日本の出版社である早川書房から クリスティー文庫の1冊として出版されている アガサ・クリスティー作「春にして君を離れ」の表紙 Photograph : CORBIS / amana images Cover Design : Hayakawa Design |
「春にして君を離れ(Absent in the Spring)」は、 エルキュール・ポワロやミス・ジェイン・マープル等のシリーズ探偵を生み出したアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が、メアリー・ウェストマコット(Mary Westmacott)名義で、第二次世界大戦(1939年ー1945年)中の1944年に発表した長編小説である。
「春にして君を離れ」は、メアリー・ウェストマコット名義で発表されたロマンス小説と分類される全6作のうち、第3作目に該る。
なお、メアリー・ウェストマコット名義で発表されたロマンス小説は、以下の通り。
(1)「愛の旋律(Giant’s Bread)」(1930年)
(2)「未完の肖像(Unfinished Portrait)」(1934年)
(3)「春にして君を離れ」(1944年)
(4)「暗い抱擁(The Rose and the Yew Tree)」(1948年)
(5)「娘は娘(A Daughter’s a Daughter)」(1952年)
(6)「愛の重さ(The Burden)」(1956年)
アガサ・クリスティーの自伝によると、「春にして君を離れ」の構想については、長い間、頭の中で既に練り上がられていたので、僅か3日で執筆した、とのこと。
タイトルに関しては、英国(イングランド)の劇作家 / 詩人であるウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare:1564年ー1616年)による「ソネット集第98番(Sonnet 98)」の一節である「From you have I been absent in the spring」から採られている。
「春にして君を離れ」は、英国において、コリンズ社(William Collins & Sons)から1944年8月に、また、米国において、Farrar & Rinehart 社から同年内に出版された。
「春にして君を離れ」の場合、厳密な意味では、事件を解決する推理小説ではないものの、本作品の日本語訳版を出版する早川書房(Hayakawa Publishing, Inc.)は、本作品を「ロマンチック・サスペンス」として紹介している。
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