2020年7月5日日曜日

ロンドン プラムステッド湿地(Plumstead Marshes)

ロンドンのピカデリーサーカスで購入した
シャーロック・ホームズをテーマにしたパブ用のミニチュア看板(その1)

サー・アーサー・コナン・ドイル作「四つの署名(The Sign of the Four)」(1890年)において、独自の捜査により、バーソロミュー・ショルト(Bartholomew Sholto)を殺害した犯人達の居場所を見つけ出したシャーロック・ホームズは、ベーカーストリート221Bへスコットランドヤードのアセルニー・ジョーンズ警部(Inspector Athelney Jones)を呼び出す。ホームズは、呼び出したアセルニー・ジョーンズ警部に対して、バーソロミュー・ショルトの殺害犯人達を捕えるべく、午後7時にウェストミンスター船着き場(Westminster Stairs / Wharf→2018年3月31日 / 4月7日付ブログで紹介済)に巡視艇を手配するよう、依頼するのであった。

巡視艇がウェストミンスター船着き場を離れると、ホームズはアセルニー・ジョーンズ警部に対して、巡視艇をロンドン塔(Tower of London→2018年4月8日 / 4月15日 / 4月22日付ブログで紹介済)方面へと向かわせ、テムズ河(River Thames)の南岸にあるジェイコブソン修理ドック(Jacobson’s Yard)の反対側に船を停泊するよう、指示した。ホームズによると、バーソロミュー・ショルトを殺害した犯人達は、オーロラ号をジェイコブソン修理ドック内に隠している、とのことだった。
ホームズ達を乗せた巡視艇が、ロンドン塔近くのハシケの列に隠れて、ジェイコブソン修理ドックの様子を見張っていると、捜していたオーロラ号が修理ドックの入口を抜けて、物凄い速度でテムズ河の下流へと向かった。そうして、巡視艇によるオーロラ号の追跡が始まったのである。

ロンドンのピカデリーサーカスで購入した
シャーロック・ホームズをテーマにしたパブ用のミニチュア看板(その2)

夜の静寂の中で、オーロラ号の機関室がガチャンガチャンと音を立てるのが聞こえた。船尾の男は、まだデッキに身を屈めており、両腕を忙しそうに動かしていた。その一方で、彼は、時々、ちらっと目を上げて、私達との間の距離を測ろうとしていた。私達との間の距離は、更に縮まっていった。ジョーンズ警部は、オーロラ号に対して、停船するように大声を挙げた。私達の船は、オーロラ号の背後、四艇身もないところまで迫っていて、両方の船とも、恐ろしい勢いで、飛ぶように進んでいた。そこは、片側がバーキング平原で、反対側がプラムステッド湿地になっている河幅が広い区域だった。私たちの呼び掛けに、船尾の男が、甲高いしゃがれた声で罵りながら、跳び上がり、私達に向かって、固く握りしめた両手を振った。彼は、体格がよく、屈強な男だった。そして、彼が両足を開き、バランスを取りながら立ち上がった時、彼の右足の大腿の下に、木製の義足が見えた。

In the silence of the night we could hear the panting and clanking of their machinery. The man in the stern still crouched upon the deck, and his arms were moving as though he were busy, while every now and then he would look up and measure with a glance the distance which still separated us. Nearer we came and nearer. Jones yelled to them to stop. We were not more than four beaf’s-lengths behind them, both boats flying at a tremendous pace. It was a clear reach of the river, with Barking Level upon one side and the melancholy Plamstead Marshes upon the other. At our hail the man in the stern sprang up from the deck and shook his two clenched fists at us, arising the while in a high, cracked voice. He was a good-sized, powerful man, and as he stood poising himself with legs astride, I could see that, from the thigh downwards, there was but a wooden stump upon the right side.

ロンドンのピカデリーサーカスで購入した
シャーロック・ホームズをテーマにしたパブ用のミニチュア看板(その3)

ホームズ達が乗った巡視艇がオーロラ号の背後、四艇身まで迫った辺りのプラムステッド湿地(Plumstead Marshes)があるプラムステッド(Plumstead)は、ロンドンの南東にある特別区の一つであるグリニッジ王立区(Royal Borough of Greenwich)内に所在する地区である。
プラムステッドは、「ブルース・パーティントン型設計図(The Bruce Partington Plans)」において、ロンドンの地下鉄オルドゲート駅(Aldgate Tube Stationー2016年3月5日付ブログで紹介済)の線路脇で死体となって発見されされたカドガン・ウェスト青年が勤める兵器工場があるウーリッチ(Woolwichー2016年3月12日付ブログで紹介済)の東側に位置している。

プラムステッドは、王立兵器工場(Royal Arsenal)が所在するウーリッチの近郊にあることから、1880年代に入ると、当該兵器工場の勤務者がプラムステッド地区内に住むようになり、人口が増え始める。
現在、プラムステッド地区内には、アジア系やカリブ系の住民が多数を占めている。

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