2014年5月3日土曜日

ロンドン 地下鉄ベーカーストリート駅 ジュビリーラインのプラットフォームにあるホームズの物語(5)

(5)孤独な自転車乗り(The Solitary Cyclist)


   初出:「コリアーズ ウィークリー」(米)1903年12月26日号
  「ストランドマガジン」(英)1904年1月号
                                    事件の発生:1895年4月
                                    収録:「シャーロック・ホームズの帰還(The Return of Sherlock Holmes)」

カラザース氏の屋敷で、彼の一人娘の音楽の家庭教師をしているヴァイオレット・スミスが、ホームズの元に依頼に訪れる。彼女は、毎週土曜日、住み込みの屋敷からロンドンに帰り、翌日の月曜日に屋敷へ戻って来るのだが、駅の行き帰りに寂しい一本道を自転車で通ると、その度に黒ずくめの男が後ろからつけて来るというのだ。家庭教師の職を辞するある土曜日、彼女は何者かに連れ去られてしまう。猿ぐつわをされ、結婚式を強要されつつある彼女を助けに、ホームズとワトスンが駆け付ける、その場面が描かれている。


本作品は、サー・アーサー・コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズ作品の第31作目で、56ある短編小説のうち、28番目に発表された。本作品には、ヴァイオレット・スミスと彼女の後をつける黒ずくめの男の二人の自転車乗りが登場する。本作品のタイトルである「The Solitary Cyclist」とはどちらを指すのか?今のところ、日本語訳では、定番となっているものがなく、翻訳者や出版社によって、以下の3つのパターンに分かれている。

(1)自転車乗りがどちらを指すのか不明なパターン→孤独な自転車乗り
(2)ヴァイオレット・スミスを指すパターン→美しき自転車乗り
(3)黒ずくめの男を指すパターン→怪しい自転車乗り

日本語の訳一つで、本作品のタイトルから受ける印象が微妙に異なってくるので、なかなか面白い。ちなみに、本稿のタイトルは、solitaryの単語の意味から「孤独な自転車乗り」としてある。

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