2023年4月21日金曜日

拳銃を持ったシャーロック・ホームズ - その8

サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-1930年)が執筆したシャーロック・ホームズシリーズにおいて、拳銃を持ったシャーロック・ホームズの挿絵につき、紹介したい。

また、ホームズに加えて、ジョン・H・ワトスンや他の登場人物が拳銃を持った挿絵も掲載する。


今回は、ホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿(The Case-Book of Sherlock Holmes)」に収録されている挿絵に関して、紹介する。


ホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1892年)、第2短編集「シャーロック・ホームズの回想(The Memoirs of Sherlock Holmes)」(1893年)、第3長編「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」1901年8月ー1902年4月)、そして、第3短編集「シャーロック・ホームズの帰還(The Return of Sherlock Holmes)」(1905年)まで挿絵を担当していた挿絵画家であるシドニー・エドワード・パジェット(Sidney Edward Paget:1860年ー1908年)は、1908年1月28日に亡くなったため、第5短編集「シャーロック・ホームズの事件簿」の挿絵は、他のイラストレーターによる挿絵となっている。


(15)「三人のガリデブ(The Three Garridebs)」


英国で出版された「ストランドマガジン」
1925年1月号に掲載された挿絵 -
シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの二人は、
午後4時に、エッジウェアロード
(Edgware Road → 2016年1月30日付ブログで紹介済)近くの
ネイサン・ガリデブ(Nathan Garrideb)が住む
リトルライダーストリート156番地
(156 Little Ryder Street → 2015年5月2日付ブログで紹介済)
の建物を訪れた。
帰るところだった管理人のサンダース夫人(Mrs. Saunders)に
内へと入れてもらった二人は、
1階の部屋にある戸棚の後ろに、身を潜めた。
午後5時近くになると、
米国から英国へとやって来た弁護士のジョン・ガリデブ(John Garrideb)こと、
殺し屋エヴァンズ(Killer Evans)が玄関から入って来ると、
部屋の中央にあるテーブルを片隅に寄せ、
絨毯をどけて、金てこを使い、
床の跳ね上げ戸(trapdoor)を開けた。
戸棚の後ろから忍び出たホームズとワトスンは、
跳ね上げ戸から頭を覗かせた殺し屋エヴァンズに対して、
二丁の拳銃(pistols)を突き付けた。
画面左側から、ジョン・ガリデブ(殺し屋エヴァンズ)、
ワトスン、そして、ホームズ。
挿絵:ハワード・ケッピー・エルコック
(1886年ー1952年)

三人のガリデブ」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、49番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1925年1月号に、また、米国でも、「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1924年10月25日号に掲載された。

同作品は、1927年に発行されたホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿」に収録されている。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1925年1月号に掲載された挿絵 -
米国から英国へとやって来た弁護士のジョン・ガリデブ(John Garrideb)こと、
殺し屋エヴァンズ(Killer Evans)が胸元から取り出した回転式連発拳銃(revolver)で
腿を撃たれたジョン・H・ワトスンは、床に転倒する。
シャーロック・ホームズは、拳銃(pistol)を撃つ代わりに、
拳銃の台尻を、殺し屋エヴァンズの頭に激しく打ちつけた。
そして、ワトスンの身を心配したホームズが、
有名なセリフを発する。
「怪我なんかないよな、ワトスン?後生だから、怪我なんかないと言ってくれ!
(You're not hurt, Watson? For God's sake, say that you are not hurt?)」
画面左側から、ジョン・ガリデブ(殺し屋エヴァンズ)、
ホームズ、そして、ワトスン。
挿絵:ハワード・ケッピー・エルコック
(1886年ー1952年)

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