2014年8月3日日曜日

ロンドン クレーヴンストリート(Craven Street)

クレーヴンストリートを北側から見たところ

サー・アーサー・コナン・ドイル作「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」の終盤、11月末の霧深い夜、ベーカーストリート221Bの赤々と燃える暖炉の前で、シャーロック・ホームズはジョン・ワトスンに対して、事件の謎解きをしてみせる。

「証拠捜索に向かった僕の配下からの情報によると、彼ら(=犯人達)はクレーヴンストリートのメクスバラ・プライヴェート・ホテルに宿をとったことが判った。彼は付け髭で変装して、モーティマー医師をベーカーストリート、その後、駅やノーサンバーランドホテル(ヘンリー・バスカヴィル卿が宿泊)まで尾行する間、細君をホテルの部屋に軟禁していたんだ。」
(They lodged, i find, at the Mexborough Private Hotel, in Craven Street, which was actually one of those called upon my agent in search of evidence. Here he kept his wife imprisoned in her room while he, disguised  in a beard, followed Dr. Mortimer to Baker Street and afterwards to the station and to the Northumberland Hotel.)

ヘンリー・バスカヴィル卿(Sir Henry Baskerville)が宿泊したノーサンバーランドホテル(Northumberland Hotel:現在は、ここでシャーロック・ホームズパブ(Sherlock Holmes Pub)が営業中)が建っているノーサンバーランドストリート(Northumberland Street)の一本東側に、クレーヴンストリートがほぼ並行して走っている。クレーヴンストリートは、チャリングクロス駅(Charing Cross Station)と幹線道路のノーサンバーランドアヴェニュー(Northumberland Avenue)に挟まれているため、人通りが少なく、裏通りの雰囲気である。

犯人達が宿泊したメクスバラ・プライヴェート・ホテルは実在のホテルではなく、残念ながら、コナン・ドイルの作品中、メクスバラ・ファミリー・ホテルの正確な住所は、明らかにされていない。が、シャーロック・ホームズ博物館で購入したシャーロック・ホームズ ウォーキングガイド(The Sherlock Holmes Walk)によれば、そのモデルとなったのは、43-46番地に建っていたクレーヴン・ファミリー・ホテル(Craven Family Hotel)だったと言われている。

クレーヴンストリートを歩いていくと、歴史上の著名人が住んでいたことを示す銘盤を見つけることができる。

ベンジャミン・フランクリンがここに住んでいたことを示すプレート

アメリカ合衆国の政治家、外交官、著述家、物理学者かつ気象学者であるベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin:1706年ー1790年)は、36番地に居を構えていた。彼は、政治家としては、1776年にアメリカ独立宣言を起草した委員の一人として有名である。一方、物理学者・気象学者という面では、凧を用いた実験で、雷が電気であることを明らかにしており、その他にも、避雷針、フランクリンストーブ、ロッキングチェアーや遠近両用眼鏡等を発明している。彼はまだ若い頃(1724年ー1726年)、フィラデルフィア知事の勧めにより、ロンドンに来て、植字工として働いたという経歴がある。

ハインリヒ・ハイネがここに住んでいたことを示すプレート

2人目は、ドイツの詩人、作家、ジャーナリストかつ評論家であるクリスティアン・ヨハン・ハインリヒ・ハイネ(Christian Johan Henrich Heine:1797年ー1856年)で、一時期クレーヴンストリート32番地に住んでいた。掲げられた銘板には、ハインリヒ・ハイネの生誕年が1799年になっているが、1797年が正当と思われる。彼は英国を旅行で巡った後、「イギリス断章(Englische Fragmente)」(1827年)を発表している。

ハーマン・メルヴィルがここに住んでいたことを示すブループラーク

3人目は、アメリカ合衆国の作家かつ小説家であるハーマン・メルヴィル(Herman Melville:1819年ー1891年)で、25番地に一時期(1849年)住んでいた。1851年に発表された「白鯨(Moby-Dick)」が最も有名である。

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