2017年3月5日日曜日

ロンドン ダチェスストリート/マンスフィールドストリート(Duchess Street / Mansfield Street)

ダチェスストリート(画面手前を左右に延びる通り)と
マンスフィールドストリート(画面奥へ延びる通り)の交差点―
ここで、ガーダ・クリストウは夫ジョンを乗せた車をエンストさせた

アガサ・クリスティー作「ホロー荘の殺人(The Hollow)」(1946年)は、ある年の9月末の週末、行政官だったサー・ヘンリー・アンカテル(Sir Henry Angkatell)と夫人のルーシー・アンカテル(Lucy Angkatell)は、友人のクリストウ夫妻をロンドン近くの自宅ホロー荘へ招待して、彼らをもてなす計画をするところから、話が始まる。



夫のジョン・クリストウ(John Christow)はハーリーストリート(Harley Streetー2015年4月11日付ブログで紹介済)で成功をおさめた外科医で、夫人のガーダ・クリストウ(Gerda Christow)は純真かつ無邪気な性格で、夫のジョンに対して崇拝に近い位の愛情を捧げていた。ただ、ガーダは簡単な室内ゲームも満足にできないのが、ルーシー・アンカテルにとって頭の痛い点だった。



クリストウ夫妻の他には、以下の人物が招待されていた。

(1)ミッジ・ハードキャッスル(Midge Hardcastle):ルーシー・アンカテルの従妹で、服飾関係の店員として働いている。
(2)エドワード・アンカテル(Edward Angkatell):サー・ヘンリー・アンカテルの従弟で、アンカテル家の領地エインズウィック(Ainswick)の法廷相続人。
(3)ヘンリエッタ・サヴァナク(Henrietta Savernake):彫刻家
(4)デイヴィッド・アンカテル(David Angkatell):ルーシー・アンカテルの従兄弟で、学生。

更に、ルーシー・アンカテルがバグダッドで出会ったエルキュール・ポワロが偶然ホロー荘の近くに別荘を借りていたため、彼女は彼を日曜日の昼食に招いていた。

ダチェスストリートから
マンスフィールドストリートを見たところ―
画面奥の通りはマンスフィールドクローズ(Mansfield Close)

招待客が到着して、週末が始まると、ルーシー・アンカテルの心配が的中することになった。ミッジ・ハードキャッスルはエドワード・アンカテルのことを愛していたが、当人のエドワード・アンカテルはヘンリエッタ・サヴァナクにエインズウィックの女主人になってほしいと思っている。ところが、ヘンリエッタ・サヴァナクはジョン・クリストウと不倫関係にあったのだ。そして、デイヴィッド・アンカテルはそんな彼らを嫌っていた。

ダチェスストリートは、
画面右奥のポートランドプレイスへ向かって延びている

ポワロの向かいの別荘を借りている女優のヴェロニカ・クレイ(Veronica Clay)がきらしたマッチを借りようとホロー荘へとやって来たで、状況は更に緊迫度を増した。ヴェロニカ・クレイは以前ジョン・クリストウと交際しており、彼に外科医の仕事を捨てて、自分と一緒にハリウッドへ来るように誘ったが、彼は彼女の要請を断り、彼女としては、それを良しとはしていなかった。そして、これが15年振りの再会であった。ジョン・クリストウは、以前のようにヴェロニカ・クレイの魅力に抗いできず、結局、彼女を別荘まで送って行くことになった。ジョン・クリストウが、午前3時にヴェロニカ・クレイの別荘からホロー荘へと戻って来た際、誰かに見られているように感じた。ところが、誰の姿も見当たらず、妻のガーダが寝室で寝ていることを確認すると、ジョン・クリストウは安心して、床に就くのであった。

ダチェスストリートから右折して
マンスフィールドストリートへと入るブラックキャブ

翌日の日曜日、ルーシー・アンカテルに昼食へ招かれたポワロは、ホロー荘を訪れた。執事のガジョン(Gudgeon)に案内されて、昼食前の一杯のため、プールの側の東屋(あずまや)へ向かったポワロであったが、プールのところにホロー荘の主夫妻や招待客達が集まっているのを目にする。そして、彼らが囲んでいたのは、銃で撃たれ、血を流して倒れているジョン・クリストウと、銃を手にして傍らに立つガーダ・クリストウという芝居染みた光景であった。当初、ポワロは、名探偵である自分を歓迎するための余興だと考えたが、直ぐに冗談事ではないことが判る。正に、ポワロの目の前で、本物の殺人事件が発生したのであった。

マンスフィールドストリートは南北に延びている

英国の TV 会社 ITV1 で放映されたポワロシリーズ「Agatha Christie's Poirot」の「ホロー荘の殺人」(2004年)において、サー・ヘンリー・アンカテルと夫人のルーシー・アンカテルから彼らの自宅ホロー荘で週末を過ごすよう招待を受けた外科医のジョン・クリストウと夫人のガーダ・クリストウの二人は、ガーダが運転する車で、彼らの医院兼住居の前からホロー荘へと向けて出発する。ところが、出発間もなく、車の運転に不慣れなガーダは、ある交差点で車をエンストさせ、彼女の運転にイライラしていた夫のジョンを激怒させてしまう。彼ら二人が乗った車がエンストした場面は、ダチェスストリート(Duchess Street)とマンスフィールドストリート(Mansfield Street)の交差点で撮影されている。

マンスフィールドストリートの中間辺りから北側を見たところ―
画面中央左奥へ延びているのが、ダチェスストリート

ダチェスストリートとマンスフィールドストリートは、シティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)のマリルボーン地区(Marylebone)内にある。ダチェスストリートの西側はマンスフィールドストリートから始まり、ポートランドプレイス(Portland Place)を横切って、東側はハラムストリート(Hallam Street)に突き当たって終わる通りである。一方、マンスフィールドストリートの北側はニューキャヴェンディッシュストリート(New Cavendish Street)から始まり、南側はクイーンアンストリート(Queen Anne Streetー2014年5月11日付ブログで紹介済)に突き当たって終わる通りである。

ニューキャヴェンディッシュストリート(北側)から見た
マンスフィールドストリート

地理関係的に言うと、クリストウ夫妻の医院兼住居として撮影に使用されたハーリーストリート82番地(82 Harley Streetー2017年2月26日付ブログで紹介済)を出発した車はハーリーストリート(Harley Streetー2015年4月11日付ブログで紹介済)を南下して、途中で左折、そして、ダチェスストリートとマンスフィールドストリートの交差点でエンストしたことになる。ただし、ダチェスストリートとマンスフィールドストリートの交差点には、現在、信号は存在していない。

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