今回から、英国の芸術家 / 彫刻家で、英国コンウォール州(Cornwall)にあるセントアイヴス(St. Ives)に住む芸術家のコミュニティーにおいて、主導的な役割を果たした人物であるジョスリン・バーバラ・ヘップワース(JocelynBarbara Hepworth:1903年ー1975年 → 2024年10月1日 / 10月31日 / 11月2日付ブログで紹介済)による彫刻作品のうち、ロンドン市内にある分について、紹介したい。
1つ目は、ジョスリン・バーバラ・ヘップワースが1963年に制作した「翼がある形(Winged Figure)」で、ロンドン中心部のシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)区内に所在している。
同作品は、地下鉄セントラルライン(Central Line)が通るトッテナムコートロード駅(Tottenham Court Road Tube Station)、オックスフォードサーカス駅(Oxford Circus Tube Station)、ボンドストリート駅(Bond Street Tube Station)およびマーブルアーチ駅(Marble Arch Tube Station)を東西に結ぶオックスフォードストリート(Oxford Street → 2016年5月28日付ブログで紹介済)に面して建つデパート「ジョン・ルイス&パートナーズ(John Lewis & Partners)」の南東の角、ホールズストリート(Holles Street)に面した外壁に設置されている。
第二次世界大戦(1939年-1945年)中に被災した「ジョン・ルイス&パートナーズ」デパートは、再建を経て、1961年に再オープンを迎える。
当初、「ジョン・ルイス&パートナーズ」デパートは、米国出身で、後に英国に帰化した彫刻家であるジェイコブ・エプスタイン(Jacob Epstein:1880年ー1959年)に対して、彫刻作品の制作を依頼したが、別件の作品制作で多忙であることを理由に、彼に断られてしまった。
そのため、「ジョン・ルイス&パートナーズ」デパートは、1961年5月、ジョスリン・バーバラ・ヘップワースを含む彫刻家7名に対して、彫刻作品のデザインを依頼。ジョスリン・バーバラ・ヘップワースを除く彫刻家6名が提出したデザイン案は、「ジョン・ルイス&パートナーズ」デパート側によって採用されなかった。
ジョスリン・バーバラ・ヘップワースが1961年10月に提出したデザイン案も採用されなかったが、第2案が「ジョン・ルイス&パートナーズ」デパート側によって採用された。これが、「翼がある形」である。
「ジョン・ルイス&パートナーズ」デパート側によって採用されたデザイン第2案に基づいて、ジョスリン・バーバラ・ヘップワースは、作品の制作に取り掛かった。
1960年に、彼女は、通りを挟んで、コンウォール州(Cornwall)セントアイヴス(St. Ives)に所在する自宅のトレウィンスタジオ(Trewyn Sudios)の向かい側にある元映画 / ダンスホールのパレ・ド・ダンス(Palais de Danse)を購入して、スタジオ面積を広げていた。スタジオの追加購入により、彼女は、大型の彫刻作品を制作できるようになったのである。
「翼がある形」は、パレ・ド・ダンスにおいて、ジョスリン・バーバラ・ヘップワースが最初に制作する彫刻作品となった。なお、1962年に彼女が木材やアルミニウムで作成したプロトタイプは、現在、ヨークシャー州(Yorkshire)ウェイクフィールド(Wakefield)にあるヘップワース博物館(Hepworth Museum)に所蔵されている。
ジョスリン・バーバラ・ヘップワースが制作したブロンズ製の「翼がある形」(高さ:約6m)は、1963年4月21日(日)、「ジョン・ルイス&パートナーズ」デパートの南東の角、ホールズストリートに面した外壁に設置された。
2013年に設置後50周年を迎えた同作品は、改修を受け、2016年1月に Grade II listing に指定された。
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