英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に発行されている「「そして誰もいなくなった」の世界(The World of ‘And Then There Were None’)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」(1939年)の登場人物や同作品に関連した47個にわたる手掛かりについて、引き続き、紹介したい。
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| 英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に出ている ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」(1000ピース) |
(12)10人の子供の兵隊人形(ten china soldier figurines)
エリック・ノーマン・オーウェン氏(Mr. Ulick Norman Owen)とユナ・ナンシー・オーウェン夫人(Mrs. Una Nancy Owen)に招待されて、兵隊島(Solidier Island → 2025年10月19日付ブログで紹介済)へのボート発着所であるデヴォン州(Devon)スティクルヘイヴン村(兵隊島へのボート発着所)に着いた
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| 兵隊島は、 ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」の左下の角に置かれている。 <筆者撮影> |
*高名な元判事のローレンス・ジョン・ウォーグレイヴ(Lawrence John Wargrave → 2025年10月20日付ブログで紹介済)
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| パディントン駅(Paddington Station → 2014年8月3日付ブログで紹介済)から オークブリッジ駅へと向かう列車の一等喫煙車内において、 ローレンス・ジョン・ウォーグレイヴ元判事は、右手に持った葉巻を燻らせ、 コンスタンス・カルミントンと署名された手紙を左手に持ち、その内容を読んでいる。 <筆者撮影> |
*体育教師(games mistress)のヴェラ・エリザベス・クレイソーン(Vera Elizabeth Claythorne → 2025年10月21日付ブログで紹介済)
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| ヴェラ・エリザベス・クレイソーンは、 赤地に白い斑点があるスカーフを頭に巻き、サングラスをかけて、水着姿で砂浜に座っている。 <筆者撮影> |
*元陸軍中尉(Lieutenant)のフィリップ・ロンバード(Philip Lombard → 2025年10月28日付ブログで紹介済)
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| ジグソーパズルの上部のやや左側に、 正装したフィリップ・ロンバードが左手に拳銃を構えている場面が、赤枠で配置されている。 <筆者撮影> |
*信仰心の厚い老婦人のエミリー・キャロライン・ブレント(Emily Caroline Brent → 2025年10月29日付ブログで紹介済)
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| ジグソーパズルの上部のやや右側に、 赤い服を着た正装したエミリー・キャロライン・ブレントが顔の前で両手を合わせている場面が、 赤枠で囲まれている。 <筆者撮影> |
*退役した老将軍(General)のジョン・ゴードン・マッカーサー(John Gordon Macarthur → 2025年10月30日付ブログで紹介済)
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| ジグソーパズルの中段の一番左端に、 愛する妻レスリー(Lesley)に思いを馳せるジョン・ゴードン・マッカーサーが、 赤枠で囲まれている。 <筆者撮影> |
*遊び好きで、生意気な青年のアンソニー・ジェイムズ・マーストン(Anthony James Marston → 2025年11月1日付ブログで紹介済)
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| ジグソーパズルの中段の右端に、サングラスをかけて、 大型スポーツカーのダルメインを運転するアンソニー・ジェイムズ・マーストンが、赤枠で囲まれている。 <筆者撮影> |
*元警部(Detective Inspector)のウィリアム・ヘンリー・ブロア(William Henry Blore → 2025年11月2日付ブログで紹介済)
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| ジグソーパズルの下段のやや右側に、 ファイティングポーズをとる正装姿のウィリアム・ヘンリー・ブロアが、赤枠で囲まれている。 <筆者撮影> |
の7人は、フレッド・ナラコット(Fred Narracott - 漁師)のボートに乗り、沖合いの兵隊島に上陸する。その7人を執事のトマス・ロジャーズ(Thomas Rogers → 2025年11月3日付ブログで紹介済)が出迎えた。
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| ジグソーパズルの上段のやや左側に、 料理人で、妻のエセル・ロジャーズに対して、何かを言い含めている夫のトマス・ロジャーズが、 赤枠で囲まれている。 <筆者撮影> |
なお、医師のエドワード・ジョージ・アームストロング(Edward George Armstrong → 2025年10月31日付ブログで紹介済)は、7人に遅れて、後から兵隊島に到着。
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| ジグソーパズルの下段の中央に、 首の後ろに右手を当てているエドワード・ジョージ・アームストロング医師が、赤枠で囲まれている。 <筆者撮影> |
そして、招待主であるオーウェン夫妻が居ないまま、トマス・ロジャーズと執事の妻で、料理人のエセル・ロジャーズ(Ethel Rogers → 2025年11月4日付ブログで紹介済)の給仕を受けて、招待客8人は、食堂で夕食をとった。
食事も、そろそろ終わりだった。
料理はすばらしかったし、ワインも申し分なかった。ロジャーズの給仕も行き届いていた。
全員、機嫌がよくなっていた。前よりも気軽に言葉を交わして、会話がはずんでいる。
<中略>
突然、アンソニー・マーストンが言った。
「おかしなものがあるなあ」
丸いテーブルの中央に、ガラスの丸い台が置いてあり、それに小さな陶器の人形が並べてあった。
「兵隊か」と、アンソニーは言った。「兵隊島だからってことかな」
ヴェラが、前に乗り出した。
「もしかして - いくつあるのかしら。十個?」
「そう、十個ですね」
ヴェラは大きな声で言った。
「あら、おもしろい! これ、童謡に出てくる、十人の小さな兵隊さんじゃありませんか。わたしの部屋のマントルピースの上に、童謡が額に入れてかざってあるんですよ」
「ぼくの部屋にもですよ」と、ロンバードが言った。
「わたしの部屋にも」
「わたしのところにもです」
全員が声をそろえた。
「おもしろいアイデアじゃありません?」と、ヴェラは言った。
ウォーグレイヴ判事が、うめくようにつぶやいた。
「大人のすることとは、とても思えん」そして、自分のグラスにポートワインをついだ。
(青木 久惠訳)
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| 食堂のテーブルの上には、 当初、10人の兵隊人形が置かれていた。 - HarperCollins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版 (→ 2020年9月13日付ブログで紹介済)から抜粋。 |
童謡「10人の子供の兵隊」(nursery rhyme → 2025年11月14日付ブログで紹介済)の調べにのって、一人また一人と、招待客の8人と執事 / 料理人の夫婦が正体不明の何者かに殺害されていく。それに伴って、食堂のテーブルの上にある兵隊人形の数も減っていく。
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| 兵隊島に建つ邸宅の2階にある ヴェラ・エリザベス・クレイソーンの部屋の壁(画面左側)には、 童謡「10人の子供の兵隊」が書かれた額が掛けられている。 <筆者撮影> |
Ten little soldier boys went out to dine; One choked his little self and then there were Nine.
