2021年9月12日日曜日

サム・シチリアーノ作「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / グリムスウェルの呪い」(The further adventures of Sherlock Holmes / The Grimswell Curse by Sam Siciliano) - その1

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2013年に出版された
サム・シチリアーノ作
「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / グリムスウェルの呪い」の表紙


本作品「グリムスウェルの呪い(The Grimswell Curse)」は、米国ユタ州ソルトレークシティー出身の作家であるサム・シチリアーノ(Sam Siciliano:1947年ー)によって、2013年に発表された。

本作品は、1994年に発表された「オペラ座の天使(The Angel of the Opera → 2015年1月24日付ブログで紹介済)」と2012年に発表された「陰謀の糸を紡ぐ者(The Web Weaver → 2016年11月13日付ブログで紹介済)」の続編に該り、シャーロック・ホームズの相棒を務めるのは、彼の従兄弟で、友人でもあるヘンリー・ヴェルニール医師(Dr. Henry Vernier)で、本来の事件記録者であるジョン・H・ワトスンは、前2作と同様に、本作品には登場しない。また、ヘンリーの妻で、医師のミッシェル・ドゥデ・ヴェルニール(Dr. Michelle Doudet Vernier)は、前作に続き、2回目の登場となる。


ある年の11月、ハムスフォード侯爵ジェイムズ・ディグビー(James Digby, the Marquess of Hampsford)の次男であるフレデリック・ディグビー(Frederick Digby)が、ベーカーストリート221B(221B Baker Street)のホームズの元を訪れる。

物語の途中、「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles → 事件発生年月:1888年9月ー同年10月)」に言及している箇所があるため、本件は、1888年10月以降の事件と言える。また、前作から1年が経過しているという記述があるので、事件発生年月は、1895年11月ではないかと思われる。


フレデリック・ディグビーによると、彼の婚約者であるローズ・グリムスウェル(Rose Grimswell)と彼は翌年(1896年?)の6月に結婚式を挙げる予定だったが、ローズが婚約の解消を突然申し出た、とのこと。ローズ本人は、婚約解消の理由として、自分の父親が自分達の結婚を許可しないだろうと説明するだけであった。

ところが、ローズの父親で、作家でもあるダートムーア(Dartmoor)のグリムスウェル子爵ヴィクター・グリムスウェル(Victor Grimswell, the Viscount of Grimswell)は、4ヶ月以上前に、ダートムーアに点在する岩場の一つ(Demon Tor)から謎の転落死を遂げていた。グリムスウェル家かかりつけの医師は、グリムスウェル子爵は元々心臓が悪かったこと(狭心症)もあり、彼の転落死を事故死と見做しているが、フレデリック・ディグビー曰く、ローズは、自分の父親が何者かによって故意に岩場から突き落とされたのではないかと考えているようである。


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