2024年5月15日水曜日

高木彬光作「能面殺人事件」(The Noh Mask Murder by Akimitsu Takagi)- その4

英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から
2024年に刊行されている
 Pushkin Vertigo シリーズの一つである

高木彬光作「能面殺人事件」の内扉
(Cover design by Jo Walker)


鬼女(般若)の面を付けた謎の人物が出現して以来、屋敷の主人である千鶴井泰次郎(Taijiro Chizui - 54歳 / O 型)は、得体の知れない恐怖に怯えて、暮らしていた。


千鶴井家に居候する柳光一(Koichi Yanagi)と柳光一の父親である柳源一郎(Genichiro Yanagi - 故人)の友人で、現在は、横浜地方検察庁(Yokohama District Prosecutor’s Office)の次席検事を務めている石狩弘之(Hiroyuki Ishikari)の2人が鬼女(般若)の面を付けた謎の人物を目撃した日の2日後の夜(午後8時)、千鶴井泰次郎は柳光一を2階の自室へと呼び、この件を調査してくれる人物を紹介してほしいと頼むであった。

当初、柳光一は、千鶴井泰次郎に対して、石狩検事を推薦したが、千鶴井泰次郎は、「私立探偵の方が良い。」と固執した。

そこで、柳光一は、高校時代の友人で、小さな事件ではあるものの、実際に見事に解決した実績がある高木彬光(Akimitsu Takagi)を紹介することにした。


納得した千鶴井泰次郎の指示を受けて、柳光一は、高木彬光に電話するために、階下へと向かう。その際、階段で、千鶴井泰次郎の部屋へと向かう長男の千鶴井麟太郎(Rintaro Chizui - 千鶴井泰次郎の長男 / 32歳 / A 型 / 虚無主義者)とすれ違った。

階下で、柳光一が、千鶴井家の屋敷から歩いて15分程のところに所在するホテル(Marine Hotel)に滞在している高木彬光に電話をする。

柳光一が千鶴井泰次郎の部屋へ戻ると、千鶴井泰次郎と千鶴井麟太郎が言い争っているところだったので、千鶴井泰次郎の部屋の隣りにある千鶴井緋紗子(Hisako Chizui - 27歳 / A 型 / 千鶴井泰次郎の兄である千鶴井壮一郎(Soichiro Chizui - 故人)の長女で、狂人) / 千鶴井賢吉(Kenkichi Chizui - 14歳 / A 型 / 千鶴井壮一郎の長男で、強度の心臓弁膜症のため、明日もしれぬ状態)の部屋へ行った。千鶴井緋紗子は既に就寝中だったので、柳光一は、千鶴井賢吉と少し話をする。

柳光一が、再度、千鶴井泰次郎の部屋へ戻ると、彼を見た千鶴井麟太郎は席を立って、部屋を出て行ってしまった。柳光一は、千鶴井泰次郎から、高木彬光への依頼状を受け取る。午後8時20分だった。

柳光一は、もう一度、千鶴井緋紗子 / 千鶴井賢吉の部屋に寄った後、高木彬光が宿泊しているホテルへ出発した。


ホテルに着いた柳光一が、高木彬光に対して、千鶴井泰次郎からの依頼事項を告げていると、そこに電話がかかった。午後8時50分だった。千鶴井泰次郎と名乗る人物は、「再び、鬼女(般若)の面を付けた奴が現れた。その正体が判ったが、電話では話せない。急を要するので、直ぐに来てほしい。」と訴えた。


柳光一と高木彬光の2人が千鶴井家の屋敷へと急いで戻って、玄関のベルを鳴らしていると、2階から悲鳴が響き渡ったのである。

柳光一と高木彬光が千鶴井泰次郎の部屋へと駆け付けたところ、彼の部屋は、内側から鍵がかかっていて、開かなかった。高木彬光が、千鶴井佐和子(Sawako Chizui - 千鶴井泰次郎の長女 / 28歳 / AB 型 / 一家の主婦扱い)から借りた手斧を使い、ドアを打ち破る。

屋敷の主人である千鶴井泰次郎は、密室状態の室内において、外傷がない上に、心臓麻痺としか思えない状態で、死んでいたのである。奇妙なことに、彼の死体には、何者かによって、香水が振りかけられていた。しかも、床の上には、鬼女(般若)の面が落ちていた。

更に、恐ろしいことに、何者かが葬儀屋に対して、千鶴井家の屋敷に3つの棺を配送するように注文していたのである。


この事件を皮切りにして、第2の被害者として、千鶴井洋二郎(Yojiro Chizui - 千鶴井泰次郎の次男 / 30歳 / A 型 / 物欲の塊)が、そして、第3の被害者として、千鶴井園枝(Sonoe Chizui - 千鶴井泰次郎の母親 / 76歳 / O 型 / 中風のため、右半身が不自由)が、第1の被害者である千鶴井泰次郎と同じように、心臓麻痺としか思えない状況で死亡し、千鶴井家は崩壊へと突き進んでいった。


物語の中盤、それまで探偵役を務めていた高木彬光が表舞台から退場してしまい、それまで高木彬光のワトスン役と事件の記録者を務めていた柳光一が、代わりに探偵役を務めることになった。

果たして、柳光一は、千鶴井家内で連続する怪死事件を解明することができるのであろうか?


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