2021年11月6日土曜日

ジョージ・マン作「シャーロック・ホームズ / 精神の箱」(Sherlock Holmes / The Spirit Box by George Mann) - その2

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2014年に出版された
ジョージ・マン作
「シャーロック・ホームズ / 精神の箱」の裏表紙
(Images : Dreamstime / Shutterstock / funnylittlefish)


陸軍省(War Officeー1684年から1964年までの間に存在した英国陸軍を統括する英国の行政機関)に到着したシャーロック・ホームズ達は、ジョン・ベイツ曹長(Sergeant John Bates)の出迎えを受け、テムズ河(River Thames)で溺死した国会議員ハーバート・グランジ(Herbert Grange)の秘書だったミリセント・ブラウン(Millicent Brown)のところへ案内された。


彼女に会った途端、ホームズは、彼女に対して、「ハーバート・グランジ氏とは、どの位の間、親密だったのか?」と尋ねて、相棒のジョン・H・ワトスンをいきなり驚かせる。ホームズは、(1)彼女の机の上に置かれた「M.B.」と刻印された高価なペン(通常、秘書の給与では購入できない位のもの)、(2)彼女の右手にはめられた追悼用の指輪、そして、(3)彼女の憔悴した様子から推測したと告げる。ブラウン嬢は、ホームズの推理通り、「1年程、グランジ氏と親しくしており、戦争が終わり次第、結婚しようと考えていた。」と答える。

ブラウン嬢は、ホームズに対して、「グランジ氏がテムズ河に身投げしたのは、全く、彼らしくない。」と話す。ブラウン嬢によると、その日、グランジ氏は、午前8時半頃オフィスに着くと、英国籍を有する3人のドイツ人(ドイツ人の両親の下、英国で出生)の聴取を行ったが、彼女の記憶では、それらの聴取において、不審な点は特になかったと言う。

3人のドイツ人への聴取が終わり、オフィスに戻って来たグランジ氏は、ブラウン嬢を昼食に誘う。ただ、ブラウン嬢には、午後処理すべき仕事がいろいろとあったため、「持参したサンドウィッチとリンゴを自席で食べるつもり。」と答えると、グランジ氏は、「一緒に昼食を外で食べるのは、次回にしよう。」と言って、オフィスの窓際へ行き、外で降る雨を眺めた。すると、グランジ氏は、突然、パニックに襲われたようになった。

グランジ氏の身を案じて、彼の元に駆け寄ったブラウン嬢を振り払うようにして、グランジ氏は、「精神の箱(The Spirit Box)」という謎の言葉を残して、コートも着ないまま、急いでオフィスを出て行ってしまった。それが、ブラウン嬢が見たグランジ氏の最後の姿であった。

果たして、グランジ氏がブラウン嬢の前で呟いた「精神の箱」とは、何なのか?


ホームズとワトスンの二人は、マイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)が遣わしたカーター(Carter)が運転する車で、次にグランジ氏の自宅へと向かった。

そこで待ち合わせたスコットランドヤードのギディオン・フォルクス警部(Inspector Gideon Foulkes)と一緒に、ホームズ達は、グランジ氏の自宅を捜索する。部屋に飾ってあった複数の写真を見たホームズ達は、鮮明に写っているグランジ氏の周囲を、何かガスやオーラにようなものが取り巻いていることを、そこに見い出す。

これは、エクトプラズム(心霊体)なのか?グランジ氏は、こういった実験に興味があったのか?


突然、グランジ氏の自宅が、激しく揺れ動く。ドイツ軍の飛行船による爆撃が、また始まったのだ。

ホームズ達は、無事逃れることができるのだろうか?そして、グランジ氏の自宅前で待つ運転手のカーターの運命は、如何に?


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