2023年4月30日日曜日

綾辻行人作「水車館の殺人」<小説版>(The Mill House Murders by Yukito Ayatsuji ) - その1

英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から
2023年に刊行されている
Pushkin Vertigo シリーズの一つである
綾辻行人作「水車館の殺人」の英訳版の表紙
(Cover design by Jo Walker /
Cover image by Marcelo Eduardo)

「水車館の殺人(The Mill House Murders)」は、日本の小説家 / 推理作家である綾辻行人(Yukito Ayatsuji:1960年ー)が発表した長編推理小説で、作家デビュー作の「十角館の殺人(The Decagon House Murders → 2023年2月21日 / 2月25日 / 3月9日 / 3月18日付ブログで紹介済)」に続く「館シリーズ」の第2作目に該る。


「水車館の殺人」は、1988年2月5日、講談社の講談社ノベルスとして出版された後、1992年3月15日に文庫化(講談社文庫)され、そして、2008年4月15日に、文庫の新装改訂版が出ている。


英国では、プーシキン出版(Pushkin Press)から、2023年3月末に英訳版が出版されている。

なお、プーシキン出版からは、本作品以外に、日本の推理作家である横溝正史(1902年ー1981年)による金田一耕助シリーズ作品や日本の推理小説家 / 小説家である島田荘司氏(1948年ー)による御手洗潔シリーズ作品等の英訳版も出ている。


中国地方の岡山県北部の人里離れた山奥に建つ古城を思わせる異形の屋敷「水車館(Mill House)」。

それは、「幻視者(prodigious visionary painter)」と呼ばれた画家の藤沼一成(Issei Fujinuma:故人)の依頼に基づき、建築家の中村青司(Seiji Nakamura)が設計した屋敷である。


1985年9月20日の早朝、九州S半島J岬の沖合いに浮かぶ角島(Tsunojima)において、中村青司が住む「青屋敷(Blue Mansion - 中村青司自身が設計)」が全焼するという事件が発生。「青屋敷」の焼け跡から、中村青司、彼の妻である中村和枝(Kazue Nakamura)、そして、住み込みの使用人である北村夫妻と思われる計4名の遺体が発見されたため、凄惨な四重殺人事件と言われた。

その半年後、角島を訪れた大分県O市K大学の推理小説研究会(Mystery Club)の一行が、火災から免れた十角形という奇妙なデザインの「十角館(Decagon House)」において、全員が殺害されるという事件も発生するのであった。


藤沼一成息子である藤沼紀一(Kiichi Fujinuma)は、父親とは違って、絵の才能が全くないことを覚り、大学で経済学を専攻すると、卒業後は、藤沼家の莫大な財産を使い、不動産業を始め、大成功を収めていた。


悲劇は、12年前の1973年のクリスマスイヴ(12月24日)の夜に起きた。

神戸にある藤沼家の屋敷に行われたパーティーの後、藤沼紀一は、大学の後輩で、友人でもある正木慎吾(Shingo Masaki)と正木の婚約者の二人を、車で送って行った際、凍った路面にハンドルをとられて、大事故を起こしてしまう。

車を運転していた藤沼紀一は、その事故で顔と手足に大怪我を負ってしまい、車椅子生活を余儀なくされた。また、顔に負った酷い傷を隠すために、白いゴムの仮面をつける羽目となった。

一方、正木慎吾は、奇跡的に、身体的には無傷だったが、不幸なことに、彼の婚約者は即死だった。

当時、正木慎吾は、藤沼紀一の父親である藤沼一成に師事し、将来を期待された画家であったが、この事故がもとで、筆を擱くと、行方不明となってしまう。


父親の藤沼一成の弟子である柴垣浩一郎(Koichiro Shibagaki)が病気で亡くなった際、藤沼紀一は、幼少だった娘の柴垣由里絵(Yurie Shibagaki)を引き取り、自分が営んでいた不動産業を全て処分すると、由里絵を伴い、水車館へと隠棲した。また、父親の藤沼一成が残した莫大な遺産を使い、藤沼紀一は、父親の絵画をほとんど買い戻して、水車館内に飾った。

美術マニアにとって、藤沼一成の絵画は垂涎の的であり、誰もが鑑賞したがったが、美術マニアの期待に反して、藤沼紀一は、父親の絵画を非公開としてしまい、水車館を訪れて、藤沼一成が残した絵画を鑑賞できる人は、非常に限定的だった。


