2024年5月17日金曜日

H・G・ウェルズ作「宇宙戦争」<小説版>(The War of the Worlds by H. G. Wells

H・G・ウェルズ作「宇宙戦争」のフランス語版が
1906年に刊行された際に付された挿絵をベースにした絵葉書
(筆者が大英図書館(British Library)で購入)-
なお、フランス語版のタイトルは、「La Guerre des Mondes」で、
挿絵については、ブラジル出身のイラストレーターである
エンリケ・アルヴィン・コレア(Henrique Alvim Correa:1876年ー1910年)が
担当している。


米国の作家であるマンリー・ウェイド・ウェルマン(Manly Wade Wellman:1903年ー1986年)と息子のウェイド・ウェルマン(Wade Wellman)の共作による SF 小説「シャーロック・ホームズの宇宙戦争(Sherlock Holmes’s War of the Worlds → 2024年5月8日 / 5月10日 / 5月14日付ブログで紹介済)」(1975年)は、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人が、英国の作家であるハーバート・ジョージ・ウェルズ(Herbert George Wells:1866年ー1946年)が1898年に発表した SF 小説「宇宙戦争(The War of the Worlds)」に遭遇した事件が描かれている。


「宇宙戦争」は、H・G・ウェルズによって、1895年から1897年にかけて執筆された後、1897年に、英国では、雑誌「Pearson’s Magazine」に、そして、米国では、雑誌「Cosmopolitan」に連載された。その後、1898年に、英国のウィリアム・ハイネマン社(William Heinemann)から単行本が刊行されている。


原題の「The War of the Worlds」とは、「世界同士の戦争」、つまり、「地球人の世界」と「火星人の世界」の2つの世界が争うことを意味している。


「宇宙戦争」の場合、20世紀初めに火星人(Martians)が地球に襲来して武力で侵略する様子が、英国人男性である「私」による回顧録と言う形で書かれている。


それは、20世紀初めの夏のことだった。


金曜日の未明、イングランドのウィンチェスター(Winchester)上空で緑色の流れ星が観測され、天文学者であるオーグルビー教授(Professor Ogilvy)は、ロンドン南西のサリー州(Surrey)にあるウォーキング(Woking)付近に落下したことを発見する。地面に落下した流れ星は、約30メートル程の金属製の巨大な円筒だった。


金曜日の夕方、「私」を含めた見物人達が見守る中、オーグルビー教授、王立天文官のステント、そして、新聞記者のヘンダーソンの3人が代表団を結成して、円筒へと近づいて行く。すると、円筒の蓋が突然開いて、醜悪な姿をした火星人が、その姿を現した。

火星人が醜悪な外見をしていたとしても、何らかの知性を有しているものと考えた代表団は、白旗(white flag)を掲げて、火星人への接触を試みようとしたが、突如、目に見えない熱線で、彼らは焼き払われてしまった。恐るべき威力を見せた火星人が発する熱線によって、円筒の周囲で見守る人間や動物、更に、樹々や家屋等も、一瞬のうちに炎に包まれる。


金曜日の夜、英国軍が出動するが、真夜中には、第二の円筒が地面に落下して来る。


土曜日の午後、火星人に対する英国軍の攻撃が始まったが、全く歯がたたず、同日の夕方には、「私」の自宅付近も、火星人の熱線の射程内に入った。

危険を感じた「私」は、近くの店で馬車を借りると、妻を連れて、彼女の従兄弟が住むレザーヘッド(Leatherhead - サリー州内に所在)へと逃げる。

妻を彼女の従兄弟に預けた「私」は、借りた馬車を返しに戻る途中、第三の円筒が地面に落下。すると、円筒の中から、3本脚の戦闘機械(tripod)が姿を現して、破壊の限りを尽くす。

3本脚の戦闘機械による攻撃を受けて、「私」が馬車を借りた店の主人も亡くなり、出動して来た英国軍も全滅してしまったのである。


H・G・ウェルズ作「宇宙戦争」は、SF 作品の古典的な名作と位置付けられており、当該作品を原作した映画や TV ドラマ等が何度も制作されており、米国の映画制作者であるスティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg:1946年ー)が監督を務め、米国の俳優 / 映画プロデューサーであるトム・クルーズ(Tom Cruise:1962年ー)が主演した米国映画「宇宙戦争(War of the Worlds)」(2005年)は、世界中で大ヒットした。


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