2021年5月16日日曜日

フィリップ・ホセ・ファーマー作「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 無双の貴族」(The further adventures of Sherlock Holmes / The Peerless Peer by Philip Jose Farmer) - その1

英国の Titan Books 社から2011年に出版されている
フィリップ・ホセ・ファーマー作

「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 無双の貴族」の表紙 -
なお、作者は、2009年になくなっており、
本作品は、彼の死後に、出版されている。


作者のフィリップ・ホセ・ファーマー(Philip Jose Farmer:1918年ー2009年)は、米国の SF 作家 / ファンタジー作家で、代表作は、「階層宇宙(World of Tiers)」シリーズ(1965年ー1993年)と「リバーワールド(Riverworld)」シリーズ(1971年ー1983年)である。 


残念ながら、フィリップ・ホセ・ファーマーは、2009年に米国イリノイ州において亡くなっており、本作品「無双の貴族(the Peerless Peer)」は、彼の死後、英国の Titan Books 社から2011年に出版されている。


第一次世界大戦(1914年ー1918年)最中の1916年2月2日、ジョン・ワトスンは、ロンドンの軍病院で働いていた。ドイツが送ったツェッペリン飛行船(Zeppelin)による英国爆撃が2日間に渡って行われ、70名が死亡し、113名が負傷していた。負傷者の治療にあたるワトスンは、シャーロック・ホームズの兄であるマイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)からの電報により、急遽、外務省(Foreign Office)へと呼び出される。


外務省に着いたワトスンを、三人の人物が待っていた。一人目はマイクロフト・ホームズ、二人目はシャーロック・ホームズで、もう一人はメリヴェール(Merrivale)だった。

メリヴェールは、準男爵(baronet)の子息で、現在、英国陸軍情報局長(Head of the British Military Intelligence Department)の補佐をしていた。一方で、彼は、優れた内科医(physician)で、ワトスンがセントバーソロミュー病院(St. Bartholomew’s Hospital → 2014年6月14日付ブログで紹介済)で教えていた頃の生徒でもあった。


久方振りに旧交を温める四人であったが、話は直ぐに本題に入る。

マイクロフト・ホームズによると、第一次世界大戦開戦直前(1914年8月2日)に、エセックス州(Essex)のハリッジ(Harwich - 北海(North Sea)を東にもつ港町)において、シャーロック・ホームズとワトスンが捕まえたドイツ人スパイであるフォン・ボルク(Von Bork → 「最後の挨拶(His Last Bow)」(1917年)に登場)は、本来であれば、英国側で尋問を受ける筈であったが、英国政府の許可を得て、ドイツ大使館の書記局長であるフォン・ヘルリンク伯爵(Baron Von Herling)と一緒に、ドイツへと帰国したと言う。その後、ドイツ国内での自動車事故により、彼は大怪我を負い、回復をしたものの、左目を失明した、とのこと。

フォン・ボルクは、現在、エジプトのカイロにおいて、暗躍しているようである。マイクロフト・ホームズは、シャーロック・ホームズとワトスンの二人に対して、直ちにカイロへと向かい、フォン・ボルクの所在を明らかにし、彼を捕まえるよう、指示した。


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