2016年5月28日土曜日

ロンドン オックスフォードストリート(Oxford Street)

オックスフォードサーカスからマーブルアーチへ向かうオックスフォードストリート(画面奥)を望む

サー・アーサー・コナン・ドイル作「ギリシア語通訳(The Greek Interpreter)」において、ある水曜日の夕刻、シャーロック・ホームズとジョン・ワトスンの二人は、パル・マル通り(Pall Mallー2016年4月30日付ブログで紹介済)にある「ディオゲネスクラブ(Diogenes Club)」を訪れる。そこで兄のマイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)に会ったシャーロックは、兄の隣人で、主にギリシア語通訳を生活の糧にしているメラス氏(Mr Melas)を紹介された。メラス氏によると、2日前、つまり、月曜日の夜に非常に恐ろしい体験をして、その件でシャーロックに捜査をお願いしたいと言う。


メラス氏の説明によると、当夜、彼は上流階級風の身なりをした青年ラティマー氏(Mr Latimer)から通訳の依頼を受け、ラティマー氏が戸口に待たせていた辻馬車に一緒に乗って、パル・マル通りからケンジントン(Kensington)へと出発した。ところが、辻馬車はチャリングクロス交差点(Charing Crossー2016年5月25日付ブログで紹介済)を抜けて、シャフツベリーアベニュー(Shaftesbury Avenueー2016年5月15日付ブログで紹介済)経由、オックスフォードストリート(Oxford Street)へと達する。これでは、ロンドンの西部に位置するケンジントンとは反対方向へ、辻馬車は進んでいることになってしまう。メラス氏の胸の内では、ラティマー氏に対する疑念が生じ始めていた。

「ジョン・ルイス」デパートの外壁(通常時)
「ジョン・ルイス」デパートの外壁(クリスマス期間中)

「辻馬車がオックスフォードストリートまで来ました。私がラティマー氏に対して、「ケンジントンへ行くには、遠回りの道になるのでは?」と思い切って尋ねたところ、彼のとんでもない態度に私は言葉を失いました。」
「彼は鉛が入った物凄く恐ろしげな様子の棍棒をポケットから引っ張り出して、重さと強さを試すように数回前後に振りました。それから、彼は何も言わないまま、棍棒を自分の横の座席の上に置きました。その後、彼は辻馬車の両側の窓を引き上げました。驚いたことには、私が外を見ることができないように、両側の窓は紙で覆われていたのです。」

「ジョン・ルイス」デパート前のオックスフォードストリートは
買物客や観光客等でいつも賑わっている
「ジョン・ルイス」デパートの外壁には、英国の芸術家/彫刻家である
バーバラ・ヘップワース(Barbara Hepworth:1903年―1975年)による
作品「翼のある形(Winged Figure)」が設置されている

'We had come out upon Oxford Street and I had returned some remark as to this being a roundabout way to Kensington, when my words were arrested by the extraordinary conduct of my companion.
'He began by drawing a most formidable-looking bludgeon loaded with lead from his pocket, and switching it backward and forward several times, as if to test its weight and strength. Then he placed it without a word upon the seat beside him. Having done this, he drew up the windows on each side, and I found to my astonishment that they were covered with papers so as to prevent my seeing through them!'

リージェントストリート(Regent Street)から見た
オックスフォードサーカス

オックスフォードストリートはロンドンの中心部シティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)内にあり、東側はトッテナムコートロード(Tottenham Corut Road)から始まり、西側はマーブルアーチ(Marble Arch)に至る約 2.5 kmの長い通りである。オックスフォードストリートの下には地下鉄セントラルライン(Central Line)が走っていて、東側から順番にトッテナムコートロード駅(Tottenham Court Road Tube Station)、オックスフォードサーカス駅(Oxford Circus Tube Station)、ボンドストリート駅(Bond Street Tube Station)、そして、マーブルアーチ駅(Marble Arch Tube Station)の4駅が同ストリート沿いに位置している。

「ハウス・オブ・フレイザー」デパートの外壁(クリスマス期間中)

オックスフォードストリートの起源はローマ時代にまで遡る。それ以降、ストリートの南側にタイバーン川(River Tyburn)が流れていたことからタイバーンロード(Tyburn Road)と呼ばれたり、あるいは、オックスフォードロード(Oxford Road)と呼ばれたりしていたが、1729年にはオックスフォードストリートとしての名前が定着し始めた。
18世紀後半、ストリート一帯はオックスフォード伯爵(Earl of Oxford)によって購入された後、開発されて、19世紀に入ると、多くの店舗で賑わうようになった。第二次世界大戦(1939年ー1945年)時の1940年9月17日の夜から同年9月18日の未明にかけて、ドイツ軍による爆撃を受けて、オックスフォードストリート沿いも大打撃を被ったが、その後復興し、現在に至っている。

オックスフォードサーカスにある
地下鉄オックスフォードサーカス駅の出入口

メラス氏が乗った辻馬車がシャフツベリーアベニューを抜けて至ったオックスフォードストリートは、同ストリートの東端に該るトッテナムコートロードに接する辺りかと思われるが、そこからマーブルアーチに至る通りの両側には各種店舗やデパート等が建ち並び、いつも買物客や観光客等で一杯である。特に、オックスフォードストリートの中間点にある地下鉄オックスフォードサーカス駅周辺(渋谷のスクランブル交差点を取り入れた十字路)の人混みは物凄く、時間帯によっては、地下鉄の駅に入れない時があったりする位である。

「デベナムス」デパートの外壁(クリスマス期間中)
「デベナムス」デパートの外壁(通常時)―
奥に見えるのが、オックスフォードストリート

ちなみに、地下鉄オックスフォードサーカス駅からマーブルアーチにかけて、
(1)ジョン・ルイス(John Lewis)ー英国内では、3番目に大きいデパート
(2)ハウス・オブ・フレイザー(House of Fraser)
(3)デベナムス(Debenhams)
(4)セルフリッジズ(Selfridges)ー英国内では、2番目に大きいデパート
(5)マークス・アンド・スペンサー(Marks and Spencer)
といった有名なデパートが軒を並べるように建っている。

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