その後、長じた柴垣由里絵は、藤沼紀一と結婚して、藤沼由里絵(Yurie Fujinuma)となった。


そして、12年の時が経過した1985年9月28日。

藤沼紀一の妻となった由里絵は、19歳となっていた(翌年の春には、20歳を迎える予定)。

今日は、年1回、藤沼紀一が、非常に限定した人達に対して、父親の藤沼一成が残した絵画を公開する日だった。


その日、水車館において、最初の惨劇が幕を開ける。 


2023年4月29日土曜日

アガサ・クリスティー作「ナイルに死す」<英国 TV ドラマ版>(Death ion the Nile by Agatha Christie )- その1

第52話「ナイルに死す」が収録された
エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 5 の表紙


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「ナイルに死す(Death on the Nile)」(1937年)の TV ドラマ版が、英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第52話(第9シリーズ)として、2004年4月12日に放映されている。英国の俳優であるサー・デイヴィッド・スーシェ(Sir David Suchet:1946年ー)が、名探偵エルキュール・ポワロを演じている。ちなみに、日本における最初の放映日は、2005年8月23日である。


英国 TV ドラマ版における主な登場人物(エルキュール・ポワロを除く)と出演者は、以下の通り。なお、順番は、エンディングの出演者順。


(1)レイス大佐(Colonel Race - 英国特務機関員で、ポワロの友人):James Fox

(2)ジャックリーン・ド・ベルフォール(Jacqueline De Bellefort - リネット・リッジウェイの友人で、サイモン・ドイルの元婚約者):Emma Malin

(3)サイモン・ドイル(Simon Doyle - ジャックリーン・ド・ベルフォールの元婚約者で、リネット・リッジウェイの夫):JJ Feild

(4)リネット・リッジウェイ(Linnet Ridgeway - ジャックリーン・ド・ベルフォールの友人で、サイモン・ドイルの妻):Emily Blunt

(5)マリー・ヴァン・スカイラー(Marie Van Schuyler - 大富豪の貴婦人):Judy Parfitt

(6)コーネリア・ロブスン(Cornelia Robson - マリー・ヴァン・スカイラーの従姉妹):Daisy Donovan

(7)ミセス・アラートン(Mrs. Allerton - リネット・リッジウェイの友人であるジョアナ・サウスウッドの従姉):Barbara Flynn

(8)ティム・アラートン(Tim Allerton - ミセス・アラートンの息子):Daniel Lapaine

(9)アンドリュー・ペニントン(Andrew Pennington - リネット・リッジウェイの財産管理人):David Soul

(10)サロメ・オッターボーン(Salome Otterbourne - ロマンス小説の作家):Frances De La  Tour

(11)ロザリー・オッターボーン(Rosalie Otterbourne - サロメ・オッターボーンの娘):Zoe Telford

(12)ファーガスン(Ferguson - 社会主義者):Alastair Mackenzie

(13)カール・ベスナー(Carl Bessner - 医者):Steve Pemberton

(14)ナイル河を遡る遊覧船 Karnak のマネージャー(Cruise Manager):George Yiasoumi

(15)ジョアナ・サウスウッド(Joana Southwood - リネット・リッジウェイの友人):Elodie Kendall

(16)ルイーズ・ブールジェ(Louise Bourget - リネット・リッジウェイのメイド):Felicite Du Jeu


アガサ・クリスティーの原作の場合、ナイル河を遡る遊覧船 Karnak の乗船客の数がかなり多いため、英国 TV ドラマ版の場合、時間の関係上、あまり重要ではない登場人物は、整理されている。

具体的には、以下の乗船客は、英国 TV ドラマ版には登場していない。


*バウァーズ(Miss Bowers - マリー・ヴァン・スカイラーの看護婦)

*ジム・ファンソープ(Jim Fanthorp - 弁護士)

*ギド・リケティ(Guido Richetti - 考古学者)


また、アガサ・クリスティーの原作の場合、ジョアナ・サウスウッドについて、社交界の貴婦人で、リネット・リッジウェイの友人で、ミセス・アラートンに関して、ジョアナ・サウスウッドの「従妹」と設定されているようである。

一方、英国 TV ドラマ版の場合、ジョアナ・サウスウッドについて、映像上、リネット・リッジウェイと同年輩のようなので、息子のティムが居るミセス・アラートンに関して、ジョアナ・サウスウッドの「従姉」という表記にさせていただいた。


2023年4月28日金曜日

シェイクスピアの世界<ジグソーパズル>(The World of Shakespeare )- その1

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. から2020年に出ている
「シェイクスピアの世界」と言うジグソーパズル(1000ピース)

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、2020年に、「シェイクスピアの世界(The World of Shakespeare)」と言うジグソーパズルも出ているので、紹介したい。


ナショナルポートレートギャラリー
(National Portrait Gallery)で販売されている
ウィリアム・シェイクスピアの肖像画の葉書
(Associated with John Taylor
 / 1610年頃 / Oil on panel
552 mm x 438 mm)


イングランドの劇作家 / 詩人であるウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare:1564年ー1616年)は、ウォーリック州(Warwickshire)のストラトフォード=アポン=エイヴォン(Stratford-upon-Avon)に出生した後、1585年前後にロンドンへ出て来ると、1592年から新進の劇作家としての活動を開始した。

