2016年5月15日日曜日

ロンドン シャフツベリーアベニュー(Shaftesbury Avenue)

シャフツベリーアベニューは、常時、タクシーやバス等で混雑している
奥に見るのが、ピカデリーサーカス

サー・アーサー・コナン・ドイル作「ギリシア語通訳(The Greek Interpreter)」において、ある水曜日の夕刻、シャーロック・ホームズとジョン・ワトスンの二人は、パル・マル通り(Pall Mall)にある「ディオゲネスクラブ(Diogenes Club)」を訪れる。そこで兄のマイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)に会ったシャーロックは、兄の隣人で、主にギリシア語通訳を生活の糧にしているメラス氏(Mr Melas)を紹介された。メラス氏によると、2日前、つまり、月曜日の夜に非常に恐ろしい体験をして、その件でシャーロックに捜査をお願いしたいと言う。


「問題を抱えた(=自国語しか話せない)外国人や夜遅く到着して私の通訳を必要とする旅行者から、変な時間に呼び出されるのは、それ程珍しいことではありません。ですので、月曜日の夜、上流階級風の身なりをした青年ラティマー氏が(パル・マル通りにある)私の部屋へやって来て、戸口に待たせている辻馬車に乗り、彼と一緒に来てほしい
と依頼した時も、私は特に驚きませんでした。ラティマー氏によると、ギリシア人の友人が商用で彼に会いに来ているが、その友人は母国語(=ギリシア語)以外全く話せないので、私の通訳が必要だとのことでした。ラティマー氏は私に自分の家は少し離れたケンジントンにあると言い、非常に慌てている様子で、私達が通りへ出ると、彼は急いで私を辻馬車の内に押し込みました。」
「今、私は辻馬車に乗ったと言いましたが、私が乗ったのが辻馬車なのかどうか、直ぐに疑問を抱きました。何故ならば、ロンドンの面汚しとも言える普通の四輪馬車よりも、明らかにその馬車の室内の方が広かったからです。そして、ややすり切れていましたが、車内の調度品は高級でした。ラティマー氏が私の真正面に座ると、馬車は出発し、チャリングクロス交差点を抜けて、シャフツベリーアベニューまで来ました。」

シャフツベリーアベニューの南側から北側を見たところ

'It happens not unfrequently that I am sent for at strange hours by foreigners who get into difficulties, or b travelers who arrive late and wish my services. I was not surprised, therefore, on Monday night when a Mr Latimer, a very fashionably dressed young man, came up to my rooms and asked me to accompany him in a cab which was waiting at the door. A Greek friend had come to see him upon business, he said, and as he could speak nothing but his own tongue, the services of an interpreter were indispensable. He gave me to understand that his house was some little distance off, in Kensington, and he seemed to be in a great hurry, bustling me rapidly into the cab when we had descended to the street.
'I say into the cab, but I soon became doubtful as to whether it was not a carriage in which I found myself. It was certainly more roomy than the ordinary four-wheeled disgrace to London, and the fittings, though frayed, were of rich quality. Mr Latimer seated himself opposite to me and we started off through Charing Cross and up the Shaftesbury Avenue.'

シャフツベリーアベニューの北側から南側を見たところ

シャフツベリーアベニュー(Shaftesbury Avenue)は、ロンドンのソーホー地区(Soho)内にあり、ピカデリーサーカス(Piccadilly Circus)からニューオックスフォードストリート(New Oxford Streetー地下鉄トッテナムコートロード駅(Tottenham Court Road Tube Station)と地下鉄ホルボーン駅(Holborn Tube Station)を結ぶ通り)へ向かって北東に延びる通りである。シャフツベリーアベニューは、途中チャリングクロスロード(Charing Cross Road)を横切るが、ピカデリーサーカスからチャリングクロスロードまでがシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)に属し、チャリングクロスロードからニューオックスフォードストリートまでがロンドン・カムデン区(London Borough of Camden)に属する。

シャフツベリーアベニューから左手奥に入ると、
チャイナタウンがある

シャフツベリーアベニューは、19世紀後半(1877年ー1886年)に建築家の George Vulliamy と技術者の Sir Joseph Bazalgette によって開発された。シャフツベリーアベニューが開発されたのは、(1)ソーホー地区内の交通渋滞を解消することと(2)同地区内のスラム街を一掃することが目的であった。

「レ・ミゼラブル」がロングランを続けている
クイーンズ劇場

シャフツベリーアベニュー沿いには、映画館が多く軒を連ねていたが、映画産業が衰退するに従い、映画館はシャフツベリーアベニューからレスタースクエア(Leicester Square)近辺に集中するようになった。その代わりに、劇場がシャフツベリーアベニューに進出するようになる。その中には、ロングランを続ける「レ・ミゼラブル(Les Miserables)」を上演するクイーンズ劇場(Queen's Theatre)がある。同ミュージカルが以前上演されていたパレス劇場(Palace Theatre)も、シャフツベリーアベニュー沿いに建っている。

クイーンズ劇場横の Wardour Street の壁に架けられている
「レ・ミゼラブル」の看板ー
主要登場人物であるコゼット(Cosette)が描かれている 

シャフツベリーアベニューが開発されたことに伴い、その南側一帯にチャイナタウン(Chinatown)が出来上がり、今でもヨーロッパ最大規模まで大きくなった。具体的には、シャフツベリーアベニューと並行して走るジェラードストリート(Gerrard Street)とライルストリート(Lisle Street)の2本の通りに挟まれた一帯に、中華料理店が数多く軒を連ねている。最近は、この一帯に限らず、チャイナタウンはその拡大を続けている。

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