2016年3月27日日曜日

ロンドン キャンプデンマンションズ(Campden Mansions)

キャンプデンマンションズを下から見上げたところ

サー・アーサー・コナン・ドイル作「ブルース・パーティントン型設計図(The Bruce-Partington Plans)」では、1895年11月の第3週の木曜日、ベーカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元を彼の兄であるマイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)が、スコットランドヤードのレストレード警部(Inspector Lestrade)を伴って、緊急の要件で訪れるところから、物語が始まる。


マイクロフトによると、同じ週の火曜日の朝、ウールウィッチ兵器工場(Woolwich Arsenal)に勤めるアーサー・カドガン・ウェスト(Arthur Cadogan West)が地下鉄オルドゲート駅(Aldgate Tube Station)の線路脇で死体となって発見された、とのことだった。前日の月曜日の夜、彼は婚約者のヴァイオレット・ウェストベリー(Violet Westbury)をその場に残したまま、突然霧の中を立ち去ってしまったと言う。そして、翌朝、死体となった彼のポケットから、英国政府の最高機密で、ウールウィッチ兵器工場の金庫室内に厳重に保管されていたはずの「ブルース・パーティントン型潜水艦」の設計図10枚のうちの7枚が出てきた。ところが、一番重要な残り3枚はどこにもなかったのである。

ケンジントンモール沿いに建つレストラン
ケンジントンモール沿いに建つパブ

マイクロフトは、シャーロックに対して、(1)新型潜水艦の設計図が何故持ち出されたのか、(2)アーサー・カドガン・ウェストは本件にどのように関与しているのか、(3)彼はどのようにして殺されて、現場まで運ばれたのか、そして、(4)残りの3枚の設計図は一体どこへ消えたのかを早急に調べるよう、強く要請した。そこで、シャーロックは、ワトスンを連れて、地下鉄オルドゲート駅へと向かった。
地下鉄オルドゲート駅での調査を終えた後、ワトスンと一緒にウールウィッチへ向かう途中、シャーロックはロンドンブリッジ駅(London Bridge Station)に立ち寄って、マイクロフト宛に電報を打ち、「英国に居る外国のスパイや国際的なエージェントの完全な一覧表を、彼らの住所付きで、ベーカーストリートへ届けてくれ。」と依頼した。

ケンジントンモールの東側から見た
キャンプデンマンションズ

シャーロックが地下鉄オルドゲート駅やウールウィッチでの調査を終えて、ワトスンと一緒にベーカーストリート221Bに戻ると、依頼通り、マイクロフトからの手紙が待っていた。彼の手紙によると、こんな大それた事件を手掛ける人物は、以下の3人しか居ない、と言う。
(1)ウェストミンスターのグレイトジョージストリート13番地に住むアドルフ・メイヤー(Adolph Meyer - 13 Great George Street, Westminster)
(2)ノッティングヒルのキャンプデンマンションズに住むルイス・ラ・ロティエール(Louis La Rothiere - Campden Mansions, Notting Hill)
(3)ケンジントンのコールフィールドガーデンズ13番地に住むヒューゴ・オーバーシュタイン(Hugo Oberstein - 13 Caulfield Gardens, Kensington)

キャンプデンマンションズの入口

マイクロフト・ホームズの手紙において、「ブルース・パーティントン型潜水艦」の設計図盗難に関与している可能性がある容疑者の一人として言及されているルイス・ラ・ロティエールが住むキャンプデンマンションズであるが、通り名としては存在していないものの、建物としては実在している。

ケンジントンモールの西側から見た
キャンプデンマンションズ

キャンプデンマンションズは、ケンジントン&チェルシー王立区(Royal Borough of Kensington and Chelsea)のケンジントン地区(Kensington)内にあり、地下鉄ノッティングヒルゲート駅(Notting Hill Gate Tube Station)の近くに建っている。具体的には、地下鉄ノッティングヒルゲート駅の前を通るノッティングヒルゲート通り(Notting Hill Gate)の一本南側のケンジントンモール(Kensington Mall)沿いに、キャンプデンマンションズは建っていて、建物の入口はケンジントンモール側に面している。ケンジントンモールは、ケンジントン地区からサウスケンジントン地区(South Kensington)へ向かうための通り道に該り、割合と車の往来は多い。

ケンジントンモールがケンジントンチャーチストリート
(Kensington Church Street)に合流したところ

キャンプデンマンションズのうち、現在、フラットとして使用されている。ケンジントン地区という高級住宅街内にある上、地下鉄ノッティングヒルゲート駅へも歩いてすぐ近くという利便性があり、フラット1件あたりの価格は相当高いものと推測される。

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