2025年11月4日火曜日

「そして誰もいなくなった」の世界 <ジグソーパズル>(The World of ‘And Then There Were None’ )- その12

ジグソーパズルの上段のやや左側に、
執事で、夫のトマス・ロジャーズに何かを言い含められている妻のエセル・ロジャーズが、
赤枠で囲まれている。
<筆者撮影>


英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に発行されている「「そして誰もいなくなった」の世界(The World of ‘And Then There Were None’)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」(1939年)の登場人物や同作品に関連した47個にわたる手掛かりについて、引き続き、紹介したい。


英国の Orion Publishing Group Ltd. から2025年に出ている
ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」(1000ピース)


(10)(19)エセル・ロジャーズ(Ethel Rogers)


エリック・ノーマン・オーウェン氏(Mr. Ulick Norman Owen)とユナ・ナンシー・オーウェン夫人(Mrs. Una Nancy Owen)に招待されて、兵隊島(Solidier Island → 2025年10月19日付ブログで紹介済)へのボート発着所であるデヴォン州(Devon)スティクルヘイヴン村(兵隊島へのボート発着所)に着いた


*高名な元判事のローレンス・ジョン・ウォーグレイヴ(Lawrence John Wargrave → 2025年10月20日付ブログで紹介済)

*体育教師(games mistress)のヴェラ・エリザベス・クレイソーン(Vera Elizabeth Claythorne → 2025年10月21日付ブログで紹介済)

*元陸軍中尉(Lieutenant)のフィリップ・ロンバード(Philip Lombard → 2025年10月28日付ブログで紹介済)

*信仰心の厚い老婦人のエミリー・キャロライン・ブレント(Emily Caroline Brent → 2025年10月29日付ブログで紹介済)

*退役した老将軍(General)のジョン・ゴードン・マッカーサー(John Gordon Macarthur → 2025年10月30日付ブログで紹介済)

*遊び好きで、生意気な青年のアンソニー・ジェイムズ・マーストン(Anthony James Marston → 2025年11月1日付ブログで紹介済)

*元警部(Detective Inspector)のウィリアム・ヘンリー・ブロア(William Henry Blore → 2025年11月2日付ブログで紹介済)


の7人は、フレッド・ナラコット(Fred Narracott - 漁師)のボートに乗り、沖合いの兵隊島に上陸する。その7人を執事のトマス・ロジャーズ(Thomas Rogers → 2025年11月3日付ブログで紹介済)が出迎えた。


なお、医師のエドワード・ジョージ・アームストロング(Edward George Armstrong → 2025年10月31日付ブログで紹介済)は、7人に遅れて、後から兵隊島に到着。


兵隊島は、
ジグソーパズル「「そして誰もいなくなった」の世界」の左下の角に置かれている。
<筆者撮影>


ヴェラは、執事の妻ミセス・ロジャーズの後ろから階段をのぼった。ミセス・ロジャーズは、廊下の突き当たりのドアを開けた。中に入ると、海を見渡す大窓と東側にも窓のある、いかにも気持ちよさそうなすてきな部屋だった。ヴェラは、思わず歓声をあげた。

ミセス・ロジャーズが声をかけた。

「ほかになにか、ご希望のものはございませんか」

ヴェラは部屋を見まわした。スーツケースがすでに運ばれて、荷解きもしてある。片側のドアが空いていて、水色のタイルばりの浴室が見えた。

ヴェラはすぐさま答えた。

「いいえ、すべてそろっているようだわ」

「なにかご用がございましたら、ベルを鳴らしてくださいますように」

ミセス・ロジャーズは一本調子なしゃべり方をした。ヴェラはどういう人なんだろうと、執事の妻を見た。血の気のない青白い顔をしていて、まるで幽霊みたいだ! 髪の毛を後ろできっちりまとめて、黒いワンピースをきちんと着ている。薄い色の目をなぜか、しじゅうキョロキョロと動かしていた。

”この人、なんだか自分の影におびえているみたい”と、ヴェラは思った。

そう、そうなんだわ - おびえているんだ!

