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| ジズソーパズル「シェイクスピアの世界(The World of Shakespeare)」において、 グローブ座(Globe Theatre → 2023年5月8日付ブログで紹介済)の 右側に建っている居酒屋(tavern)の前に、 オセロー(画面右側の人物が)と イアーゴー(画面左側の人物)が佇んでいる。 <筆者撮影> |
アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1967年に発表した長編「終りなき夜に生れつく(Endless Night → 2026年4月13日 / 4月30日付ブログで紹介済)」は、彼女が執筆した長編としては、第58作目に該り、エルキュール・ポワロやミス・ジェーン・マープル等が登場しないノンシリーズ作品である。
キングストンビショップ村(Kingston Bishop)にある「ジプシーが丘(Gipsy’s Acre)」は、海を臨むことができる美しい眺望の景勝地であったが、そこで以前に起こった不吉な事故によって、キングストンビショップ村の住民達からは、呪われた伝説を持つ土地として、非常に恐れられていた。
ある日、皆に恐れられている「ジプシーが丘」において、
(1)ドライバー等の職業を転々とするその日暮らしの風来坊であるマイケル・ロジャース(Michael Rogers - 通称:マイク(Mike))→ この物語の語り手
と
(2)米国の大富豪(石油王)の娘で、裕福な相続人であるフェニラ・グットマン(Fenella Guteman - 通称:エリー(Ellie))
は出会い、会った瞬間に、若い二人は恋に落ちた。
そして、「ジプシーが丘」こそ、自分達の生活のスタート地点として相応しいと考えたのである。
結婚したマイクとエリーの2人は、マイクがドライバーとして働いていた頃に知り合った芸術家気質の著名な建築家で、余命いくばくもないルドルフ・サントニックス(Rudolf Santonix)に依頼して、キングストンビショップ村にある海を臨むことができる美しい眺望の景勝地「ジプシーが丘」に自分達の夢の邸宅を建ててもらう。
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| ナショナルポートレイトギャラリー (National Portrait Gallery)で販売されている ウィリアム・シェイクスピアの肖像画の葉書 (Associated with John Taylor / 1610年頃 / Oil on panel 552 mm x 438 mm) |
物語の後半、マイクとエリーの元を訪れたマイクの母親が帰った直後、マイクの母親の性格に関連して、マイクとエリーの2人の間で、イングランドの劇作家 / 詩人であるウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare:1564年ー1616年 → 2023年5月19日付ブログで紹介済)にかかる会話が交わされる。
‘That’s like a Shakespeare play I once saw. They did it at a school I was at.’ I quoted self-consciously, ‘“She has deceiv’d her father and may thee.”’
‘What did you play - Othello?’
‘No,’ I said, ‘I played the girl’s father. That’s why I remember that speech, I suppose. It’s practically the only thing I had to say.’
‘“She has deceiv’d her father and may thee,”’ said Ellie thoughtfully. ‘I didn’t even deceive my father as far as I know. Perhaps I would have later.’
<マイク>「僕が前に観たシェイクスピアの劇に似ている。僕が在籍していた学校では、シェイクスピアの劇を上演したんだ。」僕は、シェイクスピアの劇のある台詞を口にした。「彼女(デズデモーナ)は、父親(ブラバンショー)を騙したのだから、お前(オセロー)も騙しかねない。」
<エリー>「マイク、あなたは、オセローを演じたの?」
<マイク>「いいや」と、僕は答えた。「僕は、デズデモーナの父親ブラバンショーの役だった。だから、このセリフをを覚えているんだと思う。正直に言うと、僕が覚えているのは、この台詞だけなんだ。」
<エリー>「彼女は、父親を騙したのだから、お前も騙しかねない。」と、エリーは考え込むように言った。「私は、今までに父を騙したことは、一度もないわ。多分、これからは、あるかもしれないけれど。」
