2014年7月12日土曜日

ロンドン ライシアム劇場(Lyceum Theatre)


 ライシアム劇場(Lyceum Theatre)は、ロンドンのコヴェントガーデン地区(Covent Garden)にあり、トラファルガースクエア(Trafalgar Square)とシティー(City)を東西に結ぶストランド通り(Strand)と、北に行くと「ロイヤル・オペラハウス(Royal Opera House)」に至るボウウェリントンストリート(Bow Wellington Street)が交差した角に位置している。

ナショナルギャラリー(National Gallery)と
ポートレートギャラリー(Portrait Gallery)の裏手(北側)に
設置されているサー・ヘンリー・アーヴィングのブロンズ像ー
同像の前の通りは、彼の名前に因んで
アーヴィングストリート(Irving Street)と呼ばれている

ライシアム劇場の始まりは、1756年まで遡る。当初は、コンサートホールとして建設され、その当時、劇場のライセンスを得る事ができなかったため、サーカス等も興行されたそうである。1830年に焼失したが、1834年に「ロイヤル・ライシアム・アンド・イングリッシュ・オペラハウス(Royal Lyceum and English Opera House)」と改称して再開された。1871年から、当劇場において、それまで主に地方を巡演していた俳優サー・ヘンリー・アーヴィング(Sir Henry Irving:1838年ー1905年)がレオポレド・ルイス作のメロドラマ「鐘」に出演して、爆発的な人気を獲得、これがかなりのロングランになったそうなので、シャーロック・ホームズやジョン・ワトスンが活躍していた頃は、当劇場では「鐘」の上演が続いていたのではないかと思われる。

ライシアム劇場における
サー・ヘンリー・アーヴィングの功績を讃えて、
同劇場の外壁には、彼の名前が刻まれている

ホームズ作品において、ライシアム劇場が重要な役割を果たすのは、「四つの署名(The Sign of the Four)」である。メアリー・モースタンがホームズやワトスンの元を訪ねて、風変わりな事件の調査依頼をした際、彼女は「未知の友(Your unknown friend)」から受け取った謎の手紙をホームズ達に見せる。その手紙には、以下の内容が書かれていた。

Be at the third pillar from the left outside the Lyceum Theatre tonight at seven o'clock. if you are distrustful bring two friends …
「今夜7時に、ライシアム劇場の場外の左から3本目の柱のところまでお越し下さい。もし御心配であれば、お友達を二人お連れ下さい。」

原作者であるサー・アーサー・コナン・ドイルが、ホームズとワトスンの2人を同行させるために、「二人」を意図的に入れたと思われ、ストーリー的にはやや出来過ぎの感が強いが、メアリー・モースタンからの依頼を受けたホームズとワトスンは、彼女と一緒にライシアム劇場へ出かけ、彼女の「未知の友」に出会うことによって、事件の核心部分に迫るのである。

ライシアム劇場では、現在、
ミュージカル「ライオンキング」がロングランを続けている

なお、現在、ライシアム劇場ではミュージカル「ライオンキング」がロングランを続けており、連日、子供連れの観光客等で賑わっている。

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