執事の妻は、恐ろしさでいきた心地もしないように見えた …。

ヴェラの背筋を、冷たいものがスーッと走った。この人、いったい何をこわがっているのだろう。

(青木 久惠訳)


ジグソーパズルの上段のやや左側に、執事で、夫のトマス・ロジャーズに何かを言い含められている妻のエセル・ロジャーズが、赤枠で囲まれている。また、兵隊島に建つ邸宅の玄関の左側にある食堂において、テーブルに着席した招待客の8人に食事を運ぶ料理人のエセル・ロジャーズの姿が見られる。


兵隊島に建つ邸宅の玄関の左側にある食堂において、
テーブルに着席した招待客の8人に食事を運ぶ料理人のエセル・ロジャーズの姿が見られる。
<筆者撮影>


1930年代後半の8月のこと、英国デヴォン州の沖合いに浮かぶ兵隊島に、ヴェラ・エリザベス・クレイソーンを含め、年齢も職業も異なる8人の男女が招かれる。彼らを島で迎えた執事と料理人の夫婦は、エリック・ノーマン・オーウェン氏(Mr. Ulick Norman Owen)とユナ・ナンシー・オーウェン夫人に自分達は雇われていると招待客に告げる。しかし、彼らの招待主で、この島の所有者であるオーウェン夫妻は、いつまで待っても、姿を現さないままだった。


招待客が自分達の招待主や招待状の話をし始めると、皆の説明が全く噛み合なかった。その結果、招待状が虚偽のものであることが、彼らには判ってきた。招待客の不安がつのる中、晩餐会が始まるが、その最中、招待客8人と使用人夫婦が過去に犯した罪を告発する謎の声が室内に響き渡る。

トマス・ロジャーズと妻のエセル・ロジャーズの二人は、1929年5月6日の嵐の夜、仕えていた老女であるジェニファー・ブレイディー(Jennifer Brady)が発作を起こした際、処方薬を適切に投与せず、医者を呼びに行っている間に、発作を悪化させて、死に至らせたと告発された。


招待客が兵隊島に到着した日の晩餐会において、
謎の声(オーウェン氏)による告発により、招待客8人と使用人夫婦が戦慄する場面 -

HarperCollins Publishers 社から出ている

アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」の
グラフィックノベル版(→ 2020年9月13日付ブログで紹介済)から抜粋。


そして、物語が進み、童謡「10人の子供の兵隊(Ten Little Soldiers → 2025年6月26日付ブログで紹介済)」に準えて、エセル・ロジャーズは、2番目の被害者となる。


Nine little soldier boys sat up very late; One overslept himself and then there were Eight.

(9人の子供の兵隊さんが、夜更かしをした。一人が寝坊をして、残りは8人になった。)


謎のオーウェン氏から罪状の告発を受けて、気を失ったエセル・ロジャーズは、
夫のトマス・ロジャーズと医師のエドワード・ジョージ・アームストロング
(Edward George Armstrong)の二人に支えられて、使用人部屋へと運ばれ、
医師の手当てを受けたが、
睡眠薬クロラールの過剰摂取による中毒のため、翌日、目を覚まさなかった。-
HarperCollins Publishers 社から出ている
アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。


*被害者:エセル・ロジャーズ

*告発された罪状:トマス・ロジャーズと妻のエセル・ロジャーズの二人は、1929年5月6日の嵐の夜、仕えていた老女であるジェニファー・ブレイディーが発作を起こした際、処方薬を適切に投与せず、医者を呼びに行っている間に、発作を悪化させて、死に至らせたと告発された。

*犯罪発生時期:1929年5月6日

*死因:睡眠薬クロラールの過剰摂取による中毒死


妻のエセル・ロジャーズが亡くなった後、一人で朝食の準備を行ったトマス・ロジャーズは、
朝食を終えて、ゲスト達が席を立った後、食堂の後片付けをしていた際、
テーブルの上に置かれた兵隊の人形の数が9個から8個へと減っていることに気付き、
医師のエドワード・ジョージ・アームストロングに報告する-
HarperCollins Publishers 社から出ている
アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋。


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