1613年頃に引退するまでの約20年間に、ウィリアム・シェイクスピアは、四大悲劇と呼ばれている


(1)「ハムレット(Hamlet)」(1600年ー1601年)

(2)「オセロー(Othello)」(1603年ー1604年)

(3)「リア王(King Lear)」(1605年ー1606年)

(4)「マクベス(Macbeth)」(1606年)


日本の白水社から
 白水 U ブックスの1冊として発行されている
ウィリアム・シェイクスピア作「シェイクスピア全集 ハムレット」

訳: 小田島 雄志(東京芸術劇場館長 / 東京大学名誉教授)
ブックデザイン: 田中 一光
カバーイラスト: 池田 満寿夫
(画家 / 版画家 / 挿絵画家 / 彫刻家 / 陶芸家 / 作家 / 映画監督)


を初めとして、


(5)「ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)」(1595年ー1596年)

(6)「夏の夜の夢(A Midsummer Night’s Dream)」(1595年ー1596年)

(7)「ヴェニスの商人(The Merchant of Venice)」(1596年ー1598年)

(8)「ジュリアス・シーザー(Julius Caesar)」(1599年)


等、史劇、悲劇や喜劇の傑作を多く残した。

また、詩作品として、「ソネット集(The Sonnets)」もあり、今日でも、最高の詩篇の一つと見做されている。


日本の文藝春秋から
 文春文庫の1冊として発行されている
ウィリアム・シェイクスピア作「シェイクスピアのソネット」
訳: 小田島 雄志(東京芸術劇場館長 / 東京大学名誉教授)
絵: 山本 容子(銅版画家)


「シェイクスピアの世界」は、イラストレーターの Mr. Adam Simpson が描いたものが、ジグソーパズル(1000ピース - 縦:約70㎝ / 横:約50㎝)となっている。

「シェイクスピアの世界」は、「アガサ・クリスティーの世界(The World of Agatha Christie)」、「シャーロック・ホームズの世界(The World of Sherlock Holmes)」や「フランケンシュタインの世界(The World of Frankenstein)」のジグソーパズルと同様に、横長である。


本ジグソーパズルのイラスト内には、ウィリアム・シェイクスピアや彼が生きた時代の人物、彼の劇が上演されたグローブ座、そして、史劇、悲劇や喜劇に登場するキャラクター等が散りばめられているので、次回以降、順番に紹介していきたい。


2023年4月27日木曜日

フランケンシュタインの世界<ジグソーパズル>(The World of Frankenstein )- その14

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より2022年に出ているジグソーパズル「フランケンシュタインの世界(The World of Frankenstein)」のイラスト内には、英国の小説家メアリー・ウルストンクラフト・ゴドウィン・シェリー(Mary Wollstonecraft Godwin Shelley:1797年ー1851年)1818年1月に発表したゴシック小説「フランケンシュタイン、或いは、現代のプロメテウス(Frankenstein; or, the Modern Prometheus. → 2021年3月24日付ブログで紹介済)」の物語に関して、各場面が散りばめられているので、前回と同様に、順番に紹介していきたい。


<ロバート・ウォルトンの話(Robert Walton’s Narrative)>


今回が、「フランケンシュタインの世界(The World of Frankenstein)」の最終回となる。


(27)


北極探検隊の隊長を務めるロバート・ウォルトンに対して、
全てを語り終えたヴィクター・フランケンシュタインは、
そこで力尽きて、息を引き取る。
そこに姿を現した怪物は、自分の創造主の死を嘆くのであった。

英国人のロバート・ウォルトン(Robert Walton)が北極探検隊の隊長を務める北極探検船は、北極点へと向かう途中にあったが、分厚い氷によって、その進路を閉ざされ、立往生していた。

その際、ロバート・ウォルトン達は、北極海において、倒れていたヴィクター・フランケンシュタイン(Victore Frankenstein)を発見して、救助したが、彼の衰弱は非常に激しかった。それでも、ヴィクター・フランケンシュタインは、ロバート・ウォルトンに対して、驚くべき内容の話を語り始めた。


幸いにして、北極海の分厚い氷が割れて、北極探検船は、前進(北上)ではなく、後退(南進)することは、可能となった。ロバート・ウォルトンは、乗組員達の安全を考慮して、北極点到達を諦めて、帰路に就く決断を下す。

「怪物」への復讐の念に燃えるヴィクター・フランケンシュタインは、ロバート・ウォルトンに対して、前進(北上)を頼み込んだが、残念ながら、それは、無理な相談だった。体力的に、非常に衰弱しているヴィクター・フランケンシュタインの身体のことを考えると、尚更である。

人間離れした体格の男が犬橇に乗って、北極海方面を移動している情報を得ていたヴィクター・フランケンシュタインとしては、なんとしてでも、怪物を探し出して、弟ウィリアム(Willaim)、ウィリアムのナニーであるジュスティーヌ・モリッツ(Justine Moritz)や親友ヘンリー・クラーヴァル(Henry Clerval)、そして、なによりも、最愛の妻エリザベス(Elizabeth)の復讐を遂げる必要があったのである。

