2014年8月25日月曜日

ロンドン テンプル(Temple)

テンプルの、と或る弁護士事務所の入口

サー・アーサー・コナン・ドイル作「ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia)」において、アイリーン・アドラー(Irene Adler)と結婚した弁護士のゴドフリー・ノートン(Godfrey Norton)は、ロンドン市内のテンプル(Temple)に事務所を構えていた。

テンプル内の静謐な空間

ロンドン市内には、政治活動の中心地であるウェストミンスター(Westminster)と経済活動の中心地のシティー・オブ・ロンドン(City of Londonー別名:1マイル四方(Square Mile))が存在している。この2つの中心地が接する境界がホルボーン(Holborn)地区であり、この地区には、「公正中立を保つ」という意味から、司法関係の施設が数多く集中している。特に、フリートストリート(Fleet Street)とテムズ河(River Thames)沿いのヴィクトリアエンバンクメント(Victoria Embankment)に挟まれた場所に、「テンプル」という独特の静謐な空間が形成されている。

弁護士のゴドフリー・ノートンが事務所を構えていた「テンプル」には、現在、「ミドルテンプル(Middle Temple)」/「インナーテンプル(Inner Temple)」と呼ばれる2つの法曹院や法廷弁護士(Barrister)の事務所等が集中している。ちなみに、ロンドン内には4つの法曹院があり、他の2つは「リンカーン法曹院(Lincoln's Inn)」と「グレイ法曹院(Gray's Inn)」である。なお、「テンプル」は、現在の住所表記上、シティー・オブ・ロンドン(City of London)内に含まれており、その西端に位置して、シティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)の東端と接している。

テンプルの名前の由来となったテンプル教会

この場所には、テンプルの名前の由来となったテンプル教会(Temple Church)がある。この教会は、エルサレムの教会にヒントを得たロマネスク様式の建物で、1185年に十字軍のテンプル騎士団が本拠地として建設したものである。

ゴシック様式の王立裁判所

フリートストリートを間にして、テンプルの反対側には、王立裁判所(Royal Court of Justice)がある。1862年に建設されたゴシック様式のこの裁判所は、イングランドとウェールズの最高法廷である。

フリートストリートの真中に立つテンプルバー

また、テンプルと王立裁判所が面するフリートストリートの真中には、テンプルバー(Temple Bar)と言う記念碑がある。これは、ウェストミンスターとシティーを分けていた関所跡である。

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