2021年8月21日土曜日

フレッド・トーマス・セイバーヘーゲン作「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 吸血鬼を呼び出す降霊術の会」(The further adventures of Sherlock Holmes / Seance for a Vampire by Fred Thomas Saberhagen) - その2

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2010年に出版された
フレッド・トーマス・セイバーヘーゲン作
「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 吸血鬼を呼び出す降霊術の会」の裏表紙

依頼人であるアムブローズ・アルタモン氏(Mr. Ambrose Altamont)が住むバッキンガムシャー州(Buckinghamshire)アムバリー(Amberley)のノーバートンハウス(Norberton House)に到着したシャーロック・ホームズは、早速、ボート事故で亡くなった彼の長女ルイーザ・アルタモン(Louisa Altamont)の婚約者である米国人ジャーナリストのマーティン・アームストロング(Martin Armstrong)に、転覆したボートの保管場所への案内を請うた。

ホームズがボートを詳細に調べたところ、ボートの舳先に何かの引っ掻き傷があることが判った。ボートが転覆した際にできた傷なのだろうか?ちょうどそこへ、アルタモン氏の次女レベッカ・アルタモン(Rebecca Altamont)が通りかかった。レベッカの説明によると、事故の際、ボートの下からまるで海の海獣に強烈な力で突き上げられたような衝撃があったと言う。マーティン・アームストロングと同様に、ボートが急に転覆するまでは、何も異常なことはなかったということで一致していた。


ホームズ達が屋敷に戻ると、夕食が始まり、亡くなったルイーザ・アルタモンを呼び出す降霊術の会は、今夜行うことに決まった。そして、予定の午後11時が近づくと、降霊術の会が行われる図書室には、アムブローズとマデリーン(Madeline)のアルタモン夫妻、レベッカ、マーティン、降霊術師のサラとエイブラハムのキーカルディー姉弟(Sarah Kirkaldy / Abraham Kirkaldy)、そして、ホームズとジョン・H・ワトスンの8人が集まり、降霊術の会が始まったのである。


降霊術の会が進むと、彼らの前に白い人影が現れ、やがてルイーザの姿となる。

どのようにしてイカサマが行われているのかを探ろうとするワトスンがエイブラハム・キーカルディーの方をみると、彼の様子がどうもおかしい。降霊術師の姉弟の予定にないことが起きているのか、それとも、彼らが全く関知していないことが起きているようだった。

驚くアルタモン夫妻と会話を交わした後、ルイーザは「盗まれたものは返却しなければならない。(What was stolen should be return.)」という謎の言葉を残して、姿を消す。皆がフランス窓を開けて外のテラスへ出てみると、そこにルイーザが立っていた。

エイブラハム・キーカルディーが、姿の見えない誰かに頭部を殴られたように、突然、テラスに倒れ伏す。ルイーザが彼に近寄って彼にキスをしたように見えたが、彼女の口元は彼の血で真っ赤だった。なんと、彼女は、吸血鬼として、死の淵から蘇ったのである。

何が起きているのか全く判らずに騒ぐ他の人達を鎮めようとしていたホームズであったが、彼も姿の見えない何かに捕まえられ、突然、空中へと連れ攫われてしまった。それとともに、ルイーザも、再度、姿を消してしまう。

後には、何もできないまま、とり残されて、驚愕するワトスン達であった。


事件現場には、地元の警察だけではなく、ホームズとワトスンの知り合いであるスコットランドヤードのメルヴェール警部(Inspector Mervale)もかけつける。メルヴェール警部は、部下達を指揮して、ホームズの行方を捜索す流が、大きな進展はなかった。

メルヴェール警部に経緯を説明した後、ワトスンは、一旦、ロンドンへ一人で戻ることにする。ワトスンには、ある考えがあった。ホームズの従兄弟であるドラキュラ伯爵(Count Dracula)に対して、助けを求めようとしていたのだ。


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