ロバート・ウォルトンが前進(北上)を断ると、ヴィクター・フランケンシュタインは、北極探検船から下船して、一人で前進(北上)を続けようとした。


しかし、ロバート・ウォルトンに対して、全てを語り終えたヴィクター・フランケンシュタインは、そこで力尽きたのか、船上でそのまま息を引き取った。

すると、そこに怪物が現れて、自分を創り出したヴィクター・フランケンシュタインの死を嘆いた。そして、ロバート・ウォルトンに対して、自分の心情を語り、「北極点で自ら焼死する。」と告げると、怪物は、北極海へとその姿を消した。


2014年に米国の出版社 Dover Publications, Inc. から発刊された
「フランケンシュタイン」のグラフィックノベル版から抜粋 -
自分を創り出したヴィクター・フランケンシュタインに対する
復讐を遂げることができなかった怪物は、
北極探検隊の隊長を務めるロバート・ウォルトンに
自分の無念の思いを語ると、北極海へと消え去った。
怪物が、その後、どうなったのか、それは、誰も知らない。

ロバート・ウォルトンは、北極探検船を後退(南進)させて、北極海の分厚い氷から脱する。

そこは、自分の創造主から、名前も、そして、伴侶も与えられず、迫害された故に、憎悪に駆られたものの、最終的な復讐(=自分を創り出したヴィクター・フランケンシュタインを殺害すること)を遂げられなかった怪物の無念の思いと、弟ウィリアム、ウィリアムのナニーであるジュスティーヌ・モリッツや親友ヘンリー・クラーヴァル、そして、、最愛の妻エリザベスを殺された故に、憎悪に駆られたものの、最終的な復讐(=自分が創り出した怪物を破壊すること)を遂げられなかったヴィクター・フランケンシュタインの無念の思いが、虚しく交差する悲しい場所となった。


「怪物」が、その後、どうなったのか、それは、誰も知らない。


2023年4月26日水曜日

アガサ・クリスティーの世界<ジグソーパズル>(The World of Agatha Christie )- その20

英国の Orion Publishing Group Ltd. から出ている「アガサ・クリスティーの世界(The World of Agatha Christie)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の生涯や彼女が執筆した作品等に関連した90個の手掛かりについて、前回に続き、紹介していきたい。


今回も、アガサ・クリスティーが執筆した作品に関連する手掛かりの紹介となる。


(63)真珠のネックレス(pearl necklace)


左側の本棚の一番上に、キリンの人形が飾られており、
その足元に、真珠のネックレスが置かれている。

本ジグソーパズル内において、アガサ・クリスティーが腰掛けている椅子の左側にある本棚の一番上に、キリンの人形が飾られており、その右後ろ足のところに、真珠のネックレスが置かれている。


キリンの人形の右後ろ足のところに置かれている真珠のネックレスの拡大画像

これから連想されるのは、アガサ・クリスティーが1937年に発表したエルキュール・ポワロシリーズ作品「ナイルに死す(Death on the Nile → 2020年10月4日付ブログで紹介済)」である。本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第22作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第15作目に該っている。また、本作品は、「メソポタミヤの殺人(Murder in Mesopotamia → 2020年11月8日付ブログで紹介済)」(1936年)に続く中近東を舞台にした長編第2作目で、中近東シリーズの最高峰に該る作品でもある。


英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている
アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ
「ナイルに死す」のペーパーバック版の表紙

弱冠20歳のリネット・リッジウェイ(Linnet Ridgeway)は、英国で最も裕福な女性だった。ある日、学生時代の古い友人であるジャクリーン・ド・ベルフォール(Jacqueline de Bellefort)が彼女に電話を架けてきた。

ジャクリーン(通称:ジャッキー(Jackie))の家族が2年前に破産してしまい、それ以来、彼女は辛い日々を送っていた。それに加えて、今度は、彼女の婚約者であるサイモン・ドイル(Simon Doyle)が失業してしまったのである。

ジャッキーは、リネットに対して、サイモンをリネットが住む屋敷の管理人にしてほしいと頼み込んだ。「私、サイモンと結婚できなければ、死んでしまうわ!(If I don’t marry him, I’ll die!)」と。ジャッキーの懇願に根負けしたリネットは、ジャッキーに対して、「面接をするので、あなたの恋人(サイモン)を私の屋敷に連れて来て。」と答えた。

翌日、ジャッキーは、サイモンを連れて、リネットの屋敷へと向かった。ジャッキーによる紹介を受けて、リネットとサイモンはお互いに見つめ合い、リネットは、その場でサイモンを自分の屋敷の管理人として採用することを決める。


