2024年6月19日水曜日

デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ作「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 殺しの操り人形」(The further adventures of Sherlock Holmes / The Instrument of Death by David Stuart Davies)- その1

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2019年に出版された
デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ作
「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 殺しの操り人形」の表紙


「殺しの操り人形(The Instrument of Death)」は、英国の作家であるデイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ(David Stuart Davies:1946年ー)が、Titan Publishing Group Ltd. から、「シャーロック・ホームズの更なる冒険(The further adventures of Sherlock Holmes)」シリーズの一つとして、2019年に発表した作品である。

作者のデイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズは、英語の教師を経て、フルタイムの編集者、作家かつ劇作家に転身している。


デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズは、ホームズシリーズとして、


(1)2004年:「欺かれた探偵(The Veiled Detective → 2021年4月21日 / 4月28日 / 5月5日付ブログで紹介済)」

(2)2009年:「死者の書(The Scroll of the Dead → 2022年5月26日 / 6月4日 / 9月23日付ブログで紹介済)」

(3)2014年:「悪魔との契約(The Devil’s Promise → 2022年3月5日 / 3月12日 / 3月19日付ブログで紹介済)」

(4)2022年:「墓場からの復讐(Revenge from the Grave → 2022年5月4日 / 5月14日 / 5月24日付ブログで紹介済)」


を発表している。


デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ作「殺しの操り人形」は、ドイツの映画監督であるロベルト・ヴィーネ(Rober Wiene:1873年ー1938年)が1919年に制作して、1920年に公開したサイレント映画「カリガリ博士(Das Cabinet des Doktor Caligari)」をベースにしていると思われる。

映画「カリガリ博士」では、精神に異常を来した医者であるカリガリ博士(Dr. Caligari)と彼の忠実な下僕かつ夢遊病患者であるチェザーレ(Cesare)の2人が、ドイツ山間部の架空の村で引き起こした連続殺人が語られている。


デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ作「殺しの操り人形」の場合、プラハ(Prague)から、物語が始まる。

グスタフ・カリガリ(Gustav Caligari)は、父親のエメリック・カリガリ(Emeric Caligari)と2人で暮らしていた。彼の母親は、彼が生まれてまもなく、腸チフスで亡くなっていた。

父親のエメリック・カリガリは、大学で外科手術を教えており、非常に多忙のため、グスタフ・カリガリに割ける時間はほとんどなかった。実際のところ、妻が亡くなった後、子供には全く興味がなく、子供の面倒は、全て乳母任せであった。


グスタフ・カリガリは、幼少期より身体が非常に大きく、同世代の子供達を虐めたり、意のままに操っていた。

また、陰気でサディスティックな性格で、5歳になる前から、小動物(猫等)や虫(蜘蛛等)を殺して、楽しんでいた。

5歳になり、学校へ通い始めると、ひ弱で頭が良くない同級生達を陰で密かに虐め始めた(目を突いたり、大きな石を足の上に落としたりした)。

虐めが学校にばれて、グスタフ・カリガリは、放校される。父親のエメリック・カリガリは、息子のグスタフが人間の皮を被った「怪物」であることが判った。


フランクフルトのゲーテハウス / ゲーテ博物館(Goethe Haus / Goethe Musem
→ 2017年11月18日 / 11月25日付ブログで紹介済)で購入した
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの絵葉書
「Goethe in Der Campagna」(1848) by Karl Bennert (1815 - 1885)


放校後、グスタフ・カリガリの家庭教師として、数名が雇われたが、皆2ー3ヶ月で辞めてしまった。その中で、唯一残った家庭教師が、ハンス・ブルーナー(Hans Bruner)だった。

ハンス・ブルーナーが部屋に入って来た途端、グスタフ・カリガリは、「彼となら、うまくやっていける。」と感じた。ハンス・ブルーナーは、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe:1749年ー1832年)による詩「魔法使いの弟子(The Sorcerer’s Apprentice / ドイツ語:Der Zauberlehrling)」(1797年)に出てくる年老いた魔術師のようだった。


0 件のコメント:

コメントを投稿