2017年11月19日日曜日

シャーロック・ホームズ生還100周年記念切手4-「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskerville)」

シャーロック・ホームズ生還100周年記念切手「バスカヴィル家の犬」が添付された絵葉書

4番目に紹介するシャーロック・ホームズ生還100周年記念切手は、「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskerville)」である。「バスカヴィル家の犬」は、4つあるホームズシリーズの長編のうち、サー・アーサー・コナン・ドイルが3番目に発表した作品で、英国では「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1901年8月号から1902年4月号に渡って連載され、1902年に出版されている。

コナン・ドイルによる作品発表順でいくと、「バスカヴィル家の犬」は「最後の事件(The Final Problem→2017年11月12日付ブログで紹介済)」(「ストランドマガジン」の1893年12月号に掲載→事件発生年月:1891年4月)と「空き家の冒険(The Emputy House)」(「ストランドマガジン」の1903年10月号に掲載→事件発生年月:1894年4月)の間に該るが、事件発生年で言うと、「バスカヴィル家の犬」は「最後の事件」の発生年である1891年よりも前に設定されており、犯罪界のナポレオンこと、ジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)と一緒に、スイスのマイリンゲン(Meiringen)にあるライヘンバッハの滝壺(Reichenbach Falls)へと姿を消したホームズが「空き家の冒険」以前に一旦生還した訳ではない。
なお、コナン・ドイルが「バスカヴィル家の犬」を執筆した詳細な経緯については、2014年6月4日付ブログを御参照いただきたい。

長編が4、そして、短編が56あるホームズシリーズの中でも、「バスカヴィル家の犬」は最も人気が高い作品である。また、デヴォン州(Devon)南部に広がる荒野ダートムーア(Dartmoor)の景観や「火を吐く魔犬」という題材等が好まれて、ホームズシリーズ中、映像化された回数は突出して多い。

物語の終盤、メリピットハウス(Merripit House)において、昆虫学者のジャック・ステイプルトン(Jack Stapleton)と夕食を共にしたサー・ヘンリー・バスカヴィル(Sir Henry Baskerville)は、霧が深く立ち込めるダートムーアを歩いて、バスカヴィル館(Baskerville Hall)へと戻ろうとする。そこに伝説の魔犬が姿を現して、サー・ヘンリー・バスカヴィルの命を狙おうとする。彼の行動を遠巻きに見守っていたホームズ、ジョン・H・ワトスンとスコットランドヤードのレストレード警部の三人は、彼を救うべく、現場へと駆け付ける。

シャーロック・ホームズ生還100周年記念切手
「バスカヴィル家の犬」のアップ写真

記念切手は、サー・ヘンリー・バスカヴィルに襲いかかろうと後ろ足で立ち上がる伝説の魔犬に向かって、ホームズが拳銃を発砲するシーンが、非常に印象的に描かれている。画面手前から画面奥へ向かって、サー・ヘンリー・バスカヴィル、伝説の魔犬、そして、拳銃を発砲するシャーロック・ホームズという順番である。

記念切手に描かれたシーンはとても活劇的ではあるが、コナン・ドイルによる原作によると、実際には、伝説の魔犬がサー・ヘンリー・バスカヴィルを地面に引き倒して、彼の喉元に噛み付いた時、現場に駆け付けたホームズが5発の銃弾全てを魔犬の腹に打ち込んでおり、記念切手に描かれたシーン程には派手な場面にはなっていない。


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