2021年4月11日日曜日

アガサ・クリスティー作「死との約束」<映画版>(Appointment with Death by Agatha Christie

アガサ・クリスティーの原作「死との約束」の映画版(1988年)において、
名探偵エルキュール・ポワロを演じた
英国の俳優であるサー・ピーター・アレクサンダー・ユスティノフ
(なお、上記の画像は、主演した「ナイル殺人事件」(1978年)時のもの。)


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「死との約束(Appointment with Death → 2021年3月13日付ブログで紹介済)」(1938年)の映画版が、米国の制作会社であるキャノンフィルムズ(Cannon Films)によって撮影されて、1988年4月(米国)に公開された。なお、日本では、1988年5月に「死海殺人事件」というタイトルで公開されている。


英国の俳優であるサー・ピーター・アレクサンダー・ユスティノフ(Sir Peter Alexander Ustinov:1921年ー2004年)が、名探偵エルキュール・ポワロを演じている。

ちなみに、彼は、1978年に公開された EMI = パラマウント作品「Death on the Nile」(→ 日本では、アガサ・クリスティーの原作である「ナイルに死す」(1937年)ではなく、「ナイル殺人事件」というタイトルで公開)と1982年に公開されたユニヴァーサル作品「Evil Under the Sun」(→ 日本では、アガサ・クリスティーの原作である「白昼の悪魔」(1941年)ではなく、「地中海殺人事件」というタイトルで公開)においても、ポワロを既に演じているので、映画版でポワロを演じるのは、第3作目である。


アガサ・クリスティーによる原作では、エルサレム(Jersalem)にあるキングソロモンホテル(King Solomon Hotel)とヨルダン(Jordan)の古都ペトラ(Petra)にある遺跡が、物語の舞台となっている。映画版では、ボイントン一家が豪華客船で世界一周旅行中、立ち寄った死海(Dead Sea)のほとりにおいて、ボイントン夫人が毒殺される。


映画版における主な登場人物(エルキュール・ポワロとカーバリー大佐(Colonel Carbury)を除く)は、以下の通り。


(1)エミリー・ボイントン(Emily Boynton): 大富豪であるエルマー・ボイントンの未亡人。以前、刑務所の看守を務めていた。

(2)レノックス・ボイントン(Lennox Boynton): ボイントン夫人の(義理の)長男

(3)ネイディーン・ボイントン(Nadine Boynton): レノックス・ボイントンの妻

(4)レイモンド・ボイントン(Raymond Boynton): ボイントン卿夫人の(義理の)次男

(5)キャロル・ボイントン(Carol Boynton): ボイントン卿夫人の(義理の)長女

(6)ジネヴラ・ボイントン(Ginevra Boynton): ボイントン卿夫人の次女(実子)

(7)ジェファーソン・コープ(Jefferson Cope): ボイントン家の顧問弁護士

(8)サラ・キング(Sarah King): 女医

(9)ウエストホルム卿夫人(Lady Westholme): 英国下院議員

(10)ミス・クイントン(Miss Quinton): ウエストホルム卿夫人の友人で、考古学愛好家。


(1)アガサ・クリスティーの原作では、「ボイントン夫人(Mrs. Boynton)」としてしか言及されていないが、映画版では、「エミリー・ボイントン」というフルネームが与えられている。また、亡くなった夫の名前として、「エルマー・ボイントン」も設定されている。

(2)-(6)レノックス・ボイントン / ネイディーン・ボイントン / レイモンド・ボイントン / キャロル・ボイントン / ジネヴラ・ボイントンの設定は、アガサ・クリスティーの原作通りである。

(7)ジェファーソン・コープは、アガサ・クリスティーの原作では、ネイディーン・ボイントンの友人である米国人という設定であったが、映画版では、ボイントン家の顧問弁護士という設定になっている。

(8)サラ・キングの設定も、アガサ・クリスティーの原作通りで、レイモンド・ボイントンと恋仲になる。なお、アガサ・クリスティーの原作に出てくるフランス人の精神科医であるテオドール・ジェラール(Theodore Gerard)は、サラ・キングと職業がややかぶるためか、映画ドラマ版には登場しない。

(9)ウエストホルム卿夫人の設定は、アガサ・クリスティーの原作通りである。

(10)ミス・クイントンは、映画版用のキャラクターであるが、アガサ・クリスティーの原作における保母のアマベル・ピアス(Amabel Pierce)に相当するものと思われる。


レノックス・ボイントンの妻であるネイディーン・ボイントンを演じたのは、米国の女優であるキャリー・フランシス・フィッシャー(Carrie Frances Fisher:1956年ー2016年)で、「スターウォーズ(Star Wars)」シリーズのレイア・オーガナ / レイア姫(Leia Organa / Princess Leia)役で非常に有名である。


ボイントン家の顧問弁護士であるジェファーソン・コープを演じたのは、米国の俳優であるデイヴィッド・ソウル(David Soul:1943年ー)で、映画「ダーティーハリー2(Magnum Force)」(1973年)の悪徳警官役や TV ドラマ「刑事スタスキー&ハッチ(Starsky and Hutch)」(1975年ー1979年)の「ハッチ(Hutch)」ことケネス・リチャード・ハッチンソン(Kenneth Richard Hutchinson)役で有名である。


英国下院議員であるウェストホルム卿夫人を演じたのは、米国の女優であるローレン・バコール(Lauren Bacall:1924年ー2014年)で、英国の俳優であるアルバート・フィニー(Albert Finney:1936年ー2019年)が名探偵エルキュール・ポワロを演じた映画「オリエント急行殺人事件(Murder on the Orient Express)」(1974年)において、ハバード夫人(Mrs. Hubbard)役を演じている。


0 件のコメント:

コメントを投稿