そして、場面は変わり、エルキュール・ポワロは、エジプトで休暇を楽しんでいた。彼が、アスワンで知り合った若い女性のロザリー・オッタボーン(Rosalie Otterbourne)と一緒に、ナイル河沿いを散歩していると、ルクソールから到着した大型汽船から、あるカップルが降りてくる。それは、リネット・リッジウェイとサイモン・ドイルの二人であった。ロザリーによると、二人が最近結婚したことが新聞に出ていた、とのこと。

ポワロは、リネットの目の下のくまと、そして、指の関節が白くなる程に、彼女が日傘を強く握りしめていたことから、彼女が何かに非常に困っているに違いないと感じるのであった。


夕闇が迫るホテルのテラスにおいて、リネットとサイモンが過ごしていると、回転ドアが廻り、ワインカラーのドレスを着た女性がゆっくりとテラスを横切って、リネットの視線の先に座る。それは、サイモンの元婚約者のジャッキーだった。

この出来事にひどく動揺したりネットは、その晩、ポワロに相談を持ちかける。リネットは、ジャッキーが、新婚の彼女とサイモンの二人が行くところ、ずーっとつきまとっているのだ、と言う。彼女によると、新婚旅行先のヴェニスから始まり、ブリンジジ、カイロ、そして、アスワンまで続いているらしい。

その際、リネットは、真珠のネックレスをしている。


HarperCollinsPublishers から出ている
アガサ・クリスティー作「ナイルに死す」のグラフィックノベル版
(→ 2020年10月4日付ブログで紹介済)から抜粋 -
新婚旅行中のリネット・リッジウェイが、
自分と夫のサイモンの二人につきまとうジャクリーン・ド・ベルフォールのことについて、
エルキュール・ポワロに相談している場面において、
彼女の首元には、真珠のネックレスが描かれている。
このグラフィックノベル版は、元々、
フランス人の作家であるフランソワ・リヴィエール(Francois Riviere:1949年ー)が構成を、
そして、フランス人のイラストレーターであるソリドール(Solidor)が作画を担当して、
2003年にフランスの Heupe SARL から「Mort sur le Nil」というタイトルで出版された後、
2007年に英国の HarperCollinsPublishers から英訳版が発行されている。


ジャッキーによるつきまといから逃れるために、リネットとサイモンの二人は、ある計画を立てた。自分達の周囲の人達には、アスワンにこのまま滞在する予定と話しておいて、実際には、二人は、ナイル河の遊覧に参加することにしたのである。ポワロも、リネットとサイモンの二人が乗る汽船で、ナイル河を遊覧することになった。


ナイル河の遊覧船への乗船を無事済ませ、ホッと安心して船室から出てきたリネットとサイモンの二人であったが、そこに笑い声が聞こえてくる。リネットが驚いて振り返ると、そこには、ジャッキーが立っていた。呆然自失となるリネットと怒りを隠せないサイモンの二人。


ナイル河の遊覧船がアブ・シンベルに到着した晩、船内の緊張が限界まで高まり、ある悲劇が発生するのであった。 


2023年4月25日火曜日

ティム・コリンズ作「シャーロック・ボーンズとファラオの仮面の呪い」(Sherlock Bones and The Curse of The Pharaoh’s Mask)- その2

英国の Michael O’Mara Books Limited から、
Buster Books シリーズの1冊として、2022年5月に出版された
「シャーロック・ボーンズとファラオの仮面の呪い」の裏表紙
(カバーデザイン:ジョン・ビッグウッド)


休暇を過ごすため、ロンドンからエジプトにあるナイル河(River Nile)沿いの町エル・キットン(El Kitten)へとやって来たシャーロック・ボーンズ(Sherlock Bones - シャーロック・ホームズとして、「雄(オス)犬」を擬人化)とジェーン・キャットスン(Jane Catson - ジョン・H・ワトスンとして、「雌(メス)猫」を擬人化)の2匹は、市場において、ジェーン・キャットスンの学校時代の友人であるヘイスティングス(Hastings)と待ち合わせると、近くのカフェで、3匹は一緒に昼食を食べた。

食事を終えたシャーロック・ボーンズとジェーン・キャットスンの2匹は、遊覧船に乗って、ナイル河を上り、「猫の谷(The Valley of the Cats)」へと向かった。猫の谷に眠るツタンキャットムン王(King Tutancatmun)の仮面を見物に行くのが、今回、彼らがエジプトへとやって来たメインの目的だったのである。

ツタンキャットムン王の仮面を見物することは楽しみにするシャーロック・ボーンズであったが、学校時代の友人であるヘイスティングスに、「ツタンキャットムン王の仮面を見たら、呪われるので、猫の谷へは行かない方が良い。」と言われ、ジェーン・キャットスンは震えあがり、猫の谷へと行くことに及び腰になっていた。


猫の谷に到着した遊覧船の甲板に佇む見物客の面々 -
画面左から、アナベル、フローレンス、ジェラルド、
シャーロック・ボーンズ、
ジェーン・キャットスン、
遊覧船の船長であるライラ、ウォルター、そして、
テディー
地上には、猫の谷の管理人で、案内人でもあるアーメットが居る。

