2019年9月17日火曜日

ダフニ・デュ・モーリエ作「いま見てはいけない」(Don’t Look Now by Dame Daphne du Maurier)–その2

2006年に Penguin Classics として出版された
ダフニ・デュ・モーリエ作「Don't Look Now and Other Stories」–
本の表紙には、ニコラス・ローグが監督した
「Don't Look Now」の一場面が使用されている

その後、ジョン(John)とローラ(Laura)の二人は、堂々巡りをした挙句、やっとサン・ザッカリア教会(church of San Zaccaria)に到着して、目に入った小さなレストランへと入った。
テーブルにつき、ジョンはローラにメニューを渡して辺りを見回したところ、向こう端の席に、昼間、トルチェロ島(Torcello)のレストランで出会った双子の姉妹が座っていることを見つける。果たして、偶然の一致なのか?それとも、あの双子の姉妹は、自分達の後をこっそりとつけているのか?
双子の姉妹の存在に気付いたローラが挨拶に向かい、暫くして戻って来ると、ジョンに告げた。双子の姉妹によると、ジョンとローラの娘(長女)で、髄膜炎で亡くなったクリスティン(Christine)が、何か伝えようとしていて、それは「二人がこのままヴェネツィア(Venice)に留まった場合、二人は危険な目に遭うので、二人にできるだけ早く、ヴェネツィアから離れてほしい。」ということだった。

ジョンとローラの二人がホテルに戻ると、そこには、二人の息子(長男)ジョニー(Johnnie)が虫垂炎で入院したことを知らせる寄宿学校の校長であるチャールズ・ヒル(Charles Hill)からの電報が待っていた。心配したローラは、一時間以内にヴェネツィアを発つチャーター便に席を確保できたため、急遽、飛行機で英国へと帰ることになった。

ジョンとローラの二人は知らなかったが、観光シーズンのヴェネツィアにおいて、正体不明の人殺しが出没していて、先週、喉を切り裂かれた女性の観光客が発見され、そして、今朝方、同様の老人の遺体が見つかっていた。動機が見当たらず、警察は異常者の仕業と考えていた。

ニコラス・ローグが監督した「Don't Look Now」の DVD

英国の小説家であるディム・ダフニ・デュ・モーリエ(Dame Daphne du Maurier:1907年ー1989年)が執筆した短編「いま見てはいけない(Don’t Look Now)」は、1973年、

*監督: ニコラス・ローグ(Nicolas Roeg)
*主演: ジュリー・クリスティー(Julie Christie) / ドナルド・サザーランド(Donald Sutherland)

で映画化された。ちなみに、邦題は「赤い影」としてリリースされている。
当映画は非常にダークで幻想的な作品で、邦題通り、赤いコートの少女を初めとして、赤いイメージが各所に鮮明に使われている。

ダフニ・デュ・モーリエの作品は、一般に論理的な解決がつかない結末を迎えることが多く、当作品の場合も同様で、結末に驚くべき恐に満ちたものとなっている。

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