(10人の子供の兵隊さんが、ご飯を食べに出かけた。一人が喉を詰まらせて、残りは9人になった。)
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| アンソニー・ジェイムズ・マーストンがブランデーが入ったグラスに投与された青酸カリによる中毒死した夜、 執事のトマス・ロジャーズが、食堂の後片付けをしていた際、 テーブルの上に置かれた兵隊の人形の数が10個から9個へと減っていることに気付く。- HarperCollins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
Nine little soldier boys sat up very late; One overslept himself and then there were Eight.
(9人の子供の兵隊さんが、夜更かしをした。一人が寝坊をして、残りは8人になった。)
Eight little soldier boys travelling in Devon; One said he’d stay and then there were Seven.
(8人の子供の兵隊さんが、デヴォン州を旅した。一人がそこに住むと言って、残りは7人になった。)
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| ジョン・ゴードン・マッカーサーの死亡に伴い、 テーブルの上に置かれた兵隊の人形の数が8個から7個へと減っていた。- HarperCollins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
Seven little soldier boys chopping up sticks; One chopped himself in halves and then there were Six.
(7人の子供の兵隊さんが、薪割りをした。一人が自分を真っ二つに割って、残りは6人になった。)
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| トマス・ロジャーズの死亡に伴い、 テーブルの上に置かれた兵隊の人形の数が7個から6個へと減っていた。- HarperCollins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
Six little soldier boys playing with a hive; A bumble-bee stung one and then there were Five.
(6人の子供の兵隊さんが、蜂の巣に悪戯をした。一人が蜂に刺されて、残りは5人になった。)
Five little soldier boys going in for law; One got in chancery and then there were Four.
(5人の子供の兵隊さんが、法律を志した。一人が大法官府(裁判所)に入って、残りは4人になった。)
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厳密に言うと、原作の場合、 ローレンス・ジョン・ウォーグレイヴが見つかったのは、応接間(1階)で、 兵隊人形が置かれているのは、食堂(1階)なので、この場面は正しくない。- HarperCollins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
Four little soldier boys going out to sea; A red herring swallowed one and then there were Three.
(4人の子供の兵隊さんが、海へ出かけた。一人が燻製の鰊(ニシン)に呑みれて、残りは3人になった。)
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原作の場合、 夜中、屋敷から外へ出て行ったエドワード・ジョージ・アームストロングの追跡が失敗に終わり、 屋敷に戻って来たフィリップ・・ロンバードとウィリアム・ヘンリー・ブロアの2人は、 食堂へ行って、兵隊人形の数が3個に減っていることを確認。- HarperCollins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
Three little soldier boys walking in the zoo; A big bear hugged one and then there were Two.
(3人の子供の兵隊さんが、動物園内を歩いていた。一人が大きな熊に抱き締められて、残りは2人になった。)
Two little soldier boys sitting in the sun; One got frizzled up and then there was One.
(2人の子供の兵隊さんが、日光浴をしていた。一人が焼け焦げになって、残りは1人になった。)
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原作の場合、フィリップ・ロンバードを射殺した後、 屋敷に戻ったヴェラ・エリザベス・クレイソーンは、食堂に立ち寄り、 テーブルの上に置かれた3体の人形のうち、2体を取って、窓から外へ放り投げる。 そして、3体目の人形を手に取る。- HarperCollins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
One little soldier boy left all alone; He went and hanged himself … And then there were None.
(1人の子供の兵隊さんが、後に残された。彼は自分で首を括って、そして、誰もいなくなった。)
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原作の場合、ヴェラ・エリザベス・クレイソーンは、天井のフックからぶら下がっているロープの輪で、 自ら首を括って、自殺を遂げる。その際、最後の人形が、彼女の手から落ちる。- HarperCollins Publishers 社から出ている アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。 |
彼らを兵隊島へ招待したオーウェン夫妻とは一体何者なのか?
オーウェン夫妻であるエリック・ノーマン・オーウェン氏とユナ・ナンシー・オーウェン夫人の名前を略すと、どちらも「U. N. Owen」、つまり、「UNKOWN(招正体不明の者)」となる。
オーウェン夫妻が正体不明の殺人犯で、残された人の中に居るのか?それとも、屋敷内のどこか、あるいは、兵隊島のどこかに隠れ潜んでいるのだろうか?
恐怖が満ちる中、また一人、残された人と兵隊人形が減っていくのであった。
























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