2016年7月9日土曜日

ロンドン ケンジントンハイストリート(Kensington High Street)

地下鉄ハイストリートケンジントン駅の入口前から見たケンジントンハイストリート

サー・アーサー・コナン・ドイル作「六つのナポレオン像(The Six Napoleons)」は、ある夜、スコットランドヤードのレストレード警部(Inspector Lestrade)がベーカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元を訪れるところから、物語が始まる。


最近、ロンドンの街中で何者かが画廊や住居等に押し入って、ナポレオンの石膏胸像を壊してまわっていたのだ。そのため、レストレード警部はホームズのところへ相談に来たのである。最初の事件は、4日前にモース・ハドソン氏(Mr Morse Hudson)がテムズ河(River Thames)の南側にあるケニントンロード(Kennington Road)で経営している画廊で、そして、2番目の事件は、昨夜、バーニコット博士(Dr Barnicot)の住まい(ケニントンロード)と診療所(ロウワーブリクストンロード(Lower Brixton Road))で発生していた。続いて、3番目の事件がケンジントン地区(Kensington)のピットストリート131番地(131 Pitt Street)にあるセントラル通信社(Central Press Syndicate)の新聞記者ホーレス・ハーカー氏(Mr Horace Harker)の自宅で起きたのであった。4体目の石膏胸像が狙われた上に、今回は殺人事件にまで発展したのだ。レストレード警部に呼び出されたホームズとジョン・ワトスンは、野次馬で溢れた現場に到着する。

ケンジントンハイストリート沿いは、1階は店舗が入っているが、
2階以上はフラットになっているケースが多い

シャーロック・ホームズと私は一緒にケンジントンハイストリートへ歩いて行った。そこで、ホームズは、(ホーレス・ハーカー氏によって)胸像が購入されたハーディングブラザーズの店に寄った。若い店員によると、ハーディング氏は午後まで外出中で、自分は新入りなので何も知らない、とのことだった。ホームズの顔には、失望と苛立ちが表れた。
「そうか。ワトスン、我々の思うように、全てがうまくいくことは期待しない方がいいな。」と、ホームズは遂に言った。「もしハーディング氏が午後まで不在なのであれば、我々はその時間に戻って来るしかない。もちろん、君も気付いていると思うが、僕はこれらの胸像のことを原点まで追跡しようと思っている。こんな注目すべき運命を迎えるような特殊な事情がなかったかどうかを見極めるためにね。ケニントンロードのモース・ハドソン氏の店(画廊)へ行って、彼からこの事件について何か新しい手掛かりを得られるかどうか確認してみよう。」

ケンジントンハイストリートは、
バスやタクシー等、車の往来が多い

Sherlock Holmes and I walked together to the High Street, where he stopped at the shop of Harding Brothers, where the bust had been purchased. A young assistant informed us that Mr Harding would be absent until afternoon and that he was himself a newcomer who could give us no information. Holmes's face showed his disappointment and annoyance.
'Well, well, we can't expect to have it all our own way, Watson,' he said at last. 'We must come back in the afternoon if Mr Harding will not be here until then. I am, as you have no doubt surmised, endeavouring to trace these busts to their source, in order to find if there is not something peculiar which may account for their remarkable fate. Let us make for Mr Morse Hudson, of the Kennington Road, and see if he can throw any light upon the problem.'

ケンジントンルーフカーデンズ(Kensington Roof Gardens)が
屋上にあるビル前から見たケンジントンハイストリート

ケンジントンハイストリート(Kensington High Street)は、ケンジントン&チェルシー王立区(Royal Borough of Kensington and Chelsea)のケンジントン地区(Kensington)内にある大通りである。ハロッズ(Harrods)デパート等があるナイツブリッジ(Knightsbridge)からロンドン西部にあるハマースミス(Hammersmith)へと向かう通りで、通りの名前をナイツブリッジ通り(Knightsbridge)、ケンジントンロード(Kensington Road)と変えて、ケンジントン宮殿(Kensington Palace)への入口辺りからケンジントンハイストリートとなる。そして、ケンジントン&チェルシー王立区が終わり、ロンドン・ハマースミス&フルハム区(London Borough of Hammersimith and Fulham)に入るケンジントン・オリンピア駅(Kensington (Olympia) Station)辺りからハマースミスロード(Hammersmith Road)へとまた名前を変える。

画面中央には、地下鉄ハイストリートケンジントン駅
(2016年6月25日付ブログで紹介済)が、
画面左屋上には、ケンジントンルーフガーデンズ
(2016年2月28日付ブログで紹介済)がある

19世紀後半から、ケンジントンハイストリートは、富裕層を相手にした最も人気のあるショッピング街の一つで、現在も、通りの中間辺りにある地下鉄ハイストリートケンジントン駅(High Street Kensington Tube Station)周辺には、有名なショップが集中している。ロンドン中心部にあるリージェントストリート(Regent Street)やオックスフォードストリート(Oxford Street)等のショッピング街は、観光客を含む買物客でいつも非常に混雑していて、騒々しい感じが否めず、あまり落ち着かないが、ケンジントンハイストリートの場合、周辺住民が主体のため、リージェントストリート/オックスフォードストリート対比、人混みはそれ程ではなく、落ち着いた感じの通りで、買い物をするのであれば、こちらの方がお薦めである。

0 件のコメント:

コメントを投稿