ライラ(Laila - 駱駝)が船長を務める遊覧船には、シャーロック・ボーンズとジェーン・キャットスン以外に、5匹の観光客が乗船していた。


(1)フローレンス(Florence - 河馬)

(2)テディー(Teddy - バイソン)

(3)ウォルター(Walter - ライオン)

(4)アナベル(Annabelle - パンダ)

(5)ジェラルド(Gerald - パンダ)


我儘な観光客に加えて、謎が多い観光客も居て、不穏な雰囲気を湛えたまま、遊覧船は猫の谷へと到着する。


シャーロック・ボーンズとジェーン・キャットスンの2匹が
実際に見て見たいと待ち望んでいた
ツタンキャットムン王の仮面

午後1時、フローレンス、テディー、ウォルター、アナベル、ジェラルド、シャーロック・ボーンズとジェーン・キャットスンの7匹は、停泊した遊覧船から下船すると、猫の谷の管理人で、案内人でもあるアーメット(Ahmet)に連れられて、猫の谷に点在する墓所の見物へ、徒歩で出かけた。アーメットによると、猫の谷は、全部で12の墓所が点在している、とのことだった。

墓所へと向かう途中、ウォルターは、「ファラオの仮面の呪いが恐ろしい。」と言い出し、身震いした。そして、彼は、「皆は見物を続けて下さい。僕は、遊覧船へ戻ります。」と言うと、踵を返してしまった。


寝の谷の管理人 / 案内人であるアーメットの目を盗んで、
シャーロック・ボーンズは、
ジェーン・キャットスンを誘って、
再度、ツタンキャットムン王墓へと入った。
画面左側がジェーン・キャットスンで、
画面右側がシャーロック・ボーンズ。

管理人のアーメットに案内されて、第一の墓所(ネフェルキティー女王(Queen Neferkitty)墓)を見物した後、ウォルターを除く彼らは、第二の墓所であるツタンキャットムン王墓へと入った。

待ちに待ったツタンキャットムン王の仮面を見ることができたシャーロック・ボーンズとジェーン・キャットスンの2匹であったが、アーメットから事前に「何も手を触れてはいけない。」と言われたにもかかわらず、フローレンスが、壺を持ち上げたり、その中に入っていたパピルスの巻物を取り出したりして、アーメットの機嫌を損ねた。

更に、テディーが、アーメットに対して、「ツタンキャットムン王の仮面を売ってくれるのであれば、100エジプトポンドを払う。」と言い出して、アーメットが「売り物ではない。」と返事をすると、「それなら、200エジプトポンド出す。」と言う始末だった。

テディーの理不尽な態度に腹を立てたアーメットは、ツタンキャットムン王墓の見物を途中で打ち切ってしまい、シャーロック・ボーンズは、非常に失望するのであった。


ジェーン・キャットスンを連れて、
ツタンキャットムン王墓に再度入ったシャーロック・ボーンズは、
ツタンキャットムン王のミイラが眠る本当の墓室を見つけるために、
秘密の通路の探索を続けた。
画面左側がジェーン・キャットスンで、
画面右側がシャーロック・ボーンズ。


遊覧船がエル・キットンへと戻る午後6時までの残り時間、ウォルターを除く6匹は、他の墓所の見学を続けた。

ツタンキャットムン王の仮面を十二分に見ることができず、不満気なシャーロック・ボーンズは、ジェーン・キャットスンを誘うと、案内人のアーメットの目を盗んで、再度、ツタンキャットムン王墓へと入った。そして、秘密の通路を発見したシャーロック・ボーンズは、ジェーン・キャットスンを伴って、ツタンキャットムン王のミイラが眠る本当の墓室を見つけるべく、探索を始めた。

ところが、その間に、何者かがツタンキャットムン王の仮面を盗み出してしまい、案内人のアーメットの目を盗んで、ツタンキャットムン王墓へと侵入していたシャーロック・ボーンズとジェーン・キャットスンの2匹が、その盗難の犯人だと疑われる羽目に陥ったのである。


勝手にツタンキャットムン王墓へと入った
シャーロック・ボーンズとジェーン・キャットスンの2匹は、
王墓からツタンキャットムン王の仮面を盗み出した
犯人として疑われてしまう。
画面左側から、猫の谷の管理人 / 案内人であるアーメット、
ジェーン・キャットスン、そして、シャーロック・ボーンズ。


果たして、ツタンキャットムン王の仮面を盗み出した本当の犯人とは、一体、何者なのか?

