2025年11月11日火曜日

エルキュール・ポワロの世界 <ジグソーパズル>(The World of Hercule Poirot )- その13A

英国の Harper Collins Publishers 社から以前に出版されていた
アガサ・クリスティー作「アクロイド殺し」の
ペーパーバック版の表紙


英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に発行されている「エルキュール・ポワロの世界(The World of Hercule Poirot)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているエルキュール・ポワロシリーズの登場人物や各作品に関連した112個の手掛かりについて、引き続き、紹介したい。

前回に引き続き、各作品に出てくる登場人物、建物や手掛かり等が、その対象となる。


ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の完成形
<筆者撮影>


(19)カボチャ(vegetable marrow)



ジグソーパズルの中央のやや左側にある暖炉内の薪の上に、かぼちゃが置かれている。


(20)チュニジアの短剣(Tunisian dagger)



ジグソーパズルの下段中央の右手にあるテーブルの上段の中央に、チュニジアの短剣が置かれている。


(21)蓄音機(Dictaphone)



ジグソーパズルの下段中央の右手にあるテーブルの下段の中央に、蓄音機が置かれている。


(22)羽軸が付いた羽根と金の結婚指輪(feather and wedding ring)



ジグソーパズルの右下に設置されているガラスケース内の後列中央に、羽軸が付いた羽根と金の結婚指輪が置かれている。


これらから連想されるのは、アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1926年に発表した「アクロイド殺し(The Murder of Roger Ackroyd → 2023年9月25日 / 10月2日付ブログで紹介済)」である。


2022年に英国の HarperCollins Publishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「アクロイド殺し」の
愛蔵版(ハードカバー版)の表紙
(Cover design by Holly Macdonald /
Illustrations by Shutterstock.com) 


「アクロイド殺し」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第6作目に、そして、エルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)シリーズの長編としては、第3作目に該っている。

本作品の場合、元々、1925年7月16日から同年9月16日にかけて、「ロンドン イーヴニング ニュース(London Evening News)」紙上、「Who Killed Ackroyd?」というタイトルで、54話の連載小説として掲載され、その後、1冊の書籍として刊行された。


本作品の発表前の段階で、アガサ・クリスティーは、


(1)長編「スタイルズ荘の怪事件(The Mysterious Affair at Styles → 2023年12月3日 / 12月6日付ブログで紹介済)」(1920年):エルキュール・ポワロシリーズ第1作目


英国の Harper Collins Publishers 社から以前に出版されていた
アガサ・クリスティー作「スタイルズ荘の怪事件」の
ペーパーバック版の表紙


(2)長編「秘密機関(The Secret Adversary → 2025年7月17日 / 7月20日 / 10月1日付ブログで紹介済)」:トマス・ベレズフォード(Thomas Beresford - 愛称:トミー(Tommy))/ プルーデンス・カウリー(Prudence Cowley - 愛称:タペンス(Tuppence)シリーズ第1作目


2015年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「秘密機関」の
ペーパーバック版の表紙
(Cover design : 
HarperCollinsPublishers Ltd. /
Agatha Christie Ltd. 2015
)


(3)長編「ゴルフ場殺人事件(The Murder on the Links → 2022年11月14日付ブログで紹介済)」(1923年):エルキュール・ポワロシリーズ第2作目


英国の Harper Collins Publishers 社から以前に出版されていた
アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」の
ペーパーバック版の表紙


(4)長編「茶色の服の男(The Man in the Brown Suit)」(1924年)


(5)短編集「ポワロ登場(Poirot Investigates)」(1924年)


英国の Harper Collins Publishers 社から以前に出版されていた
アガサ・クリスティー作「ポワロ登場」の
ペーパーバック版の表紙


(6)長編「チムニーズ館の秘密(The Secret of Chimneys)」(1925年)


長編5作と短編集1作を既に発表していたが、推理作家としての彼女の知名度は、今ひとつだった。しかしながら、彼女の長編第6作目に該る「アクロイド殺し」のフェア・アンフェア論争により、アガサ・クリスティーの知名度は大きく高まり、ベストセラー作家の仲間入りを果たした。


一方で、同年、アガサ・クリスティーは、最愛の母親を亡くしたことに加えて、夫であるアーチボルド・クリスティー(Archibald Christie:1889年ー1962年)に、別に恋人が居ることが判明して、精神的に不安定な状態にあった。

当時、ロンドン近郊の田園都市であるサニングデール(Sunningdale)に住んでいたアガサ・クリスティーは、同年(1926年)12月3日、住み込みのメイドに対して、行き先を告げず、「外出する。」と伝えると、当時珍しかった自動車を自分で運転して、自宅を出たまま、行方不明となってしまう。

「アクロイド殺し」がベストセラー化したことにより、有名人となった彼女の失踪事件は、世間の興味を非常に掻き立てた。警察は、彼女の行方を探すとともに、彼女が事件に巻き込まれた可能性も視野に入れて、捜査を進め、夫のアーチボルドも疑われることになった。マスコミは格好のネタに飛び付き、シャーロック・ホームズシリーズの作者であるサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-193年)やピーター・デス・ブリードン・ウィムジイ卿(Lord Peter Death Bredon Wimsey)シリーズの作者であるドロシー・L・セイヤーズ(Dorothy Leigh Sayers:1893年ー1957年)等が、マスコミから求められて、コメントを出している。

11日後、彼女は、保養地(Harrogate)のホテル(The Swan Hydropathic Hotel)に別人(夫アーチボルドの愛人であるナンシー・ニール(Nancy Neele)と同じ姓のテレサ・ニール(Teresa Neele))の名義で宿泊していたことが判り、保護された。


上記の通り、1926年に、アガサ・クリスティーは、キャリア面において、ベストセラー作家の仲間入りを果たすとともに、プライベート面においても、失踪事件を起こして、世間からの脚光を浴びてしまうことになったのである。


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