第32話「雲をつかむ死」が収録された エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 3 の表紙 |
アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「雲をつかむ死(Death in the Clouds)」(1935年)の TV ドラマ版が、英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第32話(第4シリーズ)として、1992年1月12日に放映されている。英国の俳優であるサー・デイヴィッド・スーシェ(Sir David Suchet:1946年ー)が、名探偵エルキュール・ポワロを演じている。ちなみに、日本における最初の放映日は、1992年10月4日である。
アガサ・クリスティーの原作では、名探偵エルキュール・ポワロは、パリ(Le Bourget Airfield)からロンドン(Croydon Airport)へと戻る飛行機の機上の人となっており、ポワロが搭乗する飛行機の後部区画には、彼以外に、10名の搭乗客が居た。
(1)ダニエル・クランシー(Daniel Clancy - 推理作家)
(2)アルマン・デュポン(Armand Dupont - 考古学者)
(3)ジャン・デュポン(Jean Dupont - 考古学者アルマン・デュポンの息子)
(4)ノーマン・ゲイル(Norman Gale - 歯科医)
(5)ブライアント医師(Dr. Bryant - 耳鼻咽喉科医)
(6)マダム・ジゼル(Madame Giselle - フランス人の金貸し / 本名:マリー・モリソー(Marie Morisot))
(7)ジェイムズ・ライダー(James Ryder - セメント会社の支配人)
(8)シシリー・ホーバリー(Cicely Horbury - 伯爵夫人)
(9)ヴェニーシャ・カー(Venetia Kerr - 貴族の令嬢)
(10)ジェーン・グレイ(Jane Grey - 美容院の助手)
一方、英国 TV ドラマ版では、ポワロ以外の搭乗客は、以下のように整理されている。
(1)ダニエル・クランシー(推理作家)
(2)ジャン・デュポン(考古学者)
(3)ノーマン・ゲイル(歯科医)
(4)マダム・ジゼル(フランス人の金貸し / 本名:マリー・モリソー)
(5)シシリー・ホーバリー(伯爵夫人)
(6)ヴェニーシャ・カー(貴族の令嬢)
上記の通り、ポワロ以外の搭乗客は、アガサ・クリスティーの原作の10名から6名へと減らされている。原作対比、英国 TV ドラマ版から減らされた登場人物は、「アルマン・デュポン」、「ブライアント医師」、「ジェイムズ・ライダー」と「ジェーン・グレイ」の4名である。
英国 TV ドラマ版の場合、アルマン・デュポンの息子であるジャン・デュポンが考古学者で、彼の父親は、1年前に亡くなったという設定になっている。ブライアント医師とジェイムズ・ライダーの2人は、物語において、大きな出番はないため、時間の関係上、割愛されたものと思われる。なお、ジェーン・グレイについては、乗客(美容院の助手)からは外されているが、原作のアルバート・ディヴィス(Albert Davis - セカンドステュワード)の代わりに、ステュワーデスとして登場する。
英国 TV ドラマ版における主な登場人物(エルキュール・ポワロを除く)と出演者は、以下の通り。なお、順番は、エンディングの出演者順。
(1)ジャップ主任警部(Chief Inspector Japp - 英国警察の主任警部):Philip Jackson
(2)ジェーン・グレイ(Jane Grey - Empire Airways のステュワーデス):Sarah Woodward
(3)ノーマン・ゲイル(Norman Gale - 歯科医):Shaun Scott
(4)シシリー・ホーバリー(Cicely Horbury - 伯爵夫人):Cathryn Harrison
(5)スティーヴン・ホーバリー(Stephen Horbury - 伯爵):David Firth
(6)ヴェニーシャ・カー(Venetia Kerr - 貴族の令嬢):Amanda Royle
(7)フルニエ警部(Inspector Fournier - フランス警察の警部):Richard Ireson
(8)アン・モリソー(Anne Morisot - マダム・ジゼルの娘):Jenny Downham
(9)マダム・ジゼル(Madame Giselle - フランス人の金貸し / 本名:マリー・モリソー(Marie Morisot)):Eve Pearce
(10)ダニエル・クランシー(Daniel Clancy - 推理作家):Roger Heathcott
(11)ジャン・デュポン(Jean Dupont - 考古学者):Guy Manning
(12)エリーゼ(Elise - マダム・ジゼルのメイド):Gabrielle Lloyd
(13)ヘンリー・ミシェル(Henry Mitchell - Empire Airways のステュワード):John Bleasdale
(14)レイモンド・バラクロー(Raymond Barraclough - 俳優で、ホーバリー伯爵夫人の恋人):Harry Audley
英国 TV ドラマ版の場合、ホーバリー伯爵夫人の夫であるホーバリー伯爵と彼女の不倫相手である俳優のレイモンド・バラクローを登場させることで、アガサ・クリスティーの原作対比、賭博と不倫相手の俳優にのめり込み、借金を重ねた結果、マダム・ジゼルから厳しい取り立てを受け、追い込まれたホーバリー伯爵夫人が、マダム・ジゼルを殺害した第1容疑者として、英国とフランスの両警察からマークされる場面が増やされており、ポワロが事件の謎解きを行う場面にも立ち会っている。なお、アガサ・クリスティーの原作の場合、ホーバリー伯爵夫人は、ポワロが事件の謎解きを行う場面に登場しない。
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