2025年11月1日土曜日

「そして誰もいなくなった」の世界 <ジグソーパズル>(The World of ‘And Then There Were None’ )- その9

ジグソーパズルの中段の右端に、サングラスをかけて、
大型スポーツカーのダルメインを運転するアンソニー・ジェイムズ・マーストンが、赤枠で囲まれている。
<筆者撮影>


英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に発行されている「「そして誰もいなくなった」の世界(The World of ‘And Then There Were None’)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」(1939年)の登場人物や同作品に関連した47個にわたる手掛かりについて、引き続き、紹介したい。


英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に出ている
ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」(1000ピース)


(8)(23)アンソニー・ジェイムズ・マーストン(Anthony James Marston)


高名な元判事のローレンス・ジョン・ウォーグレイヴ(Lawrence John Wargrave → 2025年10月20日付ブログで紹介済)、体育教師(games mistress)のヴェラ・エリザベス・クレイソーン(Vera Elizabeth Claythorne → 2025年10月21日付ブログで紹介済)、元陸軍中尉(Lieutenant)のフィリップ・ロンバード(Philip Lombard → 2025年10月28日付ブログで紹介済)、信仰心の厚い老婦人のエミリー・キャロライン・ブレント(Emily Caroline Brent → 2025年10月29日付ブログで紹介済)や退役した老将軍(General)のジョン・ゴードン・マッカーサー(John Gordon Macarthur → 2025年10月30日付ブログで紹介済)の5人は、列車に乗っていたが、遊び好きで、生意気な青年のアンソニー・ジェイムズ・マーストンは、医師のエドワード・ジョージ・アームストロング(Edward George Armstrong → 2025年10月31日付ブログで紹介済)と同じく、車で現地へと向かう途中だった。

アンソニー・ジェイムズ・マーストンが運転する大型スポーツカーのダルメインは、ウィルトシャー州(Wiltshire)のソールズベリー(Salisbury)平野において、エドワード・ジョージ・アームストロング医師が乗る車モーリス(Morris)を時速80マイルの猛スピードで追い抜いた際、アームストロング医師の車を危うく垣根に突っ込ませるところだった。

そして、アンソニー・ジェイムズ・マーストンのスポーツカーは、エンジンを唸らせながら、ウィルトシャー州のミアへと入る。

オーウェン夫妻からの招待を受けたアンソニー・ジェイムズ・マーストンの目的地は、デヴォン州海岸の沖合いの島である兵隊島(Solidier Island → 2025年10月19日付ブログで紹介済)だった。ただし、彼は、招待主であるオーウェン夫妻が、一体、どういう人物なのか、全く知らなかったである。


兵隊島は、
ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」の左下の角に置かれている。
<筆者撮影>


ここで一休みして、一杯やるか。それとも、このまま突っぱしるか。時間はたっぷりあるな。あと百マイルちょっとだ。ジンのジンジャービア割りでも飲むか。今日はやけに暑い!


<中略>


ホテルから出てきたマーストンは、大きくのびをした。そしてあくびをしてから、空を見あげ、ダルメインに乗りこんだ。

若い女性が数人、マーストンを見て、胸をときめかせた - 彼は身長六フィートの均整の取れた体格をしていた。カーリー・ヘアに日やけした肌、そして、吸いこまれそうな、青い瞳。

マーストンは轟音を響かせてクラッチを入れ、狭い通りに飛びだした。年寄りや使い走りの少年があわてて飛びのいた。少年たちは走り去る車を、ほれぼれと眺めた。

アンソニー・マーストンは、意気揚々とアクセルを踏みこんだ。

(青木 久惠訳)


ジグソーパズルの中段の右端に、サングラスをかけて、大型スポーツカーのダルメインを運転するアンソニー・ジェイムズ・マーストンが、赤枠で囲まれている。また、その左斜め下には、兵隊島に建つ邸宅の居間において、ソファーにリラックして座り、酒を楽しむアンソニー・ジェイムズ・マーストンの姿が見られる。


兵隊島に建つ邸宅の居間(1階(Ground Floor)の一番右端)において、
ソファーにリラックして座り、酒を楽しむアンソニー・ジェイムズ・マーストンの姿が見られる。
<筆者撮影>


1930年代後半の8月のこと、英国デヴォン州の沖合いに浮かぶ兵隊島に、ヴェラ・エリザベス・クレイソーンを含め、年齢も職業も異なる8人の男女が招かれる。彼らを島で迎えた召使と料理人の夫婦は、エリック・ノーマン・オーウェン氏(Mr. Ulick Norman Owen)とユナ・ナンシー・オーウェン夫人に自分達は雇われていると招待客に告げる。しかし、彼らの招待主で、この島の所有者であるオーウェン夫妻は、いつまで待っても、姿を現さないままだった。


招待客が自分達の招待主や招待状の話をし始めると、皆の説明が全く噛み合なかった。その結果、招待状が虚偽のものであることが、彼らには判ってきた。招待客の不安がつのる中、晩餐会が始まるが、その最中、招待客8人と召使夫婦が過去に犯した罪を告発する謎の声が室内に響き渡る。

アンソニー・ジェイムズ・マーストンは、スピードを出し過ぎた車で、二人の子供(ジョン・クームズ(John Coombes)とルーシー・クームズ(Lucy Coombes))を轢き殺した殺と告発された。


招待客が兵隊島に到着した日の晩餐会において、
謎の声(オーウェン氏)による告発により、招待客8人と召使夫婦が戦慄する場面 -

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」の
グラフィックノベル版(→ 2020年9月13日付ブログで紹介済)から抜粋。


そして、物語が進み、童謡「10人の子供の兵隊(Ten Little Soldiers → 2025年6月26日付ブログで紹介済)」に準えて、アンソニー・ジェイムズ・マーストンは、最初の被害者となる。

食堂(Dining Room)のテーブルの上には、
当初、10人の兵隊人形が置かれていた。-
HarperCollins Publishers 社から出ている
アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。


Ten little soldier boys went out to dine; One choked his little self and then there were Nine.

(10人の子供の兵隊さんが、ご飯を食べに出かけた。一人が喉を詰まらせて、残りは9人になった。)


アンソニー・ジェイムズ・マーストンは、
ブランデーが入ったグラスに投与された青酸カリによる中毒により、
最初の犠牲者となる。
-
HarperCollins Publishers 社から出ている
アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。


*被害者:アンソニー・ジェイムズ・マーストン

*告発された罪状:二人の子供であるジョン・クームズ(John Coombes)とルーシー・クームズ(Lucy Coombes)を殺害(具体的に言うと、スピードを出し過ぎた車で轢き殺している)。


アンソニー・ジェイムズ・マーストンがブランデーが入ったグラスに投与された青酸カリによる中毒死した夜、
執事のトマス・ロジャーズが、食堂の後片付けをしていた際、
テーブルの上に置かれた兵隊の人形の数が10個から9個へと減っていることに気付く。 -

HarperCollins Publishers 社から出ている
アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。


*犯罪発生時期:去年(last year)の11月14日

*死因:ブランデー(brandy)が入ったグラスに投与された青酸カリによる中毒死


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