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| 英国の Harper Collins Publishers 社から以前に出版されていた アガサ・クリスティー作「ビッグ4」の ペーパーバック版の表紙 |
英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に発行されている「エルキュール・ポワロの世界(The World of Hercule Poirot)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているエルキュール・ポワロシリーズの登場人物や各作品に関連した112個の手掛かりについて、引き続き、紹介したい。
前回に引き続き、各作品に出てくる登場人物、建物や手掛かり等が、その対象となる。
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| ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の完成形 <筆者撮影> |
(23)チェスボード(chessboard)
ジグソーパズルの左下の角にあるテーブルの上に、チェスボードが置かれている。
(24) 翡翠の人形(jade figurines)
ジグソーパズルの下段中央の右手にあるテーブルの上段の中央に、翡翠の人形3体が置かれている。
(25)迷路(labyrinth)
エルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)が立ってる背後にある柱に、額に入った迷路の図が掛けられている。
(26) 骨付きの羊肉(frozen leg of lamb)
ジグソーパズルの上段中央のやや右手にあるフランス窓の外に、骨付きの羊肉が置かれている。
これらから連想されるのは、アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1927年に発表した「ビッグ4(The Big Four)」である。
「ビッグ4」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第7作目に、そして、エルキュール・ポワロシリーズの長編としては、第4作目に該っている。
本作品の場合、元々、1924年1月2日から同年3月19日にかけて、週刊誌の「ザ・スケッチ(The Sketch)」誌上に掲載された12の短編が一つに構成され、1927年に1冊の書籍として刊行された。
*「The Unexpected Guest」(The Sketch 1614 - 1924年1月2日)
*「The Adventure of the Dartmoor Bungalow」(The Sketch 1615 - 1924年1月9日)
*「The Lady on the Stairs」(The Sketch 1616 - 1924年1月16日)
*「The Radium Thieves」(The Sketch 1617 - 1924年1月23日)
*「In the House of the Enemy」(The Sketch 1618 - 1924年1月30日)
*「The Yellow Jasmine」(The Sketch 1619 - 1924年2月6日)
*「A Chess Problem」(The Sketch 1620 - 1924年2月13日)
*「The Baited Trap」(The Sketch 1621 - 1924年2月20日)
*「The Adventure of the Peroxide Blonde」(The Sketch 1622 - 1924年2月27日)
*「The Terrible Catastrophe」(The Sketch 1623 - 1924年3月5日)
*「The Dying Chinaman」(The Sketch 1624 - 1924年3月12日)
*「The Crag in the Dolomites」(The Sketch 1625 - 1924年3月19日)
長編第6作目に該る「アクロイド殺し(The Murder of Roger Ackroyd → 2023年9月25日 / 10月2日付ブログで紹介済)」(1926年)のフェア・アンフェア論争により、アガサ・クリスティーの知名度は大きく高まり、ベストセラー作家の仲間入りを果たした。
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| 英国の Harper Collins Publishers 社から以前に出版されていた アガサ・クリスティー作「アクロイド殺し」の ペーパーバック版の表紙 |
一方で、同年、アガサ・クリスティーは、最愛の母親を亡くしたことに加えて、夫であるアーチボルド・クリスティー(Archibald Christie:1889年ー1962年)に、別に恋人が居ることが判明して、精神的に不安定な状態にあった。
当時、ロンドン近郊の田園都市であるサニングデール(Sunningdale)に住んでいたアガサ・クリスティーは、同年(1926年)12月3日、住み込みのメイドに対して、行き先を告げず、「外出する。」と伝えると、当時珍しかった自動車を自分で運転して、自宅を出たまま、行方不明となってしまう。
「アクロイド殺し」がベストセラー化したことにより、有名人となった彼女の失踪事件は、世間の興味を非常に掻き立てた。警察は、彼女の行方を探すとともに、彼女が事件に巻き込まれた可能性も視野に入れて、捜査を進め、夫のアーチボルドも疑われることになった。マスコミは格好のネタに飛び付き、シャーロック・ホームズシリーズの作者であるサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-193年)やピーター・デス・ブリードン・ウィムジイ卿(Lord Peter Death Bredon Wimsey)シリーズの作者であるドロシー・L・セイヤーズ(Dorothy Leigh Sayers:1893年ー1957年)等が、マスコミから求められて、コメントを出している。
11日後、彼女は、保養地(Harrogate)のホテル(The Swan Hydropathic Hotel)に別人(夫アーチボルドの愛人であるナンシー・ニール(Nancy Neele)と同じ姓のテレサ・ニール(Teresa Neele))の名義で宿泊していたことが判り、保護された。
上記の通り、1926年に、アガサ・クリスティーは、キャリア面において、ベストセラー作家の仲間入りを果たすとともに、プライベート面においても、失踪事件を起こして、世間からの脚光を浴びてしまうことになった。
その結果、「ビッグ4」が発表された1927年当時、アガサ・クリスティーは、ずーっと一語も書けない状況が続いていたが、一方で、この年に本を出す予定になっていた。
夫のアーチボルド・クリスティーの兄キャンベル・クリスティーが彼女のことを心配して提案された通り、アガサ・クリスティーは、1924年に「ザ・スケッチ」誌上に掲載した12の短編を一つにまとめて、「4だった男(The Man Who Was No. 4)」というタイトルで出版した。それが、現在の「ビッグ4」で、かなりの成功を収めた、とのこと。








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