2021年11月14日日曜日

英国における女性参政権運動(Suffragette / Suffragist) - その1


英国リンカンシャー州(Lincolnshire)出身の作家であるジョージ・マン(George Mann:1978年ー)が2014年に発表した「シャーロック・ホームズ / 精神の箱」(Sherlock Holmes / The Spirit Box → 2021年10月24日 / 11月6日 / 11月13日付ブログで紹介済)」では、、1915年の夏、第一次世界大戦(1914年ー1918年)が始まり、ロンドンがドイツ軍の飛行船ツェッペリン(Zeppelin)による爆撃の脅威に曝されている最中、シャーロック・ホームズは、兄であるマイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)によって、引退先の南イングランドからロンドンへと呼び戻され、相棒のジョン・H・ワトスンと一緒に、3つのケースを調査するよう、指示を受ける。

その中には、有名な女性参政権論者のメアリー・テンプル(Mary Temple - 架空の人物)が、ドイツ軍との戦争を断念するよう、タイムズ紙(The Times)に寄稿した翌日、地下鉄の駅構内で列車の前に転落したケース(列車に右足付け根を轢かれて死亡)が含まれていた。


英国では、当初、男性のみに「参政権」が認められていたが、他の国に遅れたものの、1918年になって、一部の女性(財産に関する一定の条件を充足する英国女性)に「投票権」が認められた。その後、1928年には、21歳以上の全ての女性に対して、参政権が拡大された。


英国のロイヤルメール(Royal Mail)は、2018年に、(一部の)女性に対して「投票権」が認められた1918年からの100周年を記念して、「Votes for Women」というタイトルで、8種類の記念切手が発行されているので、併せて紹介したい。


1776年に英国から独立した米国では、


ワイオミング州西部: 1869年 - 21歳以上の白人女性が投票権を獲得

ユタ州: 1870年 - 21歳以上の白人女性が投票権を獲得


という流れが起きていた。


一方、英国連邦内では、


マン島: 1881年 - 財産を有する女性が投票権を獲得

ニュージーランド: 1893年 - 21歳以上の女性が投票権を獲得(なお、被選挙権については、1919年から)

南オーストラリア: 1895年 - 投票権だけではなく、被選挙権についても、女性に認められた


となっていたが、英国本体において、女性の参政権は、まだ全く認められていなかったのである。


19世末から20世紀初頭にかけて、英国のみならず、全世界的に、「参政権(Suffrage)」、つまり、「選挙において、投票する権利」を、女性に対しても認めるよう、主張する運動が盛んになっていくが、この運動を主導した女性団体のメンバーのことを「サフラジェット(Suffragette)」と言う。
英国の場合、女性参政権運動家のエメリン・パンクハースト(Emmeline Pankhurst:1858年ー1928年)と彼女の長女で、彼女の遺志を継いだクリスタベル・パンクハースト(Christabel Pankhurst:1880年ー1958年)によって率いられた「女性政治社会連合(Women’s Social and Political Union : WSPU)」に属する活動家を指すことが多い。「WSPU」は、器物損壊やハンガーストライキ等、好戦的な活動を展開した後、最終的には、爆弾テロ等、過激な行動へ向かって行ったため、合法的な政治活動により女性参政権の獲得を目指していた人々からの支持を受けることはなかった。

「サフラジェット」に比して、より一般的に女性参政権運動を行ったメンバーのことを、「サフラジスト(Suffragist)」と呼んでいる。


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