2014年10月31日金曜日

ロンドン ボウストリート(Bow Street)

ボウストリート警察署が入っていた建物

 サー・アーサー・コナン・ドイル作「唇のねじれた男(The Man with the Twisted Lips)」において、セントクレア夫人(Mrs St Clair)から依頼を受けたシャーロック・ホームズは、シティー(City)近くのアヘン窟の三階で謎の失踪を遂げたネヴィル・セントクレア(Neville St Clair)の行方を追っていた。ホームズは同氏が既に亡くなっていると当初推理したが、夫人は「夫はまだ生きている。」と主張する。そして、ネヴィル・セントクレアが自筆で書いた手紙が夫人宛に届いたのを見せられると、ホームズは驚愕する。一晩かけて、同氏失踪の謎を解き明かしたホームズは、急ぎ馬車を用立てて、ジョン・ワトスンと一緒に、ケント州(Kent)のリー(Lee)にある同氏宅を出発し、一路ロンドンに向かう。ホームズ達が向かう先は、ネヴィル・セントクレア殺害の容疑で、物乞いのヒュー・ブーン(Hugh Boone)が拘留されているボウストリート(Bow Street)の警察署であった。

テムズ河に架かるワーテルロー ブリッジ ロード
ボウストリートへと続くウェリントンストリート

「我々がサリー州の通りを駆け抜ける頃、街では一番早起きの住民達が家の窓からまだ眠そうに外を眺め始めたところだった。ワーテルロー ブリッジ ロードを過ぎて、我々はテムズ河を越えた。続いて、ウェリントンストリートを駆け上がり、右側に鋭く曲がると、ボウストリートに到着した。シャーロック・ホームズは警察関係者によく知られていたので、警察署の玄関に居た二人の巡査は彼に敬礼した。巡査の一人が馬の頭を押さえている間、もう一人が我々を警察署の中に招き入れた。(In town the earliest risers were just beginning to look sleepily from their windows as we drove through the streets of the Surrey side. Passing down the Waterloo Bridge Road we crossed over the river, and dashing up Wellington Street wheeled sharply to the right and found ourselves in Bow Street. Sherlock Holmes was well known to the force, and two constables at the door saluted him. One of them held the horse's head while the other led us in.)」

旧ボウストリート警察署の玄関口(その1)
旧ボウストリート警察署の玄関口(その2)

ボウストリート界隈は、1630年代に第4代ベッドフォード伯爵のフランシス・ラッセル(Francis Russel, 4th Earl of Bedford)により開発された。有名なところでは、清教徒革命(Puritan Revolution:1599年ー1658年)が1645年にこの通り沿いに移って来ている。
ボウストリート警察署は、1881年にボウストリート沿いの現在の地に建てられている。ホームズとワトスンがネヴィル・セントクレア殺害容疑で拘留されている物乞いのヒュー・ブーンに会いにボウストリート警察署に来たのは、1889年6月なので、警察署が設置されてからそれ程経っていない頃である。残念ながら、ボウストリート警察署は2006年に閉鎖されてしまった。この建物はホテルに改装されるという噂ではあるが、今のところ、幸いにして、ホームズとワトスンが活躍した当時のままである。

ロイヤル・オペラ・ハウスの白い外壁が際立っている

ボウストリート警察署だった建物の反対側には、ロイヤル・オペラ・ハウス(Royal Opera House)が建っている。
1732年に設立された英国オペラの殿堂で、通称「コヴェント・ガーデン(Covent Garden)」と呼ばれている。ロイヤル・オペラ(Royal Opera)とロイヤル・バレエ団(Royal Ballet)がここを本拠地にしていて、オペラとバレエが交互に公演されている。
現在の建物は1858年に再建されたもので、1997年秋からの大改装を経て、1999年の暮れから再開され、現在に至っている。
ちなみに、多くの日本人ダンサー達が今もロイヤル・バレエ団に在籍している。


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