「彼女は、父親を騙したのだから、お前も騙しかねない。」は、ウィリアム・シェイクスピアによる戯曲「オセロー(Othello)」(1603年ー1604年)の有名な台詞で、デズデモーナの父親であるブラバンショーが、自分の娘であるデズデモーナと勝手に結婚したオセローに対して発したものである。
全5幕で構成される「ウィリアム・シェイクスピア作の「オセロー」の副題は、「ヴェニスのムーア人(The Moor of Venice)」で、四大悲劇の一つとなっている。
誇り高いムーア人(イスラム教徒)で、ヴェニスの軍隊の指揮官であるオセロー(Othello)は、デズデモーナ(Desdemona)と愛し合い、彼女の父親で、ヴェニス議会の議員でもあるブラバンショー(Brabantio)の反対を押し切って、彼女と結婚する。
オセローのことを嫌っている旗手のイアーゴー(Iago)は、オセローに気に入られた結果、自分よりも先に武官へと昇進したキャシオー(Cassio)がデズデモーナと不義密通をしていると、オセローに対して、讒言した。イアーゴーは、自分の讒言に真実味を加えるために、オセローがデズデモーナに贈ったハンカチを盗み出して、キャシオーの部屋に置き去ったのである。
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| ジズソーパズル「シェイクスピアの世界(The World of Shakespeare)」において、 居酒屋の前に居るイアーゴーは、オセローに対して、 「(オセローの)武官であるキャシオーが、(オセローの妻である)デズデモーナと不義密通している。」と、 嘘の情報を讒言している。 画面左側から、イアーゴー、オセロー、キャシオー、そして、デズデモーナ。 <筆者撮影> |
イアーゴーの奸計に引っ掛かったオセローは、妻デズデモーナの貞操を疑い、嫉妬に怒り狂うと、イアーゴーに対して、キャシオーを殺すように命じる一方、デズデモーナの命を自らの手で絶ってしまう。
すると、イアーゴーの妻で、デズデモーナの召使いであるエミリア(Emilia)は、「デズデモーナのハンカチを盗んだのは、夫のイアーゴーである」ことを告白したため、怒ったイアーゴーは、妻のエミリアを刺し殺して、逃走を図った。
後に、イアーゴーは捕えられるが、真実を知って、自らの行いを深く後悔したオセローは、デズデモーナに口付けをしながら、自殺をするのであった。
ウィリアム・シェイクスピア作「オセロー」の元ネタは、ツィンツィオの「百物語(Gli Hecatommithi)」第3篇第7話にあり、
(1)
「百物語」:デズデモーナのみ、固有名が与えられているが、オセローに該る人物は「ムーア人」、また、イアーゴーに該る人物は「旗手」と呼ばれている。
「オセロー」:各人、デズデモーナ、オセロー、そして、イアーゴーと言う固有名が与えられている。
(2)
「百物語」:デズデモーナは、オセローによって、事故死に見せかけて殺される。
「オセロー」:デズデモーナは、オセロー自らの手で殺される。
(3)
「百物語」:デズデモーナを殺したことで錯乱したオセローは、イアーゴーを解職するが、後にこの罪を問われて追放されると、デズデモーナの親戚によって殺害される。
「オセロー」:真実を知って、自らの行いを深く後悔したオセローは、デズデモーナに口付けをしながら、自殺をする。
(4)
「百物語」:オセローを奸計に陥入れさせたイアーゴーは、拷問の末に死亡。
「オセロー」:イアーゴーは、真実を告白した妻のエミリアを刺し殺すと、逃亡するものの、後に捕らえられる。
等の違いはあるものの、基本的な筋は同じと言える。
ウィリアム・シェイクスピア作「オセロー」が上演された最も古い記録は、1604年11月1日にロンドンのホワイトホール宮殿(Palace of Whitehall)で行われたものである。
ホワイトホール宮殿は、英国王室の居住地として使用されていたが、1698年の火災で大半が焼失した結果、今でも現存しているのは、バンケティングハウス(Banqueting House → 2015年10月3日付ブログで紹介済)のみ。
| バンケティングハウス内(上階)で 晩餐会等が開催される場所の天井から吊り下げられているシャンデリア <筆者撮影> |
バンケティングハウスは、晩餐会や舞踏会等の目的で使用されているが、通常は、一般の見学者に開放されている。
バンケティングハウスは、イタリア遊学中にイタリア・ルネッサンス建築の影響を大きく受けた英国の建築家イニゴー・ジョーンズ(Inigo Jones:1573年ー1662年)が設計し、1622年に建築された。
| ピーテル・パウス・ルーベンスによって描かれた天井画 <筆者撮影> |
また、晩餐会や舞踏会等が開催される部屋の天井画は、フランドルの画家で外交官でもあったピーテル・パウス・ルーベンス(Peter Paul Rubens:1577年ー1640年)によって描かれている。




































