2023年4月27日木曜日

フランケンシュタインの世界<ジグソーパズル>(The World of Frankenstein )- その14

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より2022年に出ているジグソーパズル「フランケンシュタインの世界(The World of Frankenstein)」のイラスト内には、英国の小説家メアリー・ウルストンクラフト・ゴドウィン・シェリー(Mary Wollstonecraft Godwin Shelley:1797年ー1851年)1818年1月に発表したゴシック小説「フランケンシュタイン、或いは、現代のプロメテウス(Frankenstein; or, the Modern Prometheus. → 2021年3月24日付ブログで紹介済)」の物語に関して、各場面が散りばめられているので、前回と同様に、順番に紹介していきたい。


<ロバート・ウォルトンの話(Robert Walton’s Narrative)>


今回が、「フランケンシュタインの世界(The World of Frankenstein)」の最終回となる。


(27)


北極探検隊の隊長を務めるロバート・ウォルトンに対して、
全てを語り終えたヴィクター・フランケンシュタインは、
そこで力尽きて、息を引き取る。
そこに姿を現した怪物は、自分の創造主の死を嘆くのであった。

英国人のロバート・ウォルトン(Robert Walton)が北極探検隊の隊長を務める北極探検船は、北極点へと向かう途中にあったが、分厚い氷によって、その進路を閉ざされ、立往生していた。

その際、ロバート・ウォルトン達は、北極海において、倒れていたヴィクター・フランケンシュタイン(Victore Frankenstein)を発見して、救助したが、彼の衰弱は非常に激しかった。それでも、ヴィクター・フランケンシュタインは、ロバート・ウォルトンに対して、驚くべき内容の話を語り始めた。


幸いにして、北極海の分厚い氷が割れて、北極探検船は、前進(北上)ではなく、後退(南進)することは、可能となった。ロバート・ウォルトンは、乗組員達の安全を考慮して、北極点到達を諦めて、帰路に就く決断を下す。

「怪物」への復讐の念に燃えるヴィクター・フランケンシュタインは、ロバート・ウォルトンに対して、前進(北上)を頼み込んだが、残念ながら、それは、無理な相談だった。体力的に、非常に衰弱しているヴィクター・フランケンシュタインの身体のことを考えると、尚更である。

人間離れした体格の男が犬橇に乗って、北極海方面を移動している情報を得ていたヴィクター・フランケンシュタインとしては、なんとしてでも、怪物を探し出して、弟ウィリアム(Willaim)、ウィリアムのナニーであるジュスティーヌ・モリッツ(Justine Moritz)や親友ヘンリー・クラーヴァル(Henry Clerval)、そして、なによりも、最愛の妻エリザベス(Elizabeth)の復讐を遂げる必要があったのである。

ロバート・ウォルトンが前進(北上)を断ると、ヴィクター・フランケンシュタインは、北極探検船から下船して、一人で前進(北上)を続けようとした。


しかし、ロバート・ウォルトンに対して、全てを語り終えたヴィクター・フランケンシュタインは、そこで力尽きたのか、船上でそのまま息を引き取った。

すると、そこに怪物が現れて、自分を創り出したヴィクター・フランケンシュタインの死を嘆いた。そして、ロバート・ウォルトンに対して、自分の心情を語り、「北極点で自ら焼死する。」と告げると、怪物は、北極海へとその姿を消した。


2014年に米国の出版社 Dover Publications, Inc. から発刊された
「フランケンシュタイン」のグラフィックノベル版から抜粋 -
自分を創り出したヴィクター・フランケンシュタインに対する
復讐を遂げることができなかった怪物は、
北極探検隊の隊長を務めるロバート・ウォルトンに
自分の無念の思いを語ると、北極海へと消え去った。
怪物が、その後、どうなったのか、それは、誰も知らない。

ロバート・ウォルトンは、北極探検船を後退(南進)させて、北極海の分厚い氷から脱する。

そこは、自分の創造主から、名前も、そして、伴侶も与えられず、迫害された故に、憎悪に駆られたものの、最終的な復讐(=自分を創り出したヴィクター・フランケンシュタインを殺害すること)を遂げられなかった怪物の無念の思いと、弟ウィリアム、ウィリアムのナニーであるジュスティーヌ・モリッツや親友ヘンリー・クラーヴァル、そして、、最愛の妻エリザベスを殺された故に、憎悪に駆られたものの、最終的な復讐(=自分が創り出した怪物を破壊すること)を遂げられなかったヴィクター・フランケンシュタインの無念の思いが、虚しく交差する悲しい場所となった。


「怪物」が、その後、どうなったのか、それは、誰も知らない。


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