2017年11月26日日曜日

シャーロック・ホームズ生還100周年記念切手5-「六つのナポレオン像(The Six Napoleons)」

シャーロック・ホームズ生還100周年記念切手「六つのナポレオン像」が添付された絵葉書

5番目に、かつ、最後に紹介するシャーロック・ホームズ生還100周年記念切手は、「六つのナポレオン像(The Six Napoleons)」である。「六つのナポレオン像」は、56あるホームズシリーズの短編のうち、サー・アーサー・コナン・ドイルが32番目に発表した作品で、英国では「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1904年5月号に、また、米国では「コリアーズ ウィークリー(Collier's Weekly)」の1904年4月30日号に掲載された。その後、同作品は、1905年に出版された第3短編集となる「シャーロック・ホームズの帰還(The Return of Sherlock Holmes)」に収録されている。

「六つのナポレオン像」は、ある夜、スコットランドヤードのレストレード警部(Inspector Lestrade)がベーカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元を訪れるところから、物語が始まる。

最近、ロンドンの街中で何者かが画廊や住居等に押し入って、ナポレオンの石膏胸像を壊してまわっていたのだ。そのため、レストレード警部はホームズのところへ相談に来たのである。最初の事件は、4日前にモース・ハドソン氏(Mr Morse Hudson)がテムズ河(River Thames)の南側にあるケニントンロード(Kennington Road→2016年6月11日付ブログで紹介済)で経営している画廊で、そして、2番目の事件は、昨夜、バーニコット博士(Dr Barnicot)の住まい(ケニントンロード)と診療所(ロウワーブリクストンロード(Lower Brixton Road→2017年7月30日付ブログで紹介済))で発生していた。続いて、3番目の事件がケンジントン地区(Kensington)のピットストリート131番地(131 Pitt Street→2016年6月18日付ブログで紹介済)にあるセントラル通信社(Central Press Syndicate)の新聞記者ホーレス・ハーカー氏(Mr Horace Harker)の自宅で起きたのであった。4体目の石膏胸像が狙われた上に、今回は殺人事件にまで発展したのだ。

ステップニー地区(Stepney)のチャーチストリート(Church Street→2016年7月16日付ブログで紹介済)にあるゲルダー社(Gelder and Co.)を訪れたホームズとジョン・ワトスンは、ナポレオンの石膏胸像が全部で6体制作され、3体がケニントンロードのモース・ハドソン氏の画廊へ、そして、残りの3体はケンジントンハイストリート(Kensington High Street→2016年7月9日付ブログで紹介済)のハーディングブラザーズ(Harding Brothers)の店へ送られたことを聞き出す。モース・ハドソン氏の画廊へ送られた3体は、全て何者かによって壊されたため、ホームズとワトスンはハーディングブラザーズの店へ出向き、ホーレス・ハーカー氏が購入した1体を除く残りの2体の行方について尋ねたのであった。

ステップニー地区にあるゲルダー社が制作した6体のナポレオン像のうち、4体までが謎の侵入者によって粉々に破壊されてしまう。
残った2体の所有者の一人であるチズウィック(Chiswick→2016年7月23日付ブログで紹介済)のラバーナム荘(Laburnum Villa)に住むジョサイア・ブラウン氏(Mr Josiah Brown)宅近くに張り込んでいたホームズ、ジョン・H・ワトスンとレストレード警部の三人は、同宅から石膏鏡像を盗んで出て来た犯人を取り押さえることに成功する。ただし、組み合う最中に、胸像は粉々に砕けてしまった。
翌日、残りの1体の所有者であるレディング(Reading)に住むサンドフォード氏(Mr Sandeford)から10ポンドという高額で石膏胸像を買い取ったホームズは、サンドフォード氏を帰した後、ワトスンとレストレード警部の目の前で、テーブルの上に置いた胸像に対して、狩猟用鞭で鋭い一撃を加える。

シャーロック・ホームズ生還100周年記念切手
「六つのナポレオン像」のアップ写真

記念切手には、物語の終盤、テーブルの上で粉々になったナポレオン胸像の破片の中から、ホームズが丸く黒い物体を取り出して、ワトスンとレストレード警部の二人に、「これは、以前、ダクレホテル(Dacre Hotel)のコロンナ王子(Prince of Colonne)の寝室から盗まれたボルジア家の黒真珠(black pearl of the Borgias)だ。」と告げるシーンが描かれている。

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