング(翼)であるクロアギャラリー(Clore Gallery)において、英国ロマン主義の画家であるジョーゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(Joseph Mallord William Turner:1775年ー1851年)が寄贈した初期から晩年に至るまでの作品群が常設展示されている。



なお、テイト・ブリテン美術館の建物は、1970年に「グレードⅡ(Grade II listed)」の指定を受けている。



本筋からは外れるものの、テイト・ブリテン美術館に所蔵されている作品については、シャーロック・ホームズやジョン・H・ワトスンの二人が活躍していた頃のものが多く、主要な作品とそれらを描いた画家達を、次回以降、順次紹介していきたい。

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