2025年11月8日土曜日

エルキュール・ポワロの世界 <ジグソーパズル>(The World of Hercule Poirot )- その11B

英国の Harper Collins Publishers 社から現在出版されている
アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」の
ペーパーバック版の表紙 -
ゴルフ場が、
ティーの上に乗ったゴルフボールの形に切り取られている。

1923年のある日、エルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)は、フランス、ノルマンディー海岸のメルランヴィル(Merlinville-sur-Mer)にあるジュネヴィエーヴ荘(Villa Genevieve)に住むポール・ルノー(Paul Renauld)からで、「急ぎのお越しを請う!」という手紙を受け取る。それによると、彼には、命の危険が迫っているようだったが、絶対に明らかにはできない重大な秘密があるため、フランスの地元警察へは行けず、「ベルギー警察に、その人あり。」と言われたポワロに対して、助けを求めてきたのである。


ポール・ルノーからの手紙に興味を覚えたポワロは、急いで出発の準備を整えると、友人で、かつ、相棒でもあるアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings → 2025年10月12日付ブログで紹介済)を伴い、英仏海峡を渡り、英国(ドーヴァー(Dover))からフランス(カレー(Calais))へと向かった。


メルランヴィルにあるジュネヴィエーヴ壮に到着したポワロ達は、残念ながら、間に合わず、
出迎えた地元警察のリュシアン・ベー署長から、
「ポール・ルノーは、今朝、何者かに殺害された。」と告げられる。-

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」の
グラフィックノベル版(→ 2022年11月4日付ブログで紹介済)から抜粋。


翌日、ポワロとヘイスティングス大尉の二人は、メルランヴィルのジュヌヴィエーヴ荘に到着するが、別荘の門のところで、地元警察の巡査によって、行く手を遮られる。

驚いたことに、ジュヌヴィエーヴ荘の主人で、南米で富を築いた富豪であるポール・ルノー(フランス系カナダ人)は、今朝、既に殺害されていたのである。残念なことに、ポワロは間に合わなかったのだ。


続いて、リュシアン・ベー署長は、ポワロ達に
オート予審判事を紹介する。
-

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」のグラフィックノベル版から抜粋。


ポール・ルノーの妻であるエロイーズ・ルノー(Eloise Renauld)によると、前の晩、二人組の暴漢が夫妻の寝室に侵入して来て、ルノー夫人は、縛り上げられた上に、猿轡(さるぐつわ)をかまされた。そして、彼女の夫(ポール・ルノー)は、下着の上にコートを羽織っただけという格好で、犯人達によって、無理やり戸外へと連れ出された、とのこと。


前の晩、二人組の暴漢が、ルノー夫妻の寝室に侵入して来て、
夫人のエロイーズを縛り上げた上に、猿轡をかませた。
-

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」のグラフィックノベル版から抜粋。


続いて、二人組の暴漢は、夫のポールを
下着の上にコートを羽織っただけという格好で、無理やり戸外へと連れ出した。
-

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」のグラフィックノベル版から抜粋。


翌日の早朝、彼女の夫は、短剣で背中を刺されて、ジュネヴィエーヴ荘のすぐ隣りにあるゴルフ場(来月オープン予定)に掘られた墓穴に倒れているのを、ゴルフ場の従業員が発見したのである。二人組の暴漢は、わざわざ、墓穴を掘りながらも、ポール・ルノーの死体を埋めずに、そのまま放置するという非常に不可解な行動をとっていた。


翌日の早朝、縛り上げられた上に、猿轡をかまされた夫人のエロイーズを、
ルノー家のメイドが見つけた。
-

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」のグラフィックノベル版から抜粋。


同じく、翌日の早朝、夫のポールは、短剣で背中を刺されて、
ジュネヴィエーヴ荘のすぐ隣りにあるゴルフ場予定地に掘られた墓穴に倒れているのを、
ゴルフ場の従業員が発見した。
-

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」のグラフィックノベル版から抜粋。


間に合わなかったものの、英国からフランスまで遥々やって来たポワロは、自らの手で犯人達を見つけ出すことを誓った。幸いなことに、地元警察のリュシアン・ベー署長(Lucien Bex / Commissionary of Police for Merlinville-sur-Mer)は、彼の到着を歓迎してくれたので、早速、ポワロは捜査を開始する。

まもなく、オート予審判事(Monsieur Hautet / Examining Magistrate)による要請に基づき、パリ警察から名刑事としての呼び声が高いジロー刑事(Monsieur Giraud / Detective of the Paris Surete)が現場に派遣されることになり、ポワロとジロー刑事による推理合戦の火蓋が切って落とされることとなった。


ポワロ、ヘイスティングス大尉とリュシアン・ベー署長の3人が
ジュネヴィエーヴ荘の周囲を探索していると、
オート予審判事からの要請に基づいて、パリ警察から派遣されたジロー刑事に出会う。
-

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」のグラフィックノベル版から抜粋。


作者のアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)は、彼女の自伝の中で、本作品である「ゴルフ場殺人事件(The Murder on the Links → 2022年11月14日付ブログで紹介済)」(1923年)について、次のように述べている。


「ゴルフ場殺人事件」は、この種におけるまずまずの実例だと思っている。

もっとも、少しばかりメロドラマ的であるが。

今回は、ヘイスティングス(大尉)に対して、恋愛事件を用意してあげた。

正直に言うと、私は、少しばかり、彼(ヘイスティングス大尉)にウンザリしていたのである。


ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の完成形
<筆者撮影>


(12)ゴルフクラブ(golf clubs)



南米で富を築いた富豪であるポール・ルノー(フランス系カナダ人)は、ポワロに助けを求めたものの、短剣で背中を刺された状態で、ジュネヴィエーヴ荘の敷地から2-3ヤード離れたゴルフ場(来月オープン予定)に掘られたばかりの穴の中にうつ伏せになって横たわっているのを、事件の翌日の早朝、ゴルフ場の従業員によって発見されている。


(13)3つの短剣(three identical daggers)



ポール・ルノーの刺殺に使用された凶器の短剣は、彼の息子であるジャック・ルノー(Jack Renauld)が特注したものである。

ジャック・ルノーは、年齢を偽って、第一次世界大戦(1914年-1918年)に従軍しており、戦争従軍の記念として、流線型の飛行機のケーブルから短剣を3本特注。


ポール・ルノーを殺害した凶器である短剣を、
ポワロ達は、リュシアン・ベー署長から見せられる。
-

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」のグラフィックノベル版から抜粋。


なお、ジャック・ルノーによると、3本の短剣の持ち主は、以下の通り。


*エロイーズ・ルノー(ポール・ルノーの妻 / ジャック・ルノーの母親であるエロイーズ・ルノー)

*ジャック・ルノーは、当初、自分用として持っていたが、マルト・ドーブルーユ(Marthe Daubreuil - ジュネヴィエーヴ荘の隣家マルグリット荘の主人であるドーブルーユ夫人(Madame Daubreuil)の娘で、ジャック・ルノーの前恋人)

*ベラ・デュヴィーン(Bella Duveen - アクロバット芸人の少女で、ジャック・ルノーの現恋人)


(14)鉛管(lead piping)



ゴルフ場にポール・ルノーの死体をうつ伏せに横たえるため、穴を掘ったスコップの横に、変色した短い鉛管が転がっていた。

ポール・ルノーの顔を傷付けて、誰だか判らないようにするために、この鉛管を使用したものと考えられた。


0 件のコメント:

コメントを投稿