それは、シャーロック・ボーンズの宿敵であるモリアーティー(Moriarty - ジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)として、「雄(オス)鼠」を擬人化)であった。


王墓からツタンキャットムン王の仮面を盗み出した
真犯人は、シャーロック・ボーンズの宿敵である
モリアーティーだった。


ティム・コリンズ(Tim Collins)が執筆を、そして、ジョン・ビッグウッド(John Bigwood)が挿絵を担当した本作品「シャーロック・ボーンズとファラオの仮面の呪い(Sherlock Bones and The Curse of The Pharaoh’s Mask)」は、カテゴリーとしては、児童文学(ミステリー)ではあるものの、大人の観点から公平に見ても、なかなか展開は面白い上に、途中、全部で25個のパズルも組み込まれており、これらが子供騙しのような簡単なものでは決してないので、なかなかお勧めと言える。


2023年4月24日月曜日

アガサ・クリスティー作「雲をつかむ死」<英国 TV ドラマ版>(Death in the Clouds by Agatha Christie )- その5

英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第32話(第4シリーズ)として、1992年1月12日に放映されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「雲をつかむ死(Death in the Clouds)」(1935年)の TV ドラマ版の場合、名探偵エルキュール・ポワロが最後の謎解きをする場面も、原作とはやや異なる展開が行われていく。


(1)

<原作>

原作の場合、ポワロが事件の真相を明らかにする場面に立ち会うのは、以下の3名。


・ジャップ主任警部(Cheif Inspector Japp - 英国警察の主任警部)

・ノーマン・ゲイル(Norman Gale - 歯科医)

・ダニエル・クランシー(Daniel Clancy - 推理作家)


<英国 TV ドラマ版>


名探偵エルキュール・ポワロが、
スコットランドヤードのジャップ主任警部同席の下、
事件の真相を明らかにする場面に立ち会った人達の座席表
<筆者が独自に作成>


英国 TV ドラマ版の場合、ポワロが事件の真相を明らかにする場面に立ち会うのは、以下の7名。


・ジャップ主任警部(英国警察の主任警部)

・ノーマン・ゲイル(歯科医)

・ジェーン・グレイ(Jane Grey -  Empire Airways のステュワーデス)

・ジャン・デュポン(Jean Dupont - 考古学者)

・ダニエル・クランシー(推理作家)

・シシリー・ホーバリー(Cicely Horbury - 伯爵夫人)

・レイモンド・バラクロー(Raymond Barraclough - 俳優で、ホーバリー伯爵夫人の恋人)


アガサ・クリスティーの原作に比べると、立会者として、ジェーン・グレイ、ジャン・デュポン、シシリー・ホーバリーとレイモンド・バラクローの4名が追加されている。

ジェーン・グレイ、ジャン・デュポンとシシリー・ホーバリーの3名は、マダム・ジゼル(Madame Giselle - フランス人の金貸し / 本名:マリー・モリソー(Marie Morisot))が殺された際、同じ飛行機に搭乗していたので、ポワロによる最後の謎解きに立ち会うのは理解できるが、レイモンド・バラクロー自身、事件の関係者ではないので、正直ベース、何故、彼を立ち会わせるドラマ展開にしたのか、理解に苦しむところである。

事件の関係者と言うことであれば、立会人として、レイモンド・バラクローよりも、ヴェニーシャ・カー(Venetia Kerr - 貴族の令嬢)の方が妥当であるが、何故か、事件の関係者として、彼女だけが立会人となっていない。


(2)

<原作>

マダム・ジゼルを殺害した犯人として、ポワロは、彼女の別居中の娘であるアン・モリソー(Anne Morisot)経由、彼女の財産を狙ったノーマン・ゲイルを名指しした。

ノーマン・ゲイルは、ポワロの推理を否定するが、ポワロに「アン・モリソーの遺体の側に置かれていた毒薬の瓶から、警察がノーマン・ゲイルの指紋を見つけた。」と嘘をつかれると、うっかりと「アン・モリソー殺害の際、手袋をしていた。」と漏らしてしまい、逮捕される羽目となった。

<英国 TV ドラマ版>

英国 TV ドラマ版の場合、ポワロに「アン・モリソーの遺体の側に置かれていた毒薬の瓶から、警察がノーマン・ゲイルの指紋を見つけた。」と嘘をつかれた際、犯人のノーマン・ゲイルは、手袋をしていたことについて、ギリギリのところで発言を止めており、ポワロが、彼の発言を捕捉する形となっている。


ノーマン・ゲイル:「That’s absolutely ridiculous, because I wore …」

ポワロ:「You wore the gloves when you committed the murder ?」


(3)

<原作>

原作の場合、犯人のノーマン・ゲイルが逮捕された後、ポワロは、ジェーン・グレイと事件中に彼女に好意を抱いたジャン・デュポンを引き合わせるという展開で、物語は終わりを迎えている。

<英国 TV ドラマ版>

英国 TV ドラマ版の場合、アガサ・クリスティーの原作のような結末には至らない。ジャン・デュポンは、事件中に、ジェーン・グレイに対して、何度も接触するが、その目的は、彼女経由、ポワロに対して、自分の発掘調査の投資を引き出すためであった。

その代わり、物語の序盤、パリで開催されたテニスの試合(Roland Garros Paris)を観戦した後のバーにおいて、ノーマン・ゲイルは、ジェーン・グレイに対して、話し掛ける。その後、パリからロンドンへ戻る Empire Airways の飛行機でも一緒になり(ノーマン・ゲイルは搭乗客で、ジェーン・グレイはステュワーデス)、事件中も、ノーマン・ゲイルは、ジェーン・グレイに対して、積極的なアプローチを続ける。その結果、ジェーン・グレイも、ノーマン・ゲイルに対して、次第に恋愛感情を抱いていく。

ところが、ジェーン・グレイが恋愛感情を抱いたノーマン・ゲイルは、マダム・ジゼルとアン・モリソーを殺害した犯人として、警察に逮捕される。

その後、ホテルのロビーにおいて、悲しむジェーン・グレイに対して、ポワロが慰めの言葉をかける場面で、英国 TV 版は、終わりを迎えるのである。


ジェーン・グレイ:「I thought … I don’t know …」

ポワロ:「You liked Monsieur Gale ?」

ジェーン・グレイ:「Yes.」

ポワロ:「And you thought that he liked you ? But you are wrong, mademoiselle.」

ジェーン・グレイ:「Obviously.」

ポワロ:「No, no, no ! He did not like you. He loved you. It is true. I see it in the eyes.」


ポワロがジェーン・グレイに対して投げ掛ける最後のセリフが、なかなか心にくい。


2023年4月23日日曜日

フランケンシュタインの世界<ジグソーパズル>(The World of Frankenstein )- その13

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より2022年に出ているジグソーパズル「フランケンシュタインの世界(The World of Frankenstein)」のイラスト内には、英国の小説家メアリー・ウルストンクラフト・ゴドウィン・シェリー(Mary Wollstonecraft Godwin Shelley:1797年ー1851年)1818年1月に発表したゴシック小説「フランケンシュタイン、或いは、現代のプロメテウス(Frankenstein; or, the Modern Prometheus. → 2021年3月24日付ブログで紹介済)」の物語に関して、各場面が散りばめられているので、前回と同様に、順番に紹介していきたい。


<再び、ヴィクター・フランケンシュタインの話(Victor Frankenstein’s Narrative Resumed)>


今回は、「その3」となる。


(25)


最愛の新妻エリザベスを殺害されたヴィクター・フランケンシュタインは、
憎悪に駆られ、復讐のために、自分が創り出した「怪物」を追跡した。

弟ウィリアム(Willaim)、ウィリアムのナニーであるジュスティーヌ・モリッツ(Justine Moritz)、そして、親友ヘンリー・クラーヴァル(Henry Clerval)に続き、最愛の新妻エリザベス(Elizabeth)を殺されて、憎悪に駆られたヴィクター・フランケンシュタイン(Victor Frankenstein)は、「怪物」への復讐を誓い、以前出会ったアルプス山脈(Alps)まで、怪物を追い掛けたものの、残念ながら、怪物の姿を発見することはできなかった。


2014年に米国の出版社 Dover Publications, Inc. から発刊された
「フランケンシュタイン」のグラフィックノベル版から抜粋 -
最愛の妻エリザベスを殺されたヴィクター・フランケンシュタインは、
復讐を誓い、自分が創り出した「怪物」を、どこまでも追い掛けた。


(26)

人間離れした体格の男が犬橇に乗って、北極海方面を移動している目撃情報を得た
ヴィクター・フランケンシュタインは、
その男が自分が追い掛けている「怪物」だと考えて、直ちに北極海へと向かった。

人間離れした体格の男が犬橇に乗って、北極海方面を移動している目撃情報を得たヴィクター・フランケンシュタインは、流浪の旅の末、なんとか北極海まで辿り着いたが、疲労のため、途中で倒れてしまったのである。


2014年に米国の出版社 Dover Publications, Inc. から発刊された
「フランケンシュタイン」のグラフィックノベル版から抜粋 -
人間離れした体格の男が犬橇に乗って、北極海方面を移動している目撃情報を、
ヴィクター・フランケンシュタインは得る。

英国人のロバート・ウォルトン(Robert Walton)が北極探検隊の隊長を務める北極探検船は、北極点へと向かう途中にあり、北極海において、

倒れていたヴィクター・フランケンシュタインを発見して、救助したが、彼の衰弱は非常に激しかった。


2014年に米国の出版社 Dover Publications, Inc. から発刊された
「フランケンシュタイン」のグラフィックノベル版から抜粋 -
犬橇に乗って、北極海方面を移動している人間離れした体格の男が、
自分が追い掛けている「怪物」だと考えたヴィクター・フランケンシュタインは、
直ちに北極海へと向かったが、
それまでの流浪の旅による疲労のため、途中